第14話 炎と氷の作戦会議
アンブルに乗って夜空へと飛び出したフェルナンドとルミを、ハーピィたちが取り囲む。彼らは一斉に光線を浴びせてきた。
「上! ちょっと下がれ!」
「きゅい」
フェルナンドは必死にアンブルに指示を出し、攻撃を避けた。
「ルミ」
「分かった」
ルミはすっと両手を上げる。フェルナンドは背後から彼女の魔力を安定化させた。
その瞬間、吹雪がハーピィたちを包み込む。バランスを崩してよろめいたところに、氷の矢が雨のように降った。
「やべえな」
「フェルのおかげ」
「そうかよ。っ、アンブル、上向け!」
「きゅいっ」
上空の敵を焼き払う。フェルナンドは眉間にしわを寄せた。
「……ちっ、キリがねえ。……ルミ、鳥を出せるか?」
「できるよ」
「よし、鳥に突撃させる」
「いいよ。何羽?」
「とりあえず十羽。周りを囲え」
ルミの周囲に氷が集まる。次々と鳥の形を取り、十羽の氷鳥が夜空へ飛び立った。
「行って」
氷鳥たちは一斉に散開する。鳥たちは光線を受け止めた。
「よし。アンブル、突っ込め」
「きゅい」
アンブルは姿勢を低くして突っ込んでいく。フェルナンドはルミをかばうように抱きしめた。アンブルはハーピィたちの群れをすり抜け、そのまま夜空を駆け抜けていく。
「もうちょっとで谷抜けるぞ」
「分かった」
フェルナンドは最後まで気を抜くな、と前を見据える。その時だった。
不意に周囲のハーピィたちがざわついた。一斉に進路を変え、逃げるように散っていく。
「……なんだ?」
顔に影がかかる。ばさり、と空気そのものを叩くような巨大な羽音が響いた。
「ぐるるる……」
見上げた先には、鈍く輝く金属の鱗を持つワイバーンがいた。
ワイバーンは大きく口を開け、白い熱線を吐く。
「上に避けろ!」
「きゅい」
アンブルは瞬時に上昇し、熱線をかわす。どぉおんと爆音がした。フェルナンドが思わず振り返ると、着弾地点の崖は大きく穴が開いて抉れていた。ルミは手を前に出して、氷の剣を飛ばす。だが、硬い鱗に阻まれて、傷一つつけることができなかった。
「攻撃が通らない」
「……鱗が金属っぽいな。厄介だ」
「……何か策は?」
「考える。牽制頼む」
「いいよ」
ルミは吹雪でワイバーンのバランスを崩そうとする。だが、巨大な羽根はびくともしない。
フェルナンドは目を細めて観察する。ワイバーンの全身は金属の鱗に覆われていた。金色の目が動く。そして。
「……首」
「え?」
「首の付け根だけ鱗が薄い。で、ここには炎と氷がある。いけるな」
フェルナンドは笑みを浮かべる。
「何する気?」
「熱衝撃だ」
「熱衝撃?」
ルミは首を傾げる。
「金属は熱で膨らんで、冷気で縮む。それを無茶苦茶な勢いで繰り返す」
「つまり?」
「炎と氷で連続攻撃だ」
「分かった。タイミングは?」
「俺が指示する」
「いいよ」
ルミはこっくりと頷く。
「ルミはとにかく冷たい氷、アンブルはとにかく熱い炎だ」
「きゅい?」
「分かんねえ? ……とにかく全力で焼け」
「きゅう?」
「だめか。しゃーねーな。口開けとけ。俺が制御する」
「きゅい!」
「おう。任せとけ。行くぞ」
フェルナンドは口角を上げる。アンブルの「きゅいー!」という咆哮が夜空に響き渡った。
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