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16 モンスターとの激戦、勇者との初共同戦線

 私たちがこれから向かうのは龍人が支配する城塞国家『ガルガンドラ』。

 そこに至るまでの道は、人を寄せ付けぬ魔境『絶壁の登山道』のみだ。


 ――と更にそこに至るまでの道がまあ色々とあるわけですが、まずは要所要所追っていきましょう。


 最初にたどり着くのは『オーネスの村』。

 ここは我々がこれから赴く雪国と、そうでない『アンブラ』寄りのちょうど境目に位置する村だ。

 一応ここでも防具の購入や、できるイベントがそれなりにあるので、焦らずゆっくりと見ていこう。


 本来なら次の街か行けるとこまで行ってから強めの武器・防具を購入するのが常なのだが、勇者たちの進行先にそのような装備品が買えそうな施設は当分存在しない。


 次に越えるべき場所は関所で、そこで巨大な橋を渡ってから山沿いの洞窟に進んでいくのだ。

 その山沿いの洞窟を最上階まで抜けるとようやく到着するのが『絶壁の登山道』だ。ここまでのルートに一切の無駄な寄り道は無い。


 この勇者さんは最短ルートを選択しているようで、寄る村や街が一番少ないというミランダさんからしてみればありがた迷惑な話となっている。


 なにせ中盤を急ぎ足で攻略すればするほど、彼女の死別する運命が早まるのだから。

 当然そんな事この勇者一行が知る由もない。

 『私これから死ぬんです! だから冒険に出ませんor冒険遅らせてください!』なんてどの口が言えようか。

 この世界がもしゲームに忠実であるなら、多分そういったキャラクター性を逸脱するような行為は出来ないようになっているはずだ。


 んなこと言ったらその死別を拒否しようと鍛えまくってる今の私はどうなんだという話にはなるが、戦闘や運命からガン逃げの後ろ向きな一手と、私のようにあるもの総動員して全力を尽くして立ち向かう前向きな一手との違いだろう。

 後ろ向きなのは何のドラマも生産性も生まない卑屈過ぎる案なので、そういう系は許されないに違いない。

 それにそんなことをさせるためにわざわざ不幸オンパレードのミランダさんに転生させた訳ではあるまい。


 よって今できる事は全てセーフなのだ。バグでもスキルでもなんでも。

 もしこの世界に神とやらがいて、ミランダさんが運命に抗えるかどうか観察しているというのならしかと見せつけてやる。


 これまで誰も見たことのない彼女の姿を。

 限界まで育成したミランダさんの真価というものを。


 まだ見ぬ地方を目指し、私たちは突き進んでいった。

 大丈夫だ。ここまでなら何があっても平気なはずだ。

 何せ今はもう1人旅では無い。

 しかも自分より遥かにレベルの高い仲間が3人もいるのだ。

 初撃の一発のみならば、私も安全に耐えられる。

 この強いメンツでなら、一度くらい魔物が私に攻撃をくれてくることもあるだろうが、大抵は速攻で終了するだろう。2撃目は絶対ない。そこまでかからないだろうから。


 そうしてミランダさん的にも久しぶりな4人勢揃いパーティーの前に、巨大な敵が囲むように現れていった。


「――くっ、こいつら……ビッグ・フットか!」


 ビッグフットの群れがあらわれた!


 私たちはビッグフット×4によって雪道の足止めを食らってしまった。

 全長50メートルはありそうだ。

 その大きな足は家数軒分に匹敵する程のデカさを誇っている。

 人間1人くらいなら簡単にぺしゃんこにできそうだ。


 よし。一刻も早く敵を倒して先に進むぞ。

 戦闘は基本長引けば長引くほどこちら側が不利だ。

 私のスキル『忍耐の心』で獲得経験値は上がるのだが、それは飽くまでも勝てる相手の話。

 勝てない相手とタイマンはって、しぶとく生き延びてみたもののやられてしまい、経験値が得られないというのが一番情けない。


 早速バリアはるべく私は筋トレに勤しんだ。


「…………あの、ミランダさん。何してるの?」


「何って筋トレですよ筋トレ。腹筋をちょっと!」


 多分レイブン君が聞いていたのはそんなことじゃなかったのだろうが、これは必須の予備動作なのだ。

 これを戦闘開始時にしっかりと行っておかなければ、もうバリアをはる事ができなくなる。それは非常にもったいない。


 やがて戦士と勇者の怒涛の剣捌きが舞い踊る。

 ビッグフットは肉を断ち切られ、大きな足を激しく揺らして大地に地震を発生させるほど踏みつけていた。


 よし。今がチャンス――。


「『雷魔法』」


 私がそう唱えると周囲に雷雲が立ち上り、ビッグフットの頭上に雷を叩き落としていった。

 しかしそれだけでやられる彼らでもなく、今度は私めがけて踏んづけようとしてきた。


 だがまるで某ロボットアニメの絶対障壁のように、周囲の空間を歪ませながらビッグフットの多足が私の頭上とぶつかり合う。


 その様子に驚き、勇者たちは唖然としていたが、そうしている間も私の『反撃』の準備はいつでも整っていた。


 巨大な竜巻の群れが、ビッグフット4匹組を目掛けて飛んでいく。

 雷を受け身を焦がし、立ち尽くしていた彼らは全員突如として急接近してくる大風に巻き込まれていき、最終的に跡形も無くなってしまった。


 ビッグフットのレベルはおそらく28。

 ジャイアントキリングによるスキル効果と、それにより放たれる雷魔法と弱点属性の『風』を用いたコンボ技。

 クリティカル判定でもあれば、もっと早く片が付いていたかもしれない。


 ビッグフットたちを倒した!

 どうにか危なげなくこの戦闘を乗り切ることができてほっとした。

 ビッグフットも通常ならエンカウントテーブル誤魔化してるレベルで強敵。

 適正帯ではまるで歯が立たない、初見殺しのトラウマ級強さを持つ怪人だ。


「ふーっ、順調順調。やっぱパーティーは4人でなくっちゃね」


【ミランダさんのレベルが上がりました】


 しかもまたまた嬉しい事にレベルまで上がった。

 能力値上昇は素直に喜ぶべきことだが、同時にジャイアントキリング発動も遠のくのでなかなかに複雑だ。


 更にレベルアップに際して少し魔法や特技を覚えたようだ。


『毒浄化魔法』


『守備力増加魔法』


 おお。ついにサポート系がいい感じに出揃ってきたか。

 これらは全てミランダさん自身が覚える技なので、これが正規プレイ時のミランダさんの初習得技なのかもしれない。



「さ、行きますよ皆さん」


 この時、颯爽とビッグフットの群れを薙ぎ払った私に、他のメンバーがはっとしたまま動かなくなっていたのはまた別の話……。


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