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1部 12芒星魔方陣 編  12章 プラザタウンの攻防 1話

 翌日5月13日土曜日の朝8時過ぎ、裕貴は朝からブルーバンド第15支部に居た。そこへ刑事がやって来た。

 グレーの背広を着た少し融通の利かなさそうな若い刑事の印象を持った。

「朝倉裕貴君だね」

「はい、そうですが」

「先日の、交通事故で2、3事情を聞きたいのですが」

「ああ、はい」

 事務所奥の応接スペースで事情聴取が始まり俺は事故当時の内容を説明した。

「分かりました。今回の事件ではおそらく犯人逮捕の重要な内容が曖昧なので難しいかも知れませんね」

「そうですか」

「まあ、調べてみます。ここ学研都市は監視カメラも通常の都市よりずっと多いので何か映像が映っているかも知れませんし」

「はい、お願いします。ところで『連続放火未遂事件』はどの程度まで分かっていますか?」

「君は昨日の放火事件の第一発見者だったね」

「はい」

「まだ、何も分かっていないな。何故か監視カメラにも映像が映っていないのだよ」

「それは、どういう事なんですか?」

 この学研都市には他の街とは比べものにならない程多くの監視カメラが設置されていて、「街を歩くと必ず何処かのカメラで捉えられている」と皮肉を言われる程だ。

「それがこっちもよく分からないのだよ」

「そうですか」

「まあ、解決すれば連絡させて貰うよ」

「分かりました」

 警察の事情聴取が終わったのを見て、浅野が様子を見ていた。

「今日は土曜で学校も休みの所多いから喧嘩や万引きの取り締まりに行かないとね」

「朝から疲れた。事情聴取に2時間も取れるとは」

 ぼやきながら俺は給湯室の冷蔵庫を開けた。時計の針は11時を少し過ぎている。

「藤井先輩はまだ来てないよな、どうしたの」

 ジュースの紙パックを取り出しながら聞くと。奥でパソコンに向かっていた久田は空になったマグカップを見ながら答えた。

「藤井先輩は9時からの学研警備隊の会議に行ってます。渡邊先輩はここに来て直ぐに『パトロールに行く』って言って出て行きました」

「ほんと、渡邊先輩って何を考えているんだか」

 浅野もそう言って席を立ち冷蔵庫にあったプリンを取り出した。

「まあ、そうカリカリするな、そうだコーヒーでも飲むか?」

 俺は紙パックを冷蔵庫に戻し二人聞いた。

「飲むー」

「浅野は砂糖3個だっけ?」

「もう、先輩いつも子供扱いしないで下さい」

 浅野は拗ねた。そういう所が子供っぽいのだが。

「じゃあ要らないのか」

 俺は浅野をからかい気味に聞いた。

「頂きます」

 小声で、そして怒り気味に応えた。

「素直でよろしい」

 俺は結構コーヒーが好きで家でよくサイフォンでコーヒーを入れている。

 綾香は最初俺の入れるコーヒーが苦いとか言っていたが、最近は普通にコーヒーを飲むようになった。

 この事務所ではさすがにサイフォンは持ってきていないがコーヒーメーカーを持ってきている。コーヒー豆も家では自分で挽いているが、ここでは市販の豆だったりする。

 コーヒーをマグカップに三人分入れて二人の机に持って行った。

「あれ?先輩っていつも砂糖とミルクは入れないのですか?」

 久田は俺がコーヒーに何も入れずに飲み始める様子を見て聞いた。

「入れないよ」

「いつも、コーヒー飲むときは何も入れてないのですか」

「そうだよ」

 俺は不思議そうに答えた。そう言っている間に浅野は角砂糖3個を入れてスプーンで混ぜていた。その後ミルクも入れている。

「それ砂糖入れすぎ」

「そういえば先輩、一昨日、先輩と一緒にいた人って彼女ですか?」

「いきなり何を」

 浅野の質問にコーヒーを蕗こぼしそうなるところを我慢して咽せた。

「なになに?その反応?やっぱり先輩の彼女?」

 久田はそれを見ておもしろ半分にからかってきた。

「違うよ幼馴染みだよ」

「幼馴染みで彼女?」

「ただの幼馴染みだって」

「だって、一昨日だって一緒にダイアモンドダクトに居たじゃ無いですか」

 やっとコーヒーを飲み始めた浅野が追求してくる。一方、俺はせっかく煎れたコーヒーが沢山入れたミルクでコーヒー銃乳みたいな色になっている方が気になる。

「それは、まぁ」

「それにあの時、渡邊先輩が『デート。デート』って言ってたじゃ無いですか」

「ちょっ、あいつの言う事を信用する気か?」

「なに、デートって何してたの」

 久田はこの手の話は好きらしくいつも楽しそうに訊いてくる。

「なにって、あいつの買い物につき合って、その後ファミレスで飯食って・・・」

「ほらほらほらー、デート」

 浅野はマグカップを机に置いてからかった。

「だから違うって」

 その時、俺の携帯が鳴った。

「よお、渡邊、どうしたんだ」

 俺はここぞとばかりに電話を受ける。

「中野が大怪我した。今第2救急病院に居る」

 渡邊は慌てた様子で言った。

「何言ってるんだ?綾香(あいつ)はレベル4のテレキネシストだぞ、そんな簡単に大怪我なんかしないだろう?」

 俺はまだ冗談だと思っていた。

「連続放火事件の犯人と接触したんだ。中野が俺をかばって・・・済まん。直ぐ来てくれ」

「本当、なのか?」

「悪い、頼むから来てくれ」

 信じられない話だが、渡邊の電話の向こうから伝わる様子にただならぬ物を感じ取った。

「分かった直ぐにそっちに向かう」

 俺は電話を切って直ぐに事務所を出ようとした時、事務所の中の雰囲気が変わった事に気付き振り返った。

「先輩、何が有ったんですか」

 久田が心配して聞いてくる。

「綾香が大怪我したらしい。第2救急病院に渡邊も居る」

「それだったらプラザタウンを抜けていくと早いですね」

 浅野はプラザタウンによく遊びに行ってる事も有りあの辺りの土地勘は俺以上に有る。

「分かった、あ、パトロールは藤井先輩が戻ってきてから行ってくれるか」

 その時、事務所の緊急無線に出動要請が入った。

『──プラザタウンBL22地点とBL24地点にて爆弾事件が発生、近くに居るブルーバンドは現場の避難誘導、及び救助へ向かって下さい──』

「ああ、私達が行きますので先輩は早く病院へ行って下さい」

 浅野は腕章を付けながら促した。

「悪い、後は頼むな」


この章は「岡本浩子」編、第28〜30部分「12章 破壊される街」とリンクしています。どのように2人が、2人の周辺人物が関わって行くか楽しんでください。

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