第13話 子竜と脱出作戦
「ちょっとだけ待ってくれ。証拠探す」
フェルナンドは棚を漁り、売買記録や公爵子息の名前が入った書類など、いくつかの書類を拝借する。
「あ、そうだ。魔力封じの首輪と枷、ある?」
「吹っ飛んだ」
「おー、壊れたのか。……ん?」
フェルナンドは顔を上げる。
「吹っ飛んだ?」
「うん」
「魔力封じが?」
「うん」
「……とんでもねえな」
「だって、フェルが酷い目に」
「……そうかよ」
彼は口元を腕で覆った。一度深呼吸をしてから口を開く。
「……拾っとくわ。あっちの部屋?」
「うん、あっち。手伝おうか?」
「頼むわ」
二人で欠片を拾い集める。フェルナンドは欠片をつまみ上げた。
「……砕けてる。……バケモンかよ」
その言葉にルミは聞こえないふりをした。
欠片を拾い集めたところで、フェルナンドは「じゃ、帰るか」と立ち上がる。
「どうやって?」
「アンブルに乗って」
「……意外と、普通?」
「な? そこまででもねえよ、って言ったろ」
フェルナンドはにんまりとした笑顔を浮かべて続けた。
「せいぜい氷と炎をぶっ放しながら帰るだけだ」
「普通じゃなかった」
ルミは呆れたように笑う。
「じゃあ、アンブル。でかくなれ」
「きゅい」
「もう? 出てからじゃないの?」
「外に出てから乗ったんなら、いい的だ」
「……ドア、通れなくない?」
「ぶっ壊せばいいだろ。強度もそんなに高くなさそうだしな」
「……私、フェルの普通が分かんなくなってきた」
「言ってろ。……しまちゃんは飛べる?」
フェルナンドはルミの肩に乗っているしまちゃんを見た。
「ぴい」
彼は首を横に振る。
「じゃ、しまっとくか」
「それがいいと思う」
ルミはしまちゃんをしまう。アンブルは大きな咆哮をあげて巨大化した。フェルナンドはすっと飛び乗る。
「フェル、アンブル。エスコート、お願いね」
「おう。お手をどうぞ、女王サマ」
ルミは差し出された手を取る。フェルナンドに支えられながらアンブルの背へ乗った。彼は彼女を後ろから抱える。
「ルミの分も制御した方がいいか?」
「別にいいよ。安定化とかだけ、余裕があったらやって」
「仰せのままに。行くぞ、アンブル。ぶっ放せ!」
「きゅいぃぃぃ!」
アンブルの口から火の玉が飛び出す。爆音とともに小屋の正面が吹き飛んだ。
アンブルはそのまま大きく翼を羽ばたかせ、夜空へと飛び出した。
読んでくださりありがとうございました。評価、いいね、ブックマークをしてくださると励みになります。




