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旅路

「やっぱり夜の狩りは熊が1番大変だったわ」


「え・・・私的にはフクロウが厄介だったわ。上空から魔法攻撃は卑怯だと思う」


「サンドラは相変わらず魔法攻撃に弱いからね。もう魔法防御のステータスアップ狙いで何か魔法スキルを取っちゃえば?」


ヒルデがサンドラに声を掛ける。


「ん・・・考えとく」


そんないつものやりとりを済ませ、日が昇り始めた頃に、ログアウトポイントを出発し第3の村への街道を歩き始める。

アインとラメド、シエロはネックレスに戻してある。


「しかしエリザってあまり戦闘で被弾しないよね?」


なぜか1番戦闘で被弾してるイメージがあるヒルデが話し掛けてくる。


「当たり前でしょ?私は2人と違って紙装甲なんだから被弾したら簡単に死んじゃうんだから。魔物と正面から打ち合えないんだからね?」


「それにしたって上手く攻撃を避けるなと思って」


「あ・・・【服】スキルのステータス補正ってHPや耐久は伸びずに速さ関係が伸びてるのかも?走る速さは速く成ってる気はしないけど、咄嗟の反応と言うか回避の速さは良くなってる気がする」


「えっ?そうなの?」


「いや知らないよ?何となくそんな気がするだけ」


「エリザの回避盾化か。悪くないかも?」


ヒルデが不穏な発言をする。


「いや、やらないよ?回避盾なんて戦闘は安定しないからね?1発モロに食らったら死んじゃうんだから」


ここはちゃんと拒否しとかないと、なぁなぁでやらされそうで怖い。


「本当なら小盾を使うヒルデが回避盾なんだろうけどね」


サンドラがツッコむ。


「でも、ヒルデが1番攻撃を受けてるイメージあるよ?」


「回避盾はロマンだから・・・」


ヒルデ、そんなロマン職を私にやらせようとしたのかい。


「ねぇ、1番攻撃を受け止めてるのは私だからね?」


サンドラが確認するように発言する。


「大丈夫。分かってるって。感謝してるよ盾役さん」


「う~ん、感謝が軽い(笑)」


大森林の中とはいえ街道は馬車同士がすれ違える程の幅で石畳では無いもののしっかり整地されてて歩き易い。

しかも先に別のプレーヤーでも通ったのか街道に出る魔物もこの日は殆ど居なかった。


「ねぇ、飽きた」


ヒルデがボヤく。


「何で2日目で泣き言を言ってるのよ・・・」


「景色を見てると楽しいよ?」


「だって森の中でずっと似たような景色じゃん・・・」


「あんたが歩いて第3の村に行こうって言い出したのに」


「掲示板の情報だと大きな川があるとか、沼があるとか色々と面白そうそうだったの」


「あ・・・大きな川なら明後日に渡るよ?凄く長い橋が架かってるみたい」


私が地図を見ながら答える。


「えっ・・・明後日・・・それまではこの変わり映えしない景色のまま・・・」


ヒルデの顔が絶望色に変わる。


「それじゃ道から逸れて狩りでもする?出来ても1時間ぐらいだけど?」


「うん。やる!!」


その日は街道の近場で狩りをして気晴らしをし、予定より少し遅く目的のログアウトポイントに到着した。


「ねぇヒルデ。明日は途中で狩りしないからね?」


今日までの狩りで【収納】の中はドロップアイテムでいっぱいだ。

まぁ、この遠征で食べる色々なお弁当や保存食が【収納】に詰まってるせいでもあるけど。


「えぇ・・・気晴らしは必要だよ?」


「いやいや、もう収納がドロップアイテムで満杯だから。それともリュックサックにドロップアイテムを入れて背負って歩く?あと5日も」


「このログアウトポイントにドロップアイテム買い取りしてくれる行商人プレーヤーが居れば売って荷物を減らせるんだけどねぇ」


サンドラもヒルデの説得に回る。

2対1ならヒルデを押さえ込める。


「うぅ・・・エリザの狼に【収納術】のスキルを取らせて・・・」


「取らせません。なんで直ぐうちのアインとラメドにスキルを取らせたがるかな?ヒルデが自分で従魔を取ったら良いじゃん?」


「いや、私はスキルスロット余って無くて。それにアインとラメドのスキルスロットを開けたまま戦うのは効率悪くない?スキルポイント余ってるんでしょ?」


「わざと余らせてるの。急に欲しいスキルが出来た時に取れるように」


「そんなの1ポイントか2ポイントあれば充分でしょ?」


無茶苦茶言ってるがここまで来るとヒルデも本気で言ってる訳じゃなく、軽口を言ってるだけなのでスルーする。


「あ、でもイベントポイントの交換もそろそろ期限だから何かに交換しないと」


サンドラが思い出した様に話す。


「あぁ、私は【調教】スキルを取る時に殆どスキルポイントに交換しちゃったよ?」


「じゃ、アインとラメドのスキル獲得出来るじゃん!!」


ヒルデが急に元気になる。


「そりゃ、その分のスキルポイントは予め確保したからね?ただ何のスキルを取るか迷ってるだけで」


「迷ってるなら私がシエロに取らせた従魔専用スキルの【巨大化】って勧めするよ?」


珍しくサンドラがスキルを勧めてくる。


「それどんな効果なの?使ってるの見た事ないけど。戦闘で使ってた?」


「えっ、使ってないよ?ただ従魔が大きく成るだけだから」


「えっとそれに何の意味が?」


「シエロがね、小型犬ぐらいに大きくなるのよ?膝にのせてモフモフするのに丁度良いの。それにスキルレベルが上がれば更に大きく成れるみたい」


小型犬ぐらい巨大化した雀って可愛いか?

鷹とか鷲ぐらいの大きさか?

その時点でもう雀じゃない気がする。


「サンドラ・・・私はモフモフする趣味はあんまり無いんだけど・・・」


「シエロは魔法タイプのスキル編成だからモフモフするぐらいだけど、アインとラメドは大きく成ったら戦闘に役に立ちそうじゃない?壁役としても噛みつき攻撃にしても」


「えっ、それって攻撃力が上がるの?」


「さぁ。でも大きくなれば噛みつき易く成るんじゃない?口が大きくなるんだから」


また適当な事を・・・。

でもヒルデに言われてた通りスキル枠を空けたままも効率悪いし、スキルポイントはあるんだから試して見ても良いのかな?

少なくとも【採取】や【収納術】のスキルを取らせるよりは良いかも。

いや、【採取】と【収納術】を取らせれば勝手にフィールドから採取して収納にしまう訳だから勝手にお金に換えれるアイテムが貯まる?

いやいや、今は戦闘で考えよう。アインとラメドはヒルデとサンドラが居ない時の前衛として従魔にしたんだから。


「よし、イベントポイント消費完了!!」


「えっ?」


私が考え事をしてる間にサンドラはイベントポイントで何かを交換したらしい。


「何を交換したの?」


「ふっふ。私もとうとう魔法スキルを獲得しました。【熱魔法】【氷魔法】【雷魔法】【鉄魔法】の4つです!!」


「ちょっと!!サンドラ、とち狂ったの!?」


ヒルデがツッコむ。


「ちゃんと考えてるよ?魔法スキルを装備すれば魔法防御が上がるだろうし、【魔力操作】で魔法剣が使えるでしょ?レアな【魔力操作】なのに私だけ死にスキルなのは損した気分だったの」


あ、武器に魔法を纏わせるの、魔法剣って呼ぶんだ?

私は棍やメイスで、サンドラは斧で使うのに。


「だからって一気に4つも取る必要はないでしょ?エリザじゃないんだから!!」


「大丈夫。エリザじゃないんだから一気に4つは装備しないよ?狩場毎に付け替えればいいんだから。4つ取ったのは私の予想ではこの4つはスキル統合で1つに出来ると思って」


サンドラがドヤ顔で語る。


「えっ、私がスキル統合した時にスキル統合は地雷と言ってたでしょ?なんでまた?」 


「私の目的は魔法防御と魔法剣だからね?エリザみたいに魔法を連射して戦おうとは思ってないよ?だから魔法剣のコツを後で教えてね?」


ん・・・なんだかんだで計算高いんだよなサンドラ。


「よし、私も取ったよ!!」


今度はヒルデが宣言した。

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