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虐げられた無能令嬢ですが、公爵様に甘やかされて溺愛されています。~もふもふと美味しいご飯付きで~  作者: 桜ましろ


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第4話 契約内容について

 フリューゲル公爵――リオン様と対面した後、私は「まだ仕事が残っているから」とリオン様に別の部屋に案内された。


 案内された部屋の隅に置かれたゲージの中に、銀色の毛並みの子犬がいた。


 ――もふもふしてる。


 銀のように輝く柔らかな毛、好奇心いっぱいの青い瞳。


 瞳の色がリオン様に似ている気がして、つい近づいて観察してしまう。


「気に入ったか?  それは銀獣(ぎんじゅう)という。魔物の多い北部では魔物討伐の際の相棒として、背に乗って闘うんだ。それは最近生まれた幼体だ」


「わっ!?  はい。可愛くて、気に入りました」


 リオン様に後ろから突然声をかけられてビクッと肩を震わせてしまった。


「触るか?」


「いいんですか?  是非触りたいです」


「ああ、そこのソファに座りなさい。膝の上に乗せてやる」


 言われた通りにソファに腰を下ろすと、リオン様が幼体の銀獣をそっと私の膝の上に乗せてくれた。


 その膝の上に乗せられた銀獣の幼体は程よい重さであたたかい。


 ふわふわで指で触ると柔らかな毛が指の間をすり抜ける。


 小さな肉球はぷにぷにと弾力があり、ずっと触っていたい。


 銀獣の幼体は私の手に顔を擦り寄せて、くぅんと小さな声で鳴く。


 (私って⋯⋯もふもふした動物、こんなに好きだったんだな)


「婚約の話について、ちゃんと説明しようと思っていたのだが⋯⋯」


 顔が蕩けそうになるのを自覚しながら堪能していると、リオン様が静かに切り出してきた。


 私は銀獣を撫でながら、勇気を出して言った。


「リオン様から今回の婚約を申し込まれたと聞きました。でも、私の治癒の能力を目当てでしたら⋯⋯私は能力を使えませんので、ご了承ください」


 私が治癒の能力を持っているとこは、洗礼式で発表されてしまった為、知ってる人は多い。


 そして、その力を使えない無能だと言う話も広まっているはずで、公爵が何故私を婚約者に選んだのか疑問しかない。


 リオン様は私の前に屈み、視線を合わせて優しく微笑んだ。


「知っていて、アリス、君に婚約を申し込んだ。迷惑だったか?  他に好きな相手がいたのなら、申し訳ない事をしたと思っている」


「知っていたのなら⋯⋯何故?  私は何の役にもたちませんよ?  他に好いてる相手はおりませんが⋯⋯」


 リオン様は少し照れたように目を細めて、甘く囁くように言った。


「アリスが好きなんだ。私は君に一目惚れしたんだ。私の婚約者になってくれるか?」


 突然の言葉に、私は耳まで真っ赤になって口をぱくぱくさせてしまった。


 心臓が今までに無いほど速く動く。


 (どうゆうこと?  今日初めてあった人に告白されている!?)


「アリス」


「ひゃい⋯⋯」


 緊張のあまり情けない声がでてしまった。


「君には何不自由なく、生活できるように心がける。婚約者になってはくれないだろうか?」


 家を追い出された伯爵家の令嬢が、公爵家からの縁談を断ることなんて出来る訳もなく。


 私は美しく揺れる青い瞳で見つめられて、こくりと頷くことしか出来なかった。


「⋯⋯美味しいご飯が⋯⋯食べれれば、私は、それでいいです」


 リオン様はくすりと笑って、すぐに頷いた。


「もちろんだ。好きなだけ食べたい物を食べていい。⋯⋯それと、銀獣の世話も、好きにしていいぞ」


 私が銀獣を気に入った姿を見て、銀獣のことまで付け加えてくれた。


 私はご飯の保証ともふもふの銀獣まで手に入れることになった。


 こんな私に有利な契約内容で、本当にいいの!?

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