79 魔法都市マギアージュに到着しま……えっ、通れない?
「ど、どうなっておるんじゃ。スフィアが砕け散るなんて聞いたことないぞ! お主は一体……」
「えっ。あっ、その……た、ただの町娘ですケド……」
「お前のような町娘がおるか‼︎」
誰もが露天商さんの意見に納得のご様子だった。
いやあの違うんです。
本当そういうのではなく。
しっかしそれにしても凄い勢いでぐにゃんぐにゃんなったな魔法球。
魔法力が未曾有の6000以上だからってのもあるけどさ。
予期せぬうちにオチ要員になっちゃったよ。
まあ仮に壊れずにめちゃくちゃ光ったとしても、それはそれで全員を失明させかねないと思ったので、そうなる前に破壊されたのはある意味で救いだった。
店主さんに破壊したスフィア代として3000万Gを放り投げ、私たちは船着場を後にすることにした。
なんかまた後ろで露天商さんがひっくり返ったような音がした気がするけど気のせいだろう。
やはり金は全てを丸く収める。困った時の支払いだ。
「いやーすげーですよミランダは。勇者とかレイブンとか全員を黙らせるほど魔力がやべーんですから」
「そ、その話は掘り下げないでくださいジーカちゃん……!」
「なんでですか? めちゃくちゃつえーんだから堂々としてりゃいいです」
私がメインキャラを食うような出過ぎた真似をしてはならないのだ。
もういよいよピンチになった時だけ!
手も足も出なくて死にそうになった時だけミランダさんは本気出すことが許されるんだから。
普段はお淑やかな町娘ヒロインなんだから。
もう今更手遅れだとは思うけども‼︎
色々あるとは思うがまずはマギアージュだ。
目の前に広がる大平原を越えた向こうに、大魔法都市マギアージュはある。
もちろん道中魔物が何体も襲ってきたが、最難関ルートガルガンドラを踏破した私たちにとっては吹けば飛ぶ紙切れのような存在ばかり。
即死も状態異常も守備力無視攻撃も使ってこないようなひよっこに今の私たちを止める手立てなどない!
ひたすら初手なぎはらいを繰り返していたら、また職業レベルが上がったようだ。
【戦士やり手☆4 → 戦士たつじん☆5】
【特技:ドラゴンブレイクを習得しました】
これで装備品による特攻に加えて更なるドラゴン狩りが期待できるようになった。
欲を言えばこれをガルガンドラで取っておけば、より楽になっただろうに。
とはいえ今後もドラゴンらしいドラゴンは現れるので持っておいて損はない。
その場合攻撃力7000超えの特攻マシマシオーバーキルを食らってミンチ肉になってしまうだろうが。
そして更なる美味しいポイントとして、道中ではここより加速魔法【ヘイスト】を使ってくる【ヘイストビースト】なる魔物が出現してくるため、私は彼らより【ヘイスト】の魔法を覚えることができた。
ヘイスト。英語ではhasteの綴りで知られている。
急ぐとか性急なとかそういう意味の単語だ。
ファンタジーやゲーム作品では専ら行動が速くなったりする呪文として知られている。
ファンタジアシリーズにおいては、全作品共通で【1ターンに2回行動が可能になる】という効果になってる。
一応この世界でも1攻撃につき1ターン消費され、次は味方・相手の攻撃やカウンターになり、また次に行動順が回ってくるという仕組みに大体なっている。
このヘイストを使えば、1人で2回も行動が可能になるというとんでもないチート状態になる。
まずいつもやっていた筋トレ+カウンター戦法も、無敵状態になってから追撃の攻撃が可能になるという掃討にもってこいなことができる。
いやもっといえば自分に強化魔法をかけた後にそのまま強化された状態で攻撃を行うこともできる。
ちなみにヘイストはかけた後にすぐ効果を発揮する。
よってヘイストを唱えた時点で、次になにかしら任意の行動が取れる。
そしてⅥシリーズでは、デバフ攻撃を受けない限り効果は戦闘が終わるまで永続的に続く。
重ねがけしても効果は倍増しないが、これはとても嬉しい。
覚えたたてのヘイストで攻撃してみると、素早さ9999もあって世界が止まって見える。
自分だけ音速で動いているみたいだ。
MPを消耗するんでそうそう連発はできないのが難点だけど。
そんなこんなで特に苦戦することもなく、私たちは大都市マギアージュに到着することができた。
「うわーっすごい!」
そこはまさしく魔法に溢れた大都会といった感じで、まず一番最初に目を引くのが空飛ぶ絨毯に乗る人、ほうきで空を飛ぶ魔法使いなどである。
ここからいかにも〝魔法都市〟な幻想的な雰囲気が全開となる。
広さもこれまで見た街の比ではなく、城塞国家であったガルガンドラを見ても明らかに倍近く人や建物が存在している。
その圧倒的な風景に、ジーカちゃんも言葉を失って息を呑んでいた。
「ひゃーっ相変わらずすげぇなぁここは」
私(中の人)を除けばマックスさんだけはメンバーで唯一、マギアージュを知っているので、彼のみ驚いている中でも感慨深げにしていた。
「いらっしゃいませ。これより先は魔法都市マギアージュでございます。皆さん通行証か何かはお持ちでしょうか?」
入り口でいかにも魔法使いな見た目をしておられるお姉さんに止められた。
はて、通行証とな。
そんなもの持ってたっけ。
いやまあなんとなくスラッシュくんが持ってるだろうと踏んでいた全員は、彼が無言で帰ってきたのを見て驚いた。
「どうやらこの先には進めないらしい」
「ええーっ⁉︎」
来て早々数分。
まさかの門前払いを食らってしまった。




