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1部 12芒星魔方陣 編  13章 デジタル魔術師 1話

 アーケードの北側の入り口はまだ封鎖されたままで、さっきよりも人が集まっている。

「これは・・・」

 俺は何かトラブルに巻き込まれそうな予感がした。正確に言うとトラブルと言うよりは面倒事に巻き込まれそうと言う方が良い。交通整理や野次馬の誘導なんて今はする気分になれない。俺はアーケードの外れからプラザタウンへ入るビルとビルの間を通りダイアモンドダクトの従業員通用口へ出る筈だった。

「そこに居るのは分かっているのよ!出てらっしゃい」

 俺に向けて声がした。俺はブルーバンドの腕章を左手に持ちけデリンジャーを構えた。

「ブルーバンドだ!銃をその場に置いて3歩下がれ!」

 そっと銃を向けたままビルの影から表に出た。

 そこに居たのは赤い髪の少女、多分年齢はそんなに離れていない様に見える。その少女は俺に銃口を向けて立っている。しかし明かに一般人とは雰囲気が違う。

 それ以前に着ている服装も不自然だ。黒の防弾チョッキと黒のパンツ姿で黒ずくめの格好をしている。

「ブルーバンド?何故ここに居るの?」

 少女は意外な人が来たとばかりに驚いている。ビルとビルの影で日差しが無いにもかかわらず少女の持っている銃はギラギラと光りを反射して輝いている。

「それはこっちのセリフだ。そこで何をやっている。お前は今までの放火事件とどう関わっている」

 俺はは銃を少女に向けたまま距離をじりじりと詰めていく。

「私はその放火犯を追ってきたのよ、と言ってもこの格好じゃぁ私も十分怪しい過ぎるわね」

 少女はそう言って笑った。

「もう一度言う、銃を置いて3歩下がれ」

 俺はもう一度言った。だが少女は俺に向けていた銃を下ろして懐にしまった。

「ブルーバンドと争う気は無いわ、それより私に協力して」

「はぁ?何言ってる」

 俺は声を荒立てた。

「自己紹介がまだだったわね、私はシルビア、こう見えても警察よ、貴方は?」

 少女は防弾チョッキの左胸に印されたPOLICEのマークを見せた。

「警察?お、俺は朝倉裕貴」

「そう、裕貴君ね、そろそろ銃を下ろして貰えない?今から状況を説明するわ」

「幾ら警察の格好をしてても信用出来んな、こんな所に1人で居るなんて」

「あんたバカ?それはお互い様じゃない」

 シルビアはあからさまに俺をバカにしている様な、うんざりした様な様子を見せている。

 その瞬間地面が揺れた。

「地震?」

 その後に低い爆発音が響いてきた。

「何だ。今の音は」

「待ちなさい!今確認するから」

 音の鳴った方向は南、プラザタウンを越えた辺りだと思う。地震もそれに関係していると思う。そこから想像出来る事は大規模な爆発が起きたと考えるのが自然だ。

 俺は音の鳴った方向へ振り返るった。するとシルビアの怒鳴り声を上げた。驚いて見返した。シルビアはそのままは立ち止まり動かなくなった。

 確認?ただ止まっているだけじゃないか、暫くしてシルビアが項垂れた表情をした。

「第1ジオフロントが・・・崩落した・・・」

「な・・何だと?」

「第1ジオフロントが爆破されたのよ、地震と音はその時のものよ」

 裕貴はそのまま走り出そうした。

「待ちなさい!お前が行ってどうなるの!」

「爆発に巻き込まれた人を助けに行かなくてどうするんだ!」

「行きたいなら行きなさい。だけどこれから起こる事に対しては小さい事よ」

「小さい事って何だ。お前こそそれでも本当に警察なのか?」

 返事が無い。俺は立て続けて質問する。

「あんたが言っているのは12芒星魔法陣の事か?」

「あら?どこからそんな情報を入手したの?」

 シルビアは以外という顔をしているが

「この学園にはデジタル魔法のカリキュラムだって有るからな、魔法陣の事くらいは分かる」

「それなら、この魔法陣がこの学研都市そのものを亜空間に送る物だって事も知っているって訳ね」

「亜空間?」

「そこまでは知らなかった・・・と」

「どういう事だ」

「ただ、学研都市を破壊するだけなら同時多発的に爆弾テロを起こせば早いじゃない。何故そうしなかった?」

「現に今テロが起きているだろうが」

「これはかく乱よ、さすがに7箇所も魔法陣を設置すれば、どう言う魔術が発動するか勘付く者も出てくるわ」

「つまりプラザタウン(ここ)や第1ジオフロントで起きた爆発はただのテロって事か」

「そうよ、魔法陣が完成したら街ごと亜空間へ飛ばして必要な時、必要な情報だけを取り出す結界を張るのよ」

「そんな事したら、この街に住んでいる人達はどうなるんだ」

「人だけさらに別の空間へ飛ばされてそのまま彷徨い続けるわ」

「それは死ぬまでって事か?」

「死ぬ事も、歳を取る事も無いわ、そのまま無限の時間を永遠彷徨い続けるのよ」

 裕貴は黙ってしまった。そして目を閉じて銃をブレザーの中にしまった。

「12芒星の亜空間結界の事は分かった。それで、次のその場所は何処になる?」

「予定地点を張っていたのだけどここの騒ぎで私も事態収拾に当たっていたのよ」

 またシルビアの動きが止まった。

「どうした?」

「通信が入ったのよ。私は行くわ」

 通信?携帯端末を持っている様子も無い。だが、

「ちょっと待ってくれ、どういう事か分からない事が有るんだが」

「何、手短に頼むわ」

「あんたが追っている魔法陣ってのは昨日の放火事件と関係が有るのか?」

「ええ、誰かが結界を張って敵の侵入を拒もうとしていたみたいだけど余り意味が無かった見たいね、それどころが敵の思う壺だった様だし」

「昨日ってこの近くで有った放火事件の事か?」

「ええ、私も日本に一昨日の夜帰って来たばかりだったからここまで事態が悪化しているとは思わなかったわ」

「悪化ってどういう事だ」

「ここまで来ると、わざわざ12芒星にこだわる必要が無いって事よ」

「言っている意味がよく分からない、つまり12芒星と言う事は既に聞いた。だが12芒星

の形で無くても魔法陣が成立するって事か?」

「そう、異形魔法陣って言うわ」


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