今後の予定
「えっ!?ヒルデ、まだ夏休みの宿題が終わってないの?」
「えっ、あ・・・だいたいは終わったよ?」
「あぁ、終わって無いのね?」
私とサンドラに問い詰められるヒルデ。
きっとサンドラも、ヒルデの両親からの私達の印象が悪くなると考えてる。
ヒルデが勉強しないのは私達とつるんで一緒にゲームやってるからだと。
「明日はゲームやらずにヒルデの宿題だね・・・」
「そうだね。ヒルデの家に集まってやるのが効果で有効的だねぇ」
ヒルデの親に私達は勉強してるアピールする事が大事。
「えぇ・・・夏休みももう少しで終わりなのにそんな事をするの?」
「夏休みが終わるから、夏休みの宿題を終わらせなければならないんでしょ?」
「お昼ご飯はどうする?」
「カップ麺とかで良いんじゃないの?お湯だけ貰う感じで」
「それなら何か料理作る?うちの台所を使っても大丈夫だよ?」
ヒルデが新しい遊びを見付けた感じで提案してくる。
「それじゃヒルデの宿題が進まないでしょ?」
翌日は丸1日をヒルデの家に集まりヒルデの宿題で消化させた。
そのまた翌日にFEOにログインする。
「あ・・・なんか久し振りな感じがする」
「それじゃ何する?夏休み終了まであと3日で出来る目標を立てよう」
「実質ゲーム内時間で9日だよね?それなら南の旧神殿に拝礼に行くぐらいしか出来ないんじゃない?」
旧神殿って王都や街以外の施設って気になるから提案してみる。
「第2の街から第3の村へは乗合馬車を使えば3日で行けるよ?」
即座にヒルデが反論してくる。
「えぇ、久し振りにログインしたのに直ぐに乗合馬車に乗るの?」
サンドラが即座に却下する。
「徒歩だと7日で行けるみたいだから期間内で行けるよ?」
ヒルデが食い下がる。
どうやらヒルデは第3の村に行きたいみたいだ。
「私としてはこの南の街から東の街か西の街に直線的にフィールドを移動して見たいんだけど日数がどれだけ掛かるか分からないのよねぇ」
サンドラが自分はどっちでも良いと立場を表明する。
あとは私とヒルデの勝負。
「南東の村と南西の村のどっちに行きたいの?」
「南西の村は砂漠にあるって言うから徒歩で暑い所を歩くのはちょっと嫌なんで、南東の大森林の奥にある村かな。大森林の置くとかエルフとか居そうじゃない?」
ヒルデの狙いはそれか。
「えっ?でもこのゲームって亜人が居ないよね?人型の魔物すら居ないもの」
「そうだよね?普通なら序盤にゴブリンとかオークとか出て来るのに」
「あ、奥地には人型の魔物が出て来るのみたいだよ?掲示板情報だけど」
ヒルデ、宿題はやらない癖に掲示板情報は頻繁に仕入れて居るんだな・・・。
「それで大森林の第3の村ではエルフが見付かったの?」
「・・・いゃ見付かってないけど。更に奥に隠れ里とかありそうじゃない?」
この希望的観測から来る自信は何なんだろう?
そう言うのは検証マニアがマップ埋めるついでに探し終わってると思うのだけど・・・。
いや、まだ1陣2陣と合わせて1万人しかアカウントが無いんだからそこまで検証が進んで無いのかな?
「それはあまりにも根拠が無さ過ぎじゃない?」
「えっじゃあ、旧神殿って何があるの?」
風向きが悪いと感じ取ったのかヒルデが私に質問してくる。
「えっ、旧神殿があるでしょう?王都や街以外の建築物だよ?面白そうじゃない?しかも通り道には『マッカラ』って植物があって、その実は人気のある香辛料みたいでお金になるって話なんだよ」
お金で釣ってみる。
「でも、私たち【採取】スキルが無いからそれを獲得出来ないでしょ?」
サンドラにツッコまれる。
むぅ、マッカラの話は蛇足だったかな?
「そう言えば、エリザの狼はスキルスロット空いてたよね?【採取】スキルを取って狼たちに採取させるの?」
「いや、それは・・・」
一気に劣勢になった。
「はい。じゃ南東の村に行くって事で決定!!」
「えっ、ちょっと・・・」
あ・・・自爆した。
よし気持ちを切り替えよう。
少し納得いかないけど。
「それじゃ1週間分の食糧を買い込んで、装備を受け取ったら第3の村に出発ね」
ヒルデは意見が通ってノリノリである。
「誰か【料理】スキルを取ったら狩った魔物の肉を調理できて遠征も楽になるのに」
「肉だけじゃ駄目でしょ?【採取】スキルで食べられる木の実や草とかも調達できないと」
「そこまで考えると取る人が居なくなるじゃん」
「そこはあれ、エリザの狼にスキルを取らせて・・・」
「狼が【料理】スキルを取ったからって料理を出来る訳ないでしょ!!」
・・・出来ないよね?
そんなこんなで色々なお弁当と保存食を買い込み、武器屋から耐久値を回復した装備を受け取り、道具屋で大森林周辺の地図を買い南の門から街の外に出た。
大森林へは何度も狩りに通ってたので問題なく大森林のログアウトポイントに到着できた。
「とりあえず今日はここまでだね。まだ時間はあるから狩りにでも行く?」
「あ、それなら夜狩りに行きたいな。まだ夜の大森林は経験した事ないし」
「えぇ、夜?2人は従魔を出してくれる?」
「初めての夜の大森林だからアインとラメドを出しても良いよ?」
「じゃあ、私もシエロを出すよ?」
約束をして早めにログアウトする。
早めの昼食をとり、ゲーム内での深夜帯にログインする。
「それじゃ行くよ?ヒルデ灯り出して!!」
私は腰にランタンをぶら下げて、アインとラメドを呼び出してる。
私と契約してるからかアインもラメドも私に懐いてる。
好感度とか隠しパラメータあるのかな?
あ、次の野営の時にテントの中で一緒に寝てみようかな?
リアルじゃ出来ない事を試してみるの良いかも。
3人と3匹は夜の大森林を先へと進む。
真夜中で暗闇の中だとシエロは鳥目なのか索敵能力が下がるみたいだ。
今はサンドラの肩にとまってる。
アインとラメドは夜目が利くらしく、普通に歩けてる。
【索敵】スキルがあれば夜間の索敵を任せられるんだろうな。
今は取る気が無いけど。
「ねぇ、ヒルデ。ライトの光をこっちに寄こして地図を照らして」
夜だと地図を見るのも一苦労だ。
地図を見て現在地を確認してると少し先の藪でガサゴソと音が聞こえる。
「エリザ!!ヒルデ!!魔物だよ!!」
音のする方を見ると藪をかき分けて2頭の熊がこっちに向かって来るところだった。
勢い良くこちらに走り寄ってくる熊。
サンドラが大盾でその熊の突進を受け止めるが、もう1匹はサンドラをすり抜ける。
「ちょっと、私!?」
向かって来る熊の突進を横っ跳びで躱す。
私の脇を通り過ぎた熊にアインとラメドか飛び掛かり噛みつく。
噛みつかれた熊は2匹を振り払うように後ろ脚2本で立ち上がり身体を振る。
立ち上がった熊は2メートルを超えるぐらいに大きい。
「アイン!!ラメド!!無理しないで離れてね!!」
一応、2匹に指示を出しとく。
「ファイヤーボール!!」
立ってる熊の後ろ脚を狙い魔法を撃つ。
機動力のある魔物は脚から潰せばと何かの漫画で読んだ記憶がある。
「ライトバインド!!」
「ダークバインド!!」
ヒルデが熊2匹にそれぞれの属性の拘束魔法を使い拘束する。
「ナイス!!ヒルデ!!」
私はメイスを熊の脚へと振り下ろしダメージを与える。
アインとラメドは飛び付き熊の首筋に噛みつく。
10秒も保たずにヒルデの拘束魔法は解けて熊は自由を取り戻した。
「ヒルデ!!もう1回!!」
「無理!!待機時間長いのこれ!!」
「じゃあサンドラの方に加勢してそっちを倒しちゃって!!こっちは私たちで足止めしとくから!!」
「分かった!!」
アインとラメドが振りほどかれ地面に叩き付けられる。
ラメドに向かって爪を振り下ろそうとする熊の顔を目掛けてソイルボールを撃ち込み攻撃をキャンセルさせる。
熊は四つん這いになりこちらに向かって来る。
それを再び横っ跳びで躱すと、熊はもう1匹の方の熊の元へと行ってしまう。
「ゴメン!!そっち行ったよ!!」
私も走ってサンドラとヒルデの方に向かうと、熊の突進を受けてヒルデが吹き飛ばされていた。
「アイン!!ヒルデを回復させて!!ラメドは熊を牽制!!」
「ちょっとエリザ。ちゃんと足止めしてよ!!」
サンドラからクレームが入る。
「ごめん。質量を止めるのは無理!!」
ラメドに気を取られてる熊の横から脚をメイスで殴りつける。
これでだいぶ脚にダメージを与えたはずだ。
「復活!!」
サンドラを攻撃しようとした熊の背中からヒルデが二刀を突き刺し熊を光と変える。
「あと1匹!!」
「脚にダメージ与えてあるから立ち上がったりしないと思うよ!!」
「シエロ!!」
サンドラの声でシエロが雷魔法を放ち熊に命中すると、一瞬熊の動きが止まる。
そこにサンドラの槌が熊の頭に命中し、更にアインとラメドが追撃し、私とヒルデの攻撃が当たった所で熊を討伐できた。
「ふぅ。互角の勝負だったねぇ」
「熊、2匹だったから良かったけど4匹以上だとヤバいかも」
「いや、熊は群れで行動しないでしょ?」
そんな事を話しながら夜の狩りは続いた。




