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仕事

私たちは東の商業ギルドに来ていた。


「すいません。私たち異界人なんですが、何か仕事は無いですかね?」


ヒルデが掲示板で仕入れてきた言葉を受付の女性に言う。

掲示板情報ではこの聞き方で商業ギルドから簡単なユニーククエストを紹介して貰えるらしい。


「はい。お仕事の斡旋ですね。異界人の方ですと【収納】は使えますね?」


「えっはい。【収納】のスペースはあいてますよ?」


「それではこちらの申し込み用紙に必要事項を御記入して、もう一度こちらにお持ちください」


何度もプレーヤーと同じやり取りをしてるのか、事務的で流れるような対応だった。

仕事斡旋の申し込み用紙に記入し、受付に持っていく。


「はい。これで受付は終了です。えっとそれでは今ご紹介できる仕事は・・・荷物の配達、倉庫整理、スラム街の炊き出し、農家の手伝い、あとは喫茶店のウエイトレスですね」


「・・・なんか普通の高校生のアルバイトみたいだね」


「コンビニの店員が無いだけでそんな感じだねぇ」


「それでは荷物の配達をお願いします。【収納】が使えるのである程度は運べます」


私とサンドラがコソコソ話してるとヒルデが勝手に決めてしまう。


「はい。荷物の配達ですね。個人宅配とルート配送がありますがどちらを御希望しますか?」


「えっと、何が違うんですか?」


ヒルデが質問する。


「個人宅配は注文のあった商品を注文した家や場所に商品を配達する事てす。ルート配送はこの東の商業ギルドから商品を他の商業ギルドに運び、ここでまた商品を受け取りこの商業ギルドまで運ぶ事です」


あ・・・面倒臭いか、単調かの二者択一か。


「3人御一緒に行動するならルート配送の方がお勧めですよ?」


あ・・・3人の【収納】に商品を詰めるだけ詰め込んで目的地に一気に荷物を運ぶのか。


「はい。ではルート配送でお願いします」


またもやヒルデが勝手に決めてしまう。

書類を貰い商業ギルドの裏の倉庫で配送する荷物を【収納】に詰め込めるだけ詰め込む。


「はい3人まとめて270個ね。ネコババすると衛兵に通報されて罰金払うまで王都追放になるから気を付けてね」


倉庫のおっちゃんの本気とも冗談ともつかない声を掛けられ送り出される。

私たちが向かうのは西の商業ギルド。

普通に歩いて半日以上掛かる距離だ。


「じゃ、時間短縮で乗合馬車に乗るよ」


サラッとヒルデがとんでもない事を言い出す。


「いや、ヒルデ。乗合馬車に乗ったら赤字になるじゃん」


「何言ってるのエリザ?私たちの目的はお金稼ぎじゃなくイベントポイント稼ぎなのよ?どれだけ効率的にイベントポイントを稼ぐのか?が優先順位の1位だよ?」


ヒルデが熱弁を振るう。


「えぇ・・・お金は大丈夫だよ?ヒルデ」


サンドラも不満を漏らす。


「お金が稼ぎたいなら【収納】の容量を増やせる【収納術】ってスキルを取れば良いのよ?でも私たちは依頼をこなしてイベントポイントが欲しいだけなのよ?だから個別配達じゃなく乗合馬車が有効利用できるルート配送を選んだんだから」


ん・・・それもそうか。

ここで言い争いしてても時間の無駄なのでヒルデの言う通り乗合馬車に乗って西の商業ギルドへ向かう。


「はい確かに受け取ったよ。それじゃこれを東の商業ギルドに頼むよ」


西の商業ギルドから荷物を受け取り、また乗合馬車に乗って東の商業ギルドに向かい荷物を受け渡す。


「ねぇ、ヒルデ。乗合馬車が1人往復30000マニ。商業ギルドからの給金が1人9000マニ。イベントポイントが900ポイント・・・ねぇ、割りに合わなくない?」


「ヒルデ、このやり方は楽しくない・・・」


私とサンドラは不平不満をヒルデにぶつける。


「ええ・・・!!21000マニで900ポイントなら効率的に良いでしょ!!そもそもレベル上げや稼ぎなんて単純作業の繰り返しなのはRPGでは常識でしょ!!」


ヒルデが反論する。


「これ単に商業ギルドの代わりに私たちが運送代を肩代わりしてるだけの気がするんだけど」


「いや普通に乗合馬車で移動中が暇なのよねぇ」


「いやいやイベントポイントが簡単に手に入るでしょ?優先順位1位はイベントポイント集めだからね?お金を儲ける事でも楽しむ事でも無いからね?」


「イベントポイントで何が交換できるか分からないからな・・・」


「こう言う場合はキリが良いポイントが大事なのよ?10000とか15000とかせめてそこまでは集めないと」


ん・・・確かにヒルデの言う事は一理ある。

7777とか9999とかでポイントを景品に交換できるゲームが思い浮かばない。


「じゃ、次は個別配達で仕事を受けてみない?」


私が提案してみる。


「だったら1人1人で個別配達を受けた方が良いんじゃないの?3人で一緒に行動する必要は無いよねぇ?」


「えぇ・・・」


サンドラの追加提案にヒルデが露骨に嫌な顔をする。


「なんで?個別配達は駄目なの?」


「だって1人で知らない家に訪問して、商品を渡して受け取り表を書いて貰うってハードル高くない?罰ゲームレベルよ?」


「人見知りもそこまでくると病気だよ?相手はNPC何だからね?ゲームよ?ゲーム?ヒルデはRPGで街の人全員に3回づつ話し掛けるタイプでしょ?」


「いや、そうなんだけど・・・そうなんだけど・・・ゲームなんだけど・・・ゲームの感覚じゃないと言うか・・・」


まぁ、ヒルデの言いたい事も分かるんだけどね。

2DのゲームとVRMMOでは話し掛けるのは明らかに違うし。


「なら3人で競争しようよ?せーので出発して1番早く配り終えた人が勝ち。ビリの人は1番の人にご飯奢るの。リアルで」


「リアルでかい!!サンドラ言いだしっぺが負ける法則あるの知らないの?」


「ん・・・じゃあゲーム内で」


あっさりリスクを減らすサンドラに呆れる。


「ねぇ、ちょっとやる事は確定なの?」


「そりゃ楽しく配達するスパイスは必要でしょ?同じやるでも楽しまないと」


「そうじゃなくて個別配達をやる事はって意味なんだけど・・・あぁもう、やれば良いんでしょ!!」


ヒルデが不満を漏らしてるけど、イベントポイントを集めると言い出したのはヒルデだもの。

言いだしっぺが損をするのだよ。

沈黙は金、雄弁は銀だっけか?あれ?意味違った?


翌日、東の商業ギルドで各自個別配達の依頼を受ける。


「それじゃ今回受けた10個の配達を終えてここに1番早く帰ってきた人が優勝ね。ここに帰ってきたら全員にメッセージを送る事。オーケー?」


「いいよ。昼御飯は豪華に食べよう」


ヒルデは既に勝つ気でいるようだ。

そもそもちゃんと商品を渡せるのか?コイツは。


「それじゃいくよ?よーいスタート!!」


サンドラの号令でみんな走り出す・・・なんて事は無く、地図と睨めっこを始める。

荷物の届け先と地図を確認して1番効率が良い道程を考える。


「それじゃお先に!!」


ヒルデが真っ先に去って行った。

あいつこんな短時間に考えがまとまったの?


「エリザ、私も行くね。それじゃ」


サンドラも出発した。

ヤバっ、私も真面目に配送コースを考えないと。

それから遅れる事、数分で私は出発した。


「え~っと、この路地の先の2つ目の十字路を曲がって・・・」


個別配達は思ったより大変だった。

王都の繁華街の裏路地は迷路のように成っててなかなか目的の家が見付からない。

そう言えば【魔力操作】を習うのにチーノ婆ちゃんの家に行った時も迷ったのを思い出した。


「あれ?エリザじゃん!!何やってんの!!」


「あ、本当だ。エリザだ!!」


不意に声を掛けられる。

誰だ?私に馴れ馴れしく声をかけるとか。

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