1部 12芒星魔方陣 編 13章 デジタル魔術師 2話
「異形魔法陣?」
「旧東京の山手線がそれに該当するわ、繭型結界って呼ばれてる」
「今回の異形魔法陣はそれと同様の事になっている訳だな」
「そうね、その場所に見張りを付けているわ」
「それが、学研警備隊と言うわけだな」
「でも、それが出来なくなった。異形魔法陣のポイントは59箇所も有って、その全てに数人の学研警備隊を配置していたのだけど、この騒ぎで学研警備隊は事件現場の警備に当たらなくては成らなくなった」
「伏羲の狙いは何処になるのだ?」
「裕貴?どうして伏羲が動いているって知ってるの?」
「それは、俺の友達にサイコメトリー能力を持つのがいて、今朝の騒ぎで伏羲と接触した
時の残留思念で分かったんだ」
「だったら、その時に次の目標の場所の残留思念は分からないの」
俺はシルビアの言葉を聞いて直ぐに電話を取りだし渡邊に電話した。
『どうした、朝倉?』
「さっきの伏羲に付いて教えてくれ」
『何が知りたいんだ?』
「何か、場所が特定出来る様なイメージが見えなかったか?」
『場所?えー、そういえば、何か航空写真みたいな映像に倉庫の様な場所が見えた様な気がしたな』
「その場所は分かるか?」
『いや、GPSと監視衛星からの写真だと思うけどそこまでは分からないが廃倉庫の様に見えた様な気がする』
「廃倉庫?」
『屋根の抜け掛けた倉庫だったと思う、それ以上は分からない』
「分かった、有り難う」
『それで、お前な・・』
携帯を切ってシルビアに俺は言った。
「場所の特定迄は出来ていないが廃棄倉庫みたいだ」
シルビアは一度目を閉じて呪文の様なもの小声で言った後、目を開けて言った。
「ここから北に3キロ地点の周囲300mの所に廃棄倉庫が有るか分かる?」
「分からないな、でも少し待って」
俺はもう一度、携帯を取り出し電話を掛けた。
『朝倉君?渡邊君から聞いたよ、今何処に居るの?』
電話の向こうからの藤井先輩の声。
「先輩、今事務所に居ますか?」
『ええ、今事務所に戻ってきた所ですけど』
「すみませんが、一つ調べて貰いたい事が有るのですが」
『何を調べるの?』
「ダイアモンドダクトから北に3キロの周囲で使われていない倉庫が有るか調べて欲しいのです」
『分かった、でもそこに何が有るの?』
「今は、とにかく場所を教えて下さい」
『ちょっと待ってね』
電話の向こうでパソコンのキーを叩く音が聞こえる。
『確かに北に3キロの所に今は使われていない倉庫が有るわ』
「そこまでの行き方は?」
『ダイアモンドダクトから真北に3キロの学研都市の北の端っこの所で国道179号、県道27号の交差点から北西に870mの所に有るわ』
「分かりました。有り難うございます」
『まさか、朝倉君?昨日の捜査を独自にやっているのでは無いでしょうね?』
「え?まさか」
『ちょっと朝倉く・・・』
俺は直ぐに電話を切った。シルビアが俺の強引な電話のやりとりを聞いて言った。
「この事を内緒にするのは良いけど、余裕の無い発言は相手も分かるものよ」
俺は無視して携帯の地図アプリを起動させた。
「場所が分かった」
「それで、場所は何処?」
「ここからちょうど真北に3キロの国道だ」
そう言いながらシルビアに携帯の地図の目標地点を表した。
「分かったわ、貴方はどうするの?」
「俺も行く」
「相手はサイボーグよ、裕貴は武器を持っているの?」
「俺は今これだけだ」
そう言ってブレザーのデリンジャーを見せた。
「そんな装備で大丈夫なの?」
「何とかなるだろう」
シルビアは少し呆れた様な顔をすると、何処からともなくベレッタM800を俺に差し出した。
「これを使いなさい。銃の扱いは慣れているのでしょ?学園20位さん」
どうしてそれを!?
「あんた、一体何者?」
「言ったでしょ。警察よ」
俺は疑いを持ちながら銃を受け取り構え狙いを定めてみた。
「さて、長話もおしまい飛ぶわよ、止めても付いてくる気でしょ?」
「え、あー」
心を読まれて居るだろうなと思っている。
「さて、長話もおしまい飛ぶわよ、止めても付いてくる気でしょ?」
「え、あー」
1人でも伏羲を追いかけるつもりだった。
「だったら行くわよ、掴まりなさい」
「お、おう」
俺はシルビアを後ろからしがみついた。
「もう、何処触ってるのよ」
「え?でも捕まれって」
「左手よ」
シルビアは怒りながら俺の左手を掴み少し下へ引っ張った。胸に指が掛かっていたみたいだった。
シルビアは何か詠唱をするような仕草を見せた。すると俺の足元と頭上に青い魔法陣が現れその魔法陣が1つに重なった。その魔法陣の重なった先には、廃墟になった倉庫が有った。倉庫の周りはフェンスが張られているが雑草が覆い茂っている。
「どうやらもう中に居るみたいね」
シルビアが言った。よく見ると草が踏まれた跡が有る。俺とシルビアは銃を用意してゆっくりと進む。
「待って」
シルビアが止めた。俺の足元をよく見るとワイヤーが張っている。トラップか?
「危なかった」
「他にも有るかも知れない、気を付けて、後、もう敵に気付かれていると考えるべきよ」
シルビアの言うとおりだ。俺は気を引き締めた。
「分かった」
二人は倉庫の入り口の両端にたどり着いた。中から確かに音がする。シルビアが動いた。
突然、シルビアは入り口のドア開けずにシャッターを蹴破りいきなり発砲した。銃弾は中に居た男の後ろの壁に空いた。
「そこまでよ、伏羲」
中に居たのは黒いスーツを着た男が立っていた。
「何だ貴様は、さっきの小娘といい鬱陶しい奴だな!」
俺は、草陰から様子を伺った。伏羲の足元に魔法陣が描いてあった。円の外側にギリシャ文字で何か書いてありその内側が12芒星に成っていて中心にギリシャ文字でⅧと書いてあった。円の外側ギリシャ文字のさらに外側に東西南北が書いてあるり、その正面にシルビアが銃を構えて立っている。
「さて、昨日の邪魔されたお陰で魔法陣のプログラムを若干変更する事に成ったわけだが、ここでも邪魔が入るとは予想外だ全く」
そう言いながら伏羲は魔法陣から少し歩いて離れる。俺は建物の外から裏へ回り込もうと移動し始めた。
「あら、私も貴方を連行、それが出来ない場合は殺害しろと指示を受けているわ」
「さあ、それはどうかな?」
伏羲の足元で閃光弾が炸裂した。倉庫の中から光りがあちこちにあふれ出ている。それと同時に大きな爆裂音がした。
俺はこの大きな音に紛れて倉庫の裏手へ一気に走った。中ではシルビアは倉庫の中に有ったフォークリフトの影に隠れ伏羲目がけて発砲していたが目が眩んで狙いが定まらない。それを分かっている伏羲は倉庫の壁越しに俺へ発砲してきた。
「ぐわ!」
当たっていないが俺は驚いて伏せていた。
「そこにもう一人隠れている事は分かっているんだよ!」
伏羲は持っていた弾の無くなった銃を投げ捨てスーツの中からUZIを取りだして撃ちだした。
俺は必至に姿勢を低く伏せ待った。が壁を幾つかの弾が貫通してくる。
「うわああー」
俺は這いつくばいないながら倉庫の横を走っている側溝を見付けその中に入った。幸い側溝に水は無かったが服が泥まみれになった。
「私を無視してくれるなんて、どういうつもりかしら!」
シルビアは持っている銃をフォークリフトを盾にして構える。銃が青く輝くライフルの形になっていくと寝そべって狙撃体勢をとった。
銃口をフォークリフトに当ててスコープをのぞき込むとスコープの先に小さな魔法陣が現れている。伏羲はシルビアからはフォークリフトが邪魔で見えない筈だがスコープにはフォークリフトを完全に透視していて狙いを定めシルビアはトリガーを引いた。
ライフルから射出された弾丸はその斜線上に在るフォークリフトの手前と向こう側に小さな魔法陣が現れ弾丸をすり抜け打ち出されると同時に伏羲が吹き飛んだ。
その後伏羲は4回さらに吹き飛ばされた。銃の発砲音も合計で5回、倉庫の中で響いた。
俺は側溝からから体を起こし倉庫に入った。倉庫の中は噴煙が残っていたが煙が治まり人影が見えてきた。シルビアだ。
「ハーイ!元気?」




