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ネザーワールド リヴァイヴ(冥界蘇生) 1~絶望の未来を書き換えろ。地獄還りの少年が挑む、禁断のタイムリープ戦記!~  作者: たくみふじ
第三章 絆の在り処

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十八歳の胎動と、天を焦がす神々の焦燥㈡

千年の地獄を耐え抜いた魂が、神々に抗い『陽だまり』の日常を守る!

「……それで? またしても、あの小僧どもの魂一つ、狩れなかったと申すか。貴様ら死神も、地に落ちたものだな」


「も、申し訳ございません、スサノオ様……! ですが、あのカイという小僧の力は、我らの常識を遥かに超えております。地獄の番人たちの力さえも無効化するなど……」


「言い訳は聞かぬ!」


 スサノオの怒声が轟き、空間そのものがビリビリと震える。ヤミの体が、恐怖で跳ね上がった。


「よいか。我が目的は、あの双子を殺すことではない。生きながらに捕らえ、我が支配下に置くことだ。特に、カイ。あの者の魂に眠る『空虚』の力は、いずれ我らの支配さえも無に帰すやもしれん」


 スサノオは、焦っていた。彼が恐れているのは、地獄の言い伝えだけではない。天界にのみ伝わる、ある禁断の予言があったからだ。


『地獄より生まれし「無」は、人の理にて二十歳を迎える時、万物の理を覆す「絶対」へと至る』


 二十歳。人間としての成人。その時、カイの力は完成し、神々さえも手出しできぬ、絶対的な創造主の力へと変貌する。そうなれば、スサノオの野望――天界を転覆させ、自らが新たな王となる計画――は、永遠に潰えることになる。残された時間は、あと二年しかない。


「十八の覚醒が始まった今こそが、最後の好機。奴の魂が新たな力に戸惑い、最も無防備になる瞬間を叩く」


 スサノオは立ち上がり、虚空から一本の異形な槍を取り出した。切っ先が三つに分かれ、黒い雷を纏った神具、「天逆鉾(あまのさかほこ)」。彼はその穂先を、ヤミの鼻先に突きつけた。


「ヤミよ。最後の機会だ。我が眷属(けんぞく)、『荒魂(あらみたま)』を率いて地上へ(おもむ)き、双子の魂を狩ってこい。今度しくじれば、貴様の魂は塵となって消えると思え」


「は、ははっ!」


 ヤミは、恐怖と、与えられた強大な力への高揚感に震えながら、深く頭を垂れた。

 スサノオの影から、無数の異形が湧き出す。それは、嵐、地震、疫病といった災厄そのものが形を成したような、荒ぶる神の使い、「荒魂」たちだった。これまでの死神たちとは比較にならない、純粋な破壊の軍勢が、地上へと解き放たれようとしていた。


 夜。ひかりの家での誕生日パーティーは、クライマックスを迎えていた。テーブルには、ひかりの手作り料理が所狭しと並んでいる。ハンバーグ、グラタン、色とりどりのサラダ。そして中央には、十八本のロウソクが立てられた大きなデコレーションケーキ。


「カイくん、ソラちゃん、誕生日おめでとう!」


「ありがとう、ひかり!」


 ソラが満面の笑みでクラッカーを鳴らす。クロも、「わん(うまそうだ)」と尻尾を振っている。カイは、ロウソクの火を見つめながら、ふと、胸の奥のざわめきが大きくなっているのを感じた。


(……なんだ? この、近づいてくる気配は……)


 先ほどまでの「全能感」とは違う。肌を刺すような、圧倒的な悪意と、破壊の予兆。

 その時。


バリンッ! 


 突如、窓ガラスが激しく振動し、ひび割れた。


「きゃっ!?」


 ひかりが悲鳴を上げる。外を見る。真夜中のはずの空が、紫色に染まっていた。月は赤い霧に覆われ、不気味な光を放っている。そして、空から、黒い雨のようなものが降り注いでいた。


「……来たわね」


 ソラが、瞬時に戦闘モードの表情に切り替わる。彼女の千里眼が、上空に展開された巨大な魔方陣と、そこから溢れ出す無数の異形を捉えていた。


「ただの死神じゃない……。もっと、禍々(まがまが)しい。神様の気配がする」


 カイは、ひかりを(かば)うように前に出た。


「ひかり、警察と気象庁のデータを! 何が起きているのか、確認してくれ!」


「も、もうやってる!」


 ひかりは震える手でノートパソコンを開き、キーボードを叩いた。


「……嘘……。街中が……」


 モニターに映し出されたのは、地獄絵図だった。突如発生した竜巻が家屋をなぎ倒し、紫色の雷が電柱を焼き払っている。そして、その嵐の中を、半透明の怪物たちが闊歩(かっぽ)し、破壊の限りを尽くしている。ニュースキャスターが、絶叫に近い声で「局地的な異常気象」を伝えているが、それが自然現象でないことは明らかだった。


「奴らの狙いは、街の混乱だ! 僕たちを誘い出すために、街ごと人質に取ったんだ!」


 カイが叫ぶ。


「行くぞ! 僕たちで、奴らを止める!」


「わん! (承知!)」


 クロが、その場で黒い光に包まれる。三分間の変身。今回は、迷わず最強の形態を選んだ。光の中から現れたのは、雷を纏った巨大な狼――「雷狼(らいろう)」。嵐を相手にするには、雷の力が最も有効だと判断したのだ。

 カイ、ソラ、そして雷狼となったクロ。三つの影が、ひかりの家を飛び出し、荒れ狂う嵐の中へと突入していった。ひかりは、彼らの背中を見送りながら、必死に情報を収集し、彼らに最適なルートを指示する。


「三人とも、死なないで……!」


 十八歳の誕生日の夜。神々をも巻き込んだ、新たな、そして最も過酷な戦いの幕が、切って落とされた。

X(Twitter)でも連載しています。

https://x.com/TakumiFuji2025

魅力的なキャラクターたちが躍動する物語をお楽しみください。

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