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1部 12芒星魔方陣 編  11章 ブルーバンド 2話

 事務所を出て5分程歩いたビルとビルの間の路地で焦げた臭いがした。

「何、この臭い」

「俺もこの臭いが気になった。火事の後か」

「そういえば、最近このエリアでも放火が増えていますね」

「前は18支部だったな、確かほぼ毎日有ったな」

「確か18支部で6件目だったと思います。廃ビルやビルとビルの間の路地で起きていたと思います」

「その2件目に俺が巻き込まれた訳だが」

「確か、それくらいだったはずです。だんだんこのエリアに近づいていた気がしますけど

「一度、確認してくるか。白昼堂々と放火するヤツを捕まえないといけないしな」

「はい」

 俺と久田は焦げた臭いのする方へ向かった。

「なんだ、これは」

 俺は現場に着いて驚いた。

「これは変ですね。こんなになっているのに周辺住民から通報すら無いなんて」

 久田も驚くそれは、今も小さな火が燃えていて瓦礫が散乱し、激しい爆発なのかビルの壁が辺り一面に散乱している。どうして誰もこの事を通報していないのだ?

「この辺りの住民はこの事を何故通報しないの?」

 何か違和感がある。気になった事があった。

「それもそうだが、気が付かないか?」

「何がですか?」

「周りに人の気配が無い、そんな気がしないか?」

 久田は「えっ」っと聞き返したが辺りを見回した。

「確かに人の気配が有りませんね。でもなんで?」

「とにかくビルの中に入ってみよう、おっとその前に事務所に連絡しておかないといけないな」

「では私が連絡を」

「いや、久田は周辺を透視(クレアボイアンス)で周辺を探ってくれ」

「でも、私はレベル2ですよ」

「それでも、無いよりましだろ」

「分かりました」

 俺は事務所に連絡をした。電話には浅野が出た。

『こちらブルーバンド15支部です』

「ああ浅野か?朝倉だ」

『お疲れ様です先輩、何か忘れ物ですか?』

「いや、直ぐに藤井先輩に電話変わってくれるか、事件だ」

『は、はい』

 浅野は電話の向こうで藤井先輩と話しをしているのが聞こえる。まもなくして藤井先輩が電話に出た。

『どうしたの?事件って』

「ビルの放火現場を発見しました。場所は携帯のGPS情報見てください。あと学研警備隊に通報もお願いします」

『ええ、分かったわ、それで今のところの状況はどうなってるの』

「ビルが焼け崩落しそうです、もう殆どの火は残っていますが殆ど消えています。それと・・・」

『まだ何かあるの?』

「それが、建物の炎上の状況から誰かが通報しても良いはずですが周りに人が居ないのです」

『人が?居ない?』

「そうです。周りに人が居ないのです」

『避難したとかでは?』

「それでも通報位はできる筈ですよね?」

『そう言えば、そうね。分かったわ後で詳しく状況を教えて頂戴』

「分かりました」

「ビルの中は誰も居ない様です」

 俺は電話を切るのを見計らって久田が言った。

「そうか、有り難う、学研警備隊が来るまで周辺状況を確認しにこよう」

「はい、行きましょう」

 俺は燃えたビルの入り口に向かった。

「ぐ!」

「何これ」

 ビルの中に1歩足を踏み入れた途端に地面に引き寄せられる。

 いや、地面に吸い寄せられているのではない。俺達の体は立っているこそさえ出来ない程に力が奪われているのだ。

「きゅう・・た・・、大丈夫・・か」

「せんぱい」

 久田は入り口から1mの所で倒れ込み既に呼吸困難を起こしている。

 俺も意識が遠のきそうになる所で床一面の模様に気が付いた。

「こ・れは・・・・魔・・法陣・・・か?」

 赤く光り中心に何か置いてあるそこから渦を描き外へ向かって反時計回りに回転していて、既に俺も久田も魔法陣の上に居る。

 俺は這いつくばりながら魔法陣の中心へ進むにつれプレッシャーと言うのか近づく事が危険だと感じる。進みたくない!

 だんだん体が地面に引き寄せられ顔を上げる事すら息苦しい。

「あと少しぃ」

 魔法陣の中心はノートパソコンがだった。ノートパソコンの閉じているウインドウを起こし電鍵を強制的に堕とすと魔法陣の光は薄くなりやがて消えていった。

 体も軽くなった?様に感じる。すると同じ地点に別の魔法陣が浮かび上がり白から赤くなると突然爆発した。

 久田は2m程吹き飛ばされ程度で済みさほど大怪我は動けるようだったが、俺は爆発した魔法陣の直下に居た為にほぼ真上に吹き飛ばされ天井に叩きつけられ魔法陣から離れた所に墜落した。

 遠ざかる意識を何とか保ち目を見開いた。薄暗い天井をはっきり認識した。

 身体は激痛が有るはずだが今は何も痛みを感じない、聴覚も失っている様だ。鼓膜が破れている?

 汗と涙と涎まみれの俺の顔だがそんな事を気にしている場合では無い。俺は立ち上がり振り返る。

「ゴホゴホ、オエー」

 鼓膜は破れていない様だ、声が聞こえた。久田も体を起こし四つん這いになった。ホンの1分程度の筈だっだが10分にも20分にも感じた。

「大丈夫か久田」

 俺は顔を拭いながら久田へ駆け寄る。

「何とか・・・先輩は?」

「俺も大丈夫だ」

 相当な強がりだと思う。俺はポケットからハンカチを取り出し久田に渡すと顔を拭った。

「有り難うございます」

 久田とビルの外に出て学研警備隊が来るのを待った。

 あのビルは放火された訳では無い。何らかの魔法の影響で放火された様になっていた。

 10分後、現場に来た学研警備隊に任せた。

「何だったんでしょうね」

 久田は少しふらつきながら不思議そうに言った。

「本当に何だったんだろうな」

 学研警備隊は俺を病院へ行くように促したが断り久田に肩を借りながら15支部へ戻った。


この章は「岡本浩子」編 (23〜25部分)10章「デジタル魔法の実力」とリンクしています。

どの辺りがリンクしているかは読み比べてみてください。

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