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バックアタック

「挟み撃ちって・・・」


「地下通路は一本道じゃないんだから、もしかしたら後に回り込める道があるかも知れないでしょ?」


サンドラが少しドヤ顔で話す。


「でも、別の道を探すならあの戦闘してる場所を通らずに出口に出れる道を探した方が良くない?」


「ヒルデ、それは無理だよ。私のマッピングによると来た時にあそこを通らずに入口に行く分岐点は無かったもの」


「それじゃ、ここで様子見するか後から回り込む道を探すかの2択か・・・」


「それでエリザ、実際問題として後に回り込む道はありそう?」


サンドラに問われて地図と睨めっこする。

マップが埋まって無い場所で道があるとすれば・・・。


「ん・・・可能性としては行けると思うよ?でも希望的観測レベルだけどね」


「それじゃ行こうよ。ジッとしてるよりは行動した方が良いでしょ?」


「その考え方、山で遭難した時は死ぬ考え方だよ?」


「大丈夫だよ?ここは山じゃ無いから」


「もう。脳筋サンドラ」


元々、ヒルデも戦ってるプレーヤーの救援に行きたかった訳で多数決で回り込む道を探しに行く事になった。

先頭を歩くサンドラとヒルデ、その後を私と子供達2人が並んで歩いていく。

カルロとネネはずっと手を繋いで歩いている。

良いな・・・青春だな・・・私にはそんな青春無かったな・・・その青春を使ってこのゲームやってるんだから。

そう考えてるとなんか悲しくなってきた。

カルロとネネがくっつくとマークは滑り台行きか・・・。

ちょっと気が晴れた。


「ちょっとエリザ!!この交差点はどっちに行けば良いの!!」


ヒルデの声で妄想から現実に戻される。


「んっ、ああ右だよ。そろそろ後に回れるかも」


「それじゃ警戒していかないとね」


「でも、他の魔物と遭遇しないのが不気味だね」


「サンドラ止めて。それフラグになるから」


更に地下通路を進んで行くと戦闘してるであろう喧騒が聞こえてくる。

軽乗用車ぐらい大きなカマドウマが通路を塞いでるのが見えた。


「よし!!回り込めた。サンドラ、エリザの2人で突撃してあの巨大カマドウマに攻撃して。私は後でフォローと子供達の面倒を見てるから」


ヒルデが即座に指示を出す。

ヒルデ、英雄願望ある癖に危険を犯す事は避けたがるんだよな・・・。


「ヒルデ、1、2、3で突撃するから同時に攻撃魔法を撃ち込んで。サンドラは左側の壁際を走って。私は右側を走るから。真ん中はヒルデの魔法の射線ね」


「「了解」」


私は棍を構える。


「1、2、3!!」


私とサンドラが巨大カマドウマに向かって走り出す。


「ライトスピア!!」

「ダークスピア!!」


ヒルデの魔法が私達の間スレスレを飛んで行き巨大カマドウマの背後に突き刺さる。 


「鎧割り!!」


サンドラが片手斧スキルの技を使い巨大カマドウマの尻に片手斧を振り下ろす。


「捻り突き!!」


更に私が棍スキルの技を使い追撃する。


巨大カマドウマは私達の攻撃に気付き、身体を素早くこちらに向けると長い2本の触角を鞭の様に打ち下ろす。


「ちょ!!カマドウマってこんな行動しないでしょ!!」


「サンドラ!!ゲームの魔物にリアルの常識なんて通じる訳がないでしょ!!もしかしたら火だって吐くかも知れないよ!!それより私は下がるから!!」


サンドラが大盾で次々と振り降ろされる触角攻撃を受け、攻撃を引き付ける。徐々にダメージを受けるが、ヒルデが回復魔法で回復フォローする。

しかし乱打するように振り下ろされる触角で巨大カマドウマに近付けない。


「この隙に向こう側からカマドウマを攻撃してくれれば良いのにね」


「向こう側はスズムシが居るんだからそう簡単にはいかないでしょ!!それよりエリザ、援護は!?」


「任せて!!サンドラ避けてよ!!ファイアレイ!!」


魔法レベル25で覚えた新魔法を撃ってみる。

炎のビームが扇型に広がってカマドウマを焼く。


「どうよ?エリザ様の新魔法の威力は!!」


「おおい!!魔法は考えて使ってくれ!!こっちまで余波がくる!!」


向こう側のプレーヤーから怒声が来た。


「エリザのお馬鹿!!向こう側に味方が居るんだから範囲魔法を使ったら同士討ちになる可能性があるのは猿だって分かるわよ!!」


「味方殺しのエリザって2つ名が付くかもね」


ヒルデとサンドラからも怒られる。


「でも魔法を使わないと触角が邪魔で近接攻撃出来ないでしょ!!」


とりあえず反論しとく。


「なら触角を破壊すれば良いでしょ!!」


サンドラが腰の手斧を巨大カマドウマの触角目掛けて投げ付ける。

いや、それだって避けられたら奥のプレーヤーに危険が及ぶと思うんだけど・・・。

何となく理不尽さを感じながらも私も単体攻撃魔法を使う。


「ウォーターショット!!」

「ソイルショット!!」

「ウインドショット!!」


要はハズレた魔法が奥のプレーヤーに当たらなければ良い訳で。

私は【魔力操作】を使って地面スレスレを飛びカマドウマの直前で斜め上に打ち上げる様に魔法を発射する。

これで外れた魔法は天井に向かって飛んでいくから味方に当たる可能性は低くなる。

・・・空を飛んだり高く飛び跳ねるプレーヤーは居ないだろう。


私とヒルデの遠距離魔法とサンドラの遠距離攻撃でカマドウマの攻撃範囲外から触角を狙う簡単な作業。

そう思ってた私は考えが甘かった。

カマドウマの2本ある触角の1本が根元から折れた瞬間、カマドウマが飛び上がった。


「ちょ!!」


カマドウマの巨体が私とサンドラの頭上に落ちてくる。

間一髪で前に飛び込みカマドウマの巨体プレスを避ける。


「質量攻撃かい!!サンドラ生きてる!!」


「何とか!!高レベルの【移動速度up】スキル様々だよ!!」


しかしカマドウマの飛び上がり攻撃を避けた為に私はカマドウマとスズムシに挟まれる形になった。


「やっばっ!!」


私の近くのスズムシが羽根を擦り甲高い大音量で鳴き始める。

大音量の鳴き声で頭がガンガンし動きが止まる。

そこに別のスズムシが体当たりをしてくる。


「ウグッ」


私はその体当たりをモロに受けて吹き飛ばされる。


「おい!!大丈夫か!!」


運良く他のプレーヤー側に吹っ飛ばされた私を知らないプレーヤーが回復魔法で回復してくれる。


「すいません。ありがとうございます」


「スズムシは倒しても倒しても次々と湧いてくるんだ。ちっとも数が減らせねぇ」


「無限経験値稼ぎ出来るぞ(笑)」


「最後は死に戻りになるだろうけどな(笑)」


そんな声が飛びかう。

ん・・・今日はイベント最終日だし経験値アップキャンペーンの最終日だから無限スズムシで経験値稼ぎも悪くないな。

そう考えて私は棍を振り回し他のパーティーと一緒に無限スズムシで経験値稼ぎをする。


「エリザ!!帰ってきて!!そろそろサンドラ1人では限界!!」


15分ぐらいスズムシ相手に戦ってたぐらいでヒルデの叫びが聞こえてくる。

帰ってきてと言われてもな・・・どうやって帰るのよ?って話で。


「すいません!!範囲魔法を放つので離れて下さい!!」


他のプレーヤーに避難を促し魔法を放つ。


「ファイアレイ!!」

「ソイルレイ!!」

「ウインドレイ!!」

「ウォーターレイ!!」


私が今使える最大の範囲魔法を4連射する。

MPが一気に減りほぼゼロの状態になる。

範囲魔法に巻き込んだスズムシが数匹光となって消えるのと同時に空いた道を巨大カマドウマに向かって走り出す。


残りのMPを使い棍の先にウインドボールを纏わせる。


「捻り突き!!」


カマドウマの尻に棍を突き刺す。

背後から攻撃を受けたカマドウマ身体を回してこちらを向こうとする。

私はその回転に合わせて向こう側へと跳び込み、サンドラの脇をすり抜け子供達が居る後方まで駆け抜ける。


「ふぅ。もう2度とこんな事はやらないわよ?MPだけじゃなくスタミナゲージもかなり減った」


つかさず【収納】からMPポーションとSTポーションを飲みMPとスタミナを回復させる。


「エリザ遅い!!何を遊んでたの!?私もサンドラもポーション酔い一歩手前よ!?」


むぅ・・・無限スズムシで経験値稼ぎしてたとは言いにくい。


「うむ。待たせたな。私が来たからにはもう安心だ」


「サンドラ!!ここはエリザに任せて先に逃げよう!!」


「ちょ!!それ私が死ぬパターンじゃん!!」


「ヒルデ!!エリザ!!ふざけてないで助けて!!」


本当にサンドラはギリギリっぽい。


「カルロとネネはもう少し後に避難しててね。ヒルデ、サンドラ3人で接近攻撃して一気に削るよ!!」


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