1部 12芒星魔方陣 編 8章 さりげなく綾香の本気 1話
放課後になって、俺は携帯を見た。まだ綾香からのメールは来ていない。俺から綾香に授業が終わった事だけメールを送って置いた。
「裕貴君、これから時間有る?」
「高塚、朝倉はこれから奥さんとデートなんだから邪魔したら行けないよ」
朝の俺と綾香の話を覚えていたのだろう、渡邊が冷やかした。
「誰が奥さんだ、でも、これから綾香と約束があるのだけど、何か有った?」
俺は鞄に教科書を詰めながら言った。
「裕貴君に合わせたい人が居たのだけど、じゃぁまた今度にしておくね」
「悪いな、また頼むよ」
「んうん、良いのよ、急な話だったし」
高塚と別れて教室を出た後、俺は学校を出て学園内に有るプラザタウンに向かった。
学研都市の広さはおよそ東西南北10キロ程度有りその中に居住エリア内にいくつかの小学校と学校が集中するエリア、研究施設が多いエリアなどいくつかに区画整理されている。
俺の通う成神高校と、綾香の通う大誠学園迄の距離はおよそ500m離れているが家から学校に向かうまでの方向が同じ為、いつも一緒に通っている。プラザタウンはこの辺りでは大型の商店街になっていてダイヤモンドダクトと言う大型のショッピングセンターも在る。
ここからだと、綾香の学校に向かうよりもプラザタウンに行く方が効率が良い。
綾香からメールが届いた。少し遅くなるから先に行って待ってて欲しいと書いてあった。
プラザタウンに着いたところで、オープンテラスになっているモンローというカフェでアイスコーヒーを飲んで待っていた。
お互いの待ち合わせには良い場所で、通りが広場になっていて中央にピカソが作った様な不思議なオブジェが有り。カフェはその広場の周囲に有るお店の一軒だ。
そのカフェで待つ事15分、綾香がやって着た。
「ごめーん、待った?」
「まあちょっとな、それより、少し休憩したら?」
綾香は走ってきた様で息を切らしている。俺は綾香の分のアイスコーヒーを買ってテーブルに置いた。「有り難う」とお礼を言ってストローで一気にカップの半分程飲み干した。
「なんで能力使わなかったんだ?飛んできたら直ぐだろ」
「能力は普段使ったらいけないのよ?知らないの」
「だったら、朝、能力使って学校行ったのは何処のどいつだ?」
「あの時は、裕貴が寝坊するから学校遅刻しそうになったんだもん」
「俺のせいか」
「そうよ!そう」
綾香はそう言いながらアイスコーヒーのストローを咥えた。
「それで、何を買う予定だったんだ」
「新しい服を買うからつき合って欲しかったの」
慌ててアイスコーヒーを飲んでいた綾香は、そのままの様子で答えてまたアイスコーヒーを飲み始めた。
「それって、俺が必要か?」
「だって見て貰わないとどんな服が似合うか分からないでしょ」
「分かったよ、じゃあ早いこと済ませう」
綾香はそれを聞くと一気にアイスコーヒーを飲み干し俺の手を繋いだ。
「早く行こ!」
綾香に手を引っ張られながら『ダイヤモンドタクト』に入った。中はファッション誌に載るような可愛い服や小物を扱っているお店だ。
学研都市は街の人口の7割が学生で構成されている為、商品の価格は低く抑えられている。学生の中にはカリスマデザイナーがデザインした衣料品や小物も有って人気がある。
洋服売り場に来た綾香は俺を置いて新しキャミソールを見ていた。
「どお?これに合う」
手にとったピンク色のキャミソールは綾香に似合っていたが。
「こっちの方が似合うと思うけど」
俺が手に取ったオレンジ色と白のストライクのキャミソールを見せた。
「うーん、そっちより似合うと思うけど」
綾香は2着の服を鏡の前で見比べていた。
「試着してくれば」
「うん、じゃあちょっと待ってて」
そう言うと試着室に入っていった。やっぱり周りの人が女子ばかりでやっぱりちょっと浮いてる。しばらくしてピンク色のキャミを着て見せた。
「どお?似合う?」
「似合うよ」
「良かった、じゃあ両方買う」
「そんなにお金有るのか」
「今回は小遣い余分に貰ったんだ。それにキャミに合わせる服も買わないと」
「って事はまだ買うのか?」
「そ、スカートかホットパンツのどっちにしよう」
「とりあえず、試着してみれば」
「そうね」
綾香はミニスカートを選んでいた。
「そんなミニばっかだけど、ロングスカートとかも選ばないのか?」
「こっちの方が可愛いじゃない」
「いつもミニスカートばっかだから気になっただけだけど」
綾香の普段着はミニスカートが多い、俺は嫌じゃ無いけどいつもそんな格好で良いのかなっと?たまに思う。
結局、黒のホットパンツと淡い青色のフリルの付いたミニスカートを買った。
カフェ「モンロー」で朝倉裕貴と中野綾香の会話は、第3主人公、岡本浩子編、「10章 デジタル魔法の実力 2話」でニアミス(2人の会話を岡本浩子が聞いている)している事がわかります。読み比べてもらうとこの物語の深さがお判りいただけるとおもいます。




