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六人掛けの食卓  作者:
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第二章 アルバムの中の視線

ここからはこの話を聞いた私が考えた創作であり、フィクションです。そのため、この話に関して個人的に調べるといった行為はおやめください。




第二章 アルバムの中の視線


あのアルバムの中を見てからというもの、Aさんは落ち着かない日々を過ごしていた。


写真を見るたびに、同じ違和感が胸の奥に引っかかった。


叔父はいつも自分の隣にいる。


妹は叔父を見ている。


そして自分は、そのことを不自然だと思った記憶がない。


ある日、Aさんは思い切って今は別の県にいる妹に連絡を取った。


数年ぶりだった。


近況を話したあと、Aさんは何気ないふりをして聞いた。


「昔のアルバム、見つかったんだけど覚えてる?」


電話の向こうで、妹は少し黙った。


「覚えてるよ」


その返事は、どこか硬かった。


「変なこと聞くけどさ」


Aさんは続けた。


「私と叔父さんって、仲良かったっけ?」


今度は長い沈黙だった。


そして妹は、小さく言った。


「覚えてないんだね」


その言葉に、Aさんは妙な寒気を覚えた。


「何を?」


そう聞き返しても、妹は答えなかった。


代わりに、


「お姉ちゃん、本当に覚えてないんだね」


とだけ言った。


その夜。


Aさんは眠れなかった。


頭の中で、写真が何度も浮かんでは消えた。


叔父の手。


妹の視線。


あの夜の食卓。


午前三時を過ぎたころだった。


Aさんはふと、実家にある自分の部屋に昔の日記がまだ残っていたことを思い出した。


次の休みの日にAさんは車を飛ばし、実家へと向かった。


もう実家には叔父は住んでおらず、玄関を開けると両親が出迎えてくれた。


両親をあしらいつつ自分の部屋へ行き、中を探すと、小学生の頃の日記帳が見つかった。


何冊もあった。


そのほとんどは、他愛もない内容だった。


学校のこと。


友達のこと。


家族旅行のこと。


しかし、一冊だけ妙なものがあった。


数か月分のページがごっそり破られていたのだ。


破られたページの前後を読む。


文章は不自然につながっていた。


まるで、その期間だけ何かを消したように。


そのときだった。


一枚の紙が日記帳の間から落ちた。


妹の字だった。


『お姉ちゃんへ』


そう書かれていた。


手紙は途中で終わっていた。


『お姉ちゃんは悪くない』


『お姉ちゃんは何も悪くない』


『だから私のことは気にしないで』


そこまで読んだところで文章は途切れていた。


Aさんはしばらく動けなかった。


なぜ妹がこんな手紙を書いたのか。


なぜ自分は受け取った記憶がないのか。


そしてなぜ、妹は電話であんな反応をしたのか。


翌日。


Aさんは会社を休み、会社のお昼休憩中の妹に会いに行った。


そこら辺にあるカフェに行き、二人向かい合わせで席に着く。


長い沈黙のあと、妹は言った。


「あの夜のこと、覚えてる?」


Aさんは首を横に振った。


「私は覚えてる」


妹はそう言った。


「あの日、お姉ちゃんは廊下にいた」


「私はお姉ちゃんを見てた」


Aさんは黙っていた。


妹は続けた。


「お姉ちゃん、自分が怖がってることにも気づいてなかった」


その言葉を聞いた瞬間。


Aさんの脳裏に、写真の中の叔父の姿がよみがえった。


肩に置かれた手。


背中に添えられた手。


いつも近くにいた姿。


そして、自分だけが思い出せない時間。


妹はそれ以上何も言わなかった。


Aさんも聞かなかった。


聞けば、戻れなくなる気がしたからだ。


帰り際、妹は一言だけ言った。


「私、ずっとお姉ちゃんを見てたんだよ」


あの夜、食卓で怯えていたのが誰だったのかだけは。


もう間違えない気がしていた。


次が最後かも!!

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