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複合武器

「複合武器?それはなんですか?」


私はおっちゃんに聞き返す。


「複合武器ってのはな、1つの武器で複数の武器スキルに対応してる武器の事だ」


「複数の武器スキルに対応してる武器?」


おっちゃんが何を言ってるのか理解できない。


「あぁっとだな。例えば・・・騎士団の一部でも採用されてるんだがハルバードって武器を知ってるか?」


「はい、ハルバードなら知ってます。槍と斧を合体させたような武器ですよね?」


「そうだ。つまりハルバードは【短槍】スキルと【両手斧】スキルの両方を持ってないと使いこなせない武器って事だ。そのデメリットの代わりにハルバード1つで【短槍】の技も【両手斧】の技も両方使えるメリットがある。それが複合武器だ」


おっちゃんがドヤ顔する。

しかし、私はおっちゃんが何が言いたいのか分からない。

まさかハルバードの情報がスキル統合に代わる情報だと?


「つまりハルバードのような複合武器が他にも色々とあると言う事ですか?」


私がおっちゃんの意図を理解できないでいると、ヒルデがおっちゃんに質問した。


「あぁ、そう言う事だ。他にも有名なのは【片手剣】と【両手剣】を合わせたバスタードソード、【片手剣】と【棍】を合わせたグレイブ、【長弓】と【短槍】を合わせた弭槍(はずやり)とかだな」


おっちゃんの話は面白いとは思うけど、それが私に何の利益があるんだろ?

生産職のプレーヤーとかなら喜ぶのかも知れないけど。


「まだ理解できてないようだな?その複合武器の中でもキワモノと呼ばれる使い手がほぼ居ない複合武器もあるんだよ。例えば【片手鎌】と【長鞭】を合わせた鎖鎌とかな」


「おぉ、鎖鎌!!忍者プレーが出来るじゃん!!」


ヒルデが鎖鎌と言う言葉に食い付く。

ん・・・私的に忍者は直刀か手裏剣とかで、鎖鎌を使うイメージは無いんだが・・・。


「でな、そんなキワモノ複合武器の中に魔法棍ってのがあってな」


「魔法棍!?それってもしかして!!」


「あぁ、【長杖】と【棍】のスキルの複合武器だ。どうだ?嬢ちゃんにピッタリの武器だと思わないか?」


素晴らしい。つまり棍の技が使える長杖、逆に言えば長杖と同じく魔法に補正が掛かる棍って事か。

戦ってる最中にわざわざ持ち替える必要がなくなるのは魅力。


「しかも、スキル統合すれば【杖術】スキル1つで済むってオマケ付きだ」


おっちゃんの話を聞いて軽くテンションが上がる。

それはおいしい。まさに私の為にあるような武器だわ。


「そんなメリットが多いのになんでキワモノと呼ばれてるのですか?」


サンドラがおっちゃんに聞く。


「そりゃ純魔法使いで前衛に出る馬鹿なんて居ないからだろ。魔法を使いながら戦うそっちの金髪の嬢ちゃんみたいな魔法戦士は居るが、まず棍なんて武器は選ばないしな」


そう言っておっちゃんが笑う。

おっちゃん遠回しに私を馬鹿呼ばわりかい。私に棍を勧めたのおっちゃんなのに。

ん・・・あれ?


「ねぇ、おっちゃん。そんな良い武器があるなら私に普通の棍を売らずに魔法棍を売ってくれたら良かったのに」


一応、クレームを入れとく。

馬鹿呼ばわりされたし。


「いやいや、嬢ちゃんはあの時は安い初心者装備が欲しいって言ってたじゃないか。それに魔法棍なんで使い手も居ない売れない武器なんて常備してる訳が無いだろ?そう言うのは特注品だぞ?依頼を受けてはじめて作るモノだよ」


おっちゃんが釈明する。

むぅ、反論する余地がない。


「あの・・・それじゃ私が注文した両手斧と鎚を複合武器に出来ますか?」


サンドラが話に混ざってくる。

ちょっと今は私の魔法棍の話をしてるんだけど。


「両手斧と鎚を複合武器に?」


「はい。ハルバードみたいな要領で片側に斧の刃を付けて、その反対側にハンマーの叩く部分を付ける感じで・・・」


「あぁ、そりゃ大丈夫だ。斧の刃とハンマーヘッドの重さのバランス取るのが大変なだけだな。柄は丸じゃなく長方形の握りになるがいいか?」


「はい、それでお願いします。えっと料金は・・・」


「良いよ。今回は既に両手斧と鎚の料金を貰ってるから差額はサービスしとくよ」


ん・・・この話の流れだと複合武器って普通の武器2つより高いの?

いや、おっちゃんが適当言って差額分を儲けてる可能性も・・・いや流石に無いか。


「それでエリザの嬢ちゃんは、魔法棍どうする?作るかい?」


「う~ん、私はまだ要らないです。短杖と棍棒のスキル上げてスキル統合したら改めてワンランク上のを注文します」


とりあえず断っとく。

サンドラの注文変更と違って私は短杖と棍棒をキャンセルして魔法棍を注文する訳じゃないから、普通の武器2つ分以上のお金を払う散財は避けたい。


「ふぅ。それじゃこれで1人1つの得する情報は終了って事で良いな?大サービスしちまった」


そう言って笑うおっちゃん。

冷静に考えるとサンドラが1人で得してないか?これ。

サンドラは老人会でも爺ちゃんに好かれてたし、オッサンや老人に好かれる何があるのか?


その後、おっちゃんと雑談を少しして店を後にする。


「さ~て、この後どうしよう?」


装備一式の耐久値を回復する為に[日陰屋]に預けてしまって今は服のみ。


「戦闘に成りそうなイベントクエストは避けて、お使い系のイベントクエストでもやろうか?」


「かと言って、何が戦闘になるか分からないけどね。馬を買いに行って戦闘になってるんだから」


「王都の中心部から離れなければ大丈夫だと思うんだけど・・・」


「なんで王都の中で魔物との戦闘の心配をしなければならないのか・・・このイベント限定にして欲しいわ」


だんだんと今後の相談がボヤきに変わってくる。


「それはそうと、どうやってイベントクエストを探そう?」


「あ、それなら商業ギルドに行けば色々と受注出来るみたいだよ?」


ヒルデは何気に情報を持ってる。


「あ、じゃ商業ギルドに行ってみる?」


「あっそう言えば私、商業ギルドの場所を知らないや」


私がそう言うとヒルデとサンドラの動きが止まる。

あれ?


「それじゃヒルデに案内して貰おうよ」


サンドラが提案する。


「そうだねヒルデお願い」


「えっ、私も知らないよ?」


ヒルデがサラッと答える。


「えっ?ヒルデが商業ギルドに行こうって言ったのに、場所知らないの?」


サンドラが自分も知らないのを棚に上げてヒルデをからかう。


「いやいや、あなた達も知らないでしょ!?殆どあなた達と一緒に行動してるんだからあなた達が知らない事は私も知らないわよ?」


「ヒルデ、なんかいつも掲示板を漁ってるから知ってるのかと思って」


「[日陰屋]で聞いてくれば良かったねぇ。そこら辺の店で昼ご飯を食べつつ聞いてみる?」


[日陰屋]がある裏路地から大通りに出た私達は適当に美味しそうな雰囲気の店でお弁当を買うとそこで商業ギルドの場所を聞き、商業ギルドに向かう。


「ねぇ、昼ご飯はお弁当じゃなく喫茶店で食べても良かったんじゃない?」


ヒルデに聞いてみる。


「そうはいかないよ?私達イベントポイントがあんまり獲得して無いんだから。私達は今日からはイベントポイント獲得週間だよ」


「イベントはあと3日で終わるけどねぇ」


ヒルデが急にイベントやる気になってる。

イベント無視して馬を買いに牧場を目指した人と同じ人には見えない。


「あぁ、もうイベントは折り返しを過ぎてるのか。今何ポイント集めたっけ?」


「集会場の手伝いで2000p、牧場のミミズ退治で3000p、墓地の討伐戦で1500pで合計6500pだよ?」


「ほら?私が提案した牧場が1番ポイントが高かったのよ?サンドラは悔い改めなさい」


「そんなのたまたまでしょ?それに墓地が1番経験値を獲得出来たと思うよ?」


「私はレアスキルっぽい【魔力操作】を手に入れられたからそれで満足かな・・・」


誰も褒めてくれないから自画自賛しとく。


「とりあえず目標は1万ポイントよ?強いて言えば1万5千ポイントを目指したいけど」


「ねぇ、ヒルデ。トップ層は何ポイントぐらい集めてるの?」


「・・・さぁ?」


・・・コイツは。

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