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1部 12芒星魔方陣 編  9章 裕貴の右手 1話

 コンビニから家に帰る所だった。

 その途中、目線の先に道の端を歩く黒猫が居て振り返って此方を警戒して見ている、俺はその猫を横目に後ろを通り抜ける事にした。

 そこへ自動車がかなり速いスピードで向かって来た。

「危ない!」

 そう思った。猫は俺達の方をずっと見ていたが車の音に驚いて突然に道を横断しようと車の前に飛び出した。

 俺の声で綾香は車の前に飛び出した猫に気が付いた。俺と猫の距離は2m程、何故か猫を助けようと右手を伸ばした。だが、俺も綾香も間に合わなかった。

 猫の後ろ足に届きそうだったが目の前で車にに跳ねられ胴体から血が吹き出した。そして猫を助けようと伸ばした俺の右手も車のボンネットに衝突した。

「ぐわ!」

バキッ、ともグチャとも聞こえる音が身体の中からも外からも鳴った。それと同時に俺の体は捻れるように吹き飛ばされた。

 その時の俺には、身体の何処がどんな状態なのかが全て判った。

 右手の甲の骨四本が砕けた。人差し指と中指と薬指の第一関節と第二間接と手首にかけて4箇所と前腕の骨2本とも骨折した。肘の靱帯が2本切れ肩の靱帯が3本伸びた。

 そう、俺は何故か全てのダメージがその一瞬に判ったのだ。

 車は一時速度を落としたがそのまま走り去った。

「裕貴!」

 綾香は慌てて俺に駆け寄った。俺は腕の余りにも痛さに声が出ない。

「ぬーん」

 やっと声が出たが痛みをこらえるので精一杯だった。

 そこへ反対方向から歩いていた二人の少女がさっきの音を聞いて駆けつけて着た。

「怪我したの」

 少女の一人が俺に言った。綾香はどうしたら良いのか分からず混乱している様だった。

「とにかく救急車を」

 もう一人の少女が綾香に言った。綾香は慌てて電話を掛け救急車を呼んでいた。怪我をした腕はみるみるとどす黒く腫れ始めていた。腫れた患部は熱いと言うか痛いと言うかよく分からない感覚だった。

「私はこの猫ちゃんの治療をするから多香子はそっちの人の応急治療をお願い」

 多香子?確か前に銀行強盗事件の時に炎の矢を放ったシフト・フレイムだったか?

「ウィザードの私、この怪我を治療するプログラム組んだ事無いよ」

「プログラム持ってないの?」

「うん、私、治療のプログラム組んだ事無い」

 それを聞いた少女は端末の画面を操作して。

「じゃあこのプログラムをあげるからそっちの人お願い、私が猫ちゃんの治療するから」

「ありがと、わかった」

 そして二人は端末にコードを接続してデータをやりとりしていた。

「何をするの」

 綾香は少女達に聞いた。俺も『何を?』と思った。

「応急治療のプログラム組むから少し離れて」

 多香子と呼ばれている少女は携帯の様な物を持ったまま画面を少しの間画面を触っていた。その後、鞄からステッキを取りだして俺の前に立った。

「何をするんだ?」

「少しじっとしていて、怪我の応急治療をするから」

「ああ、わかった」

 多香子と言う少女は目を閉じて集中している様だった。彼女の足元に青白い魔法陣が現れた。魔法陣の中心にはナイチンゲールの姿が描かれている。

「何?このプログラム、ものすごく重いよ」

 魔法陣が消えかかった。険しい顔をしてステッキを握って意識を集中して魔法陣を描いている光が輝き始め、その魔法陣の内側から青白い帯の様な物が現れた。その帯は俺が負傷した右肩から指先まで巻き付いた。

 腫れが少し引いた様に見える。痛みはい余りの痛さに麻痺しているのか治まっているのか分からなかった。

「一応、応急治療はしたけど大した事は出来てないわ、後は病院で治療して貰って」

「良かった」

 綾香はそう言いながら胸をなで下ろした。だが俺は。

「猫はどうだった」

「もう、そんな事言ってる場合じゃ無いでしょ」

 綾香は猫の事を気にしている俺に怒った。車に轢かれた猫の治療に当たっていたもう一人の少女の方を見た。もう一人の少女の足下には魔法陣が出ていた。そして猫の足下にも魔法陣が出ていたが少女は肩を落とした。

「ダメ、猫ちゃんはもう死んでる。助けられなかった・・・」

「気を落とさないで、魔法だって万能じゃ無いんだから」

「でも、まだ間に合うと思ったのに・・・」

 気を落とすもう一人の少女に多香子が慰めていた。

「あなた達って常徳学園の人」

 綾香は『魔法』と言う言葉と使用していた端末を見てふと思い出した様に2人に聞いた。

「そうよ、常徳学園よ」

 まだ名前の分からない方の少女が答えた。

「多香子ちゃんちょっとコンビニ行ってタオル買って来て貰える、お金は後で払うから、猫ちゃん・・・ここままだとまずいでしょ?」

 続けて多香子に指示していた。

「分かった、すぐ行って来る」

 多香子はコンビニに走っていった。

「怪我はまだ治ってない?」

「どうも、骨折してるみたいだ。後、靱帯もやられているみたい」

 俺のその返事をそれを聞いた綾香は両手を顔の横にやって小さく悲鳴を上げた。

「今の魔法は腫れや痛みを和らげるプログラムだから骨折までは治せないわね、救急車はもう呼んだの?」

「ええ」

 綾香は落ち着かない様子で答えた。もう一人の少女がコンビニから走って帰ってきた。

「買って着たわ」

「有り難う」

「何をする気なの、浩子」

 もう一人の少女の名前は浩子と言うみたいだ。そして今までのやりとりから多香子より浩子の方が魔法は得意の様だ。

「ちゃんと供養してあげないと、可愛そうじゃない」

 浩子は、タオルで猫を拾い包んだ。

「それであなた達は」

 綾香が名前を聞いた。

「えっと私は岡本浩子、さっきも言ったけど常徳学園で魔法習ってるの」

「魔法ってあのコンピュータ使うあの?」

「そう、『デジタル魔法』って言うの」

「私は浦多香子、あんた何処かで見たような・・・」

 二人は岡本浩子ともう1人は浦多香子、俺も何処かにで見たような気がしている。

「そう?だったかな」

「あっ、私は中野綾香、こっちは朝倉裕貴、車に轢かれそうになった猫を助けようとしたのだけど間に合わなくって」

「でもそんな大怪我してまで猫ちゃん助けようとしたのだから猫ちゃんも分かってくれるよね」

 岡本浩子は寂しそうに言った。少しして救急車が到着した。

 俺は救急車に乗り綾香を呼んだ。

「綾香、早く乗れよ、病院行くのだろ?」

「うん」

 そう返事して綾香も救急車に乗り込んだ。

「じゃあ私達はここで良いかしら」

 浦が地面に置いた鞄を持ってから俺達に言った。

「裕貴を助けてくれて有り難う」

「良いのよ、それに応急処置だからちゃんと治療して貰って」

「ああ、有り難う」

 岡本の言葉に俺は簡単にお礼を言った。

「行きます」

 俺と綾香は走り出した救急車の窓越しに手を振り岡本と浦にお礼をしていた。


「岡本浩子編 10章 デジタル魔法の実力 3話」でいよいよ朝倉裕貴と岡本浩子が接触します。そして会話の内容が完全リンクしています。(悪く言えばコピペです)

 しかし両者が発した言葉の状況や心理は各々が異なります。(会話をコピペしたが故に両者の立場や物語の前後の調整が難しかったです)

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