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スズメ無双?

私たちは宿屋を出ると街の北門から出て、ほぼ定番となってる近くの草原で魔物を探した。


「シエロ、出番よ。魔物を探してきて!!」


「ピロッ!!」


サンドラの言葉にシエロが元気に鳴いて応える。

シエロが飛び立ち空中を大きく旋回する。


「チチチッ!!チチチッ!!」


シエロが今度は小さく旋回し鳴いて知らせてくる。


「あ、見付けたみたい。あっちに居るって。シエロ戻って!!」


サンドラの言葉にシエロは戻ってきて光となってサンドラの胸に消える。


「えっ、どうしたの?」


「あぁ、テイムした従魔は使わない時はネックレスに収納して消す事が出来るのよ」


サンドラが得意気に話す。


「いや、そうじゃなくって、シエロは戦わせないの?」


「シエロを使って戦闘すると私だけ経験値が減るじゃない?2人に強さで置いてかれるの嫌だもの」


「あぁ・・・じゃシエロのレベル上げはどうするの?」


「それはソロの時にやるから大丈夫」


う~ん。サンドラ、考えてないようでちゃんと考えてるんだな・・・計算高い女め。


「それじゃ、さっさと狩っちゃおう」


シエロに索敵させて魔物を狩る方法は予想以上に上手くハマった。

魔物を捜し回って徘徊する時間が減り、他のプレーヤーと取り合いになる事も無く、時間効率が良くなった事。

更に多足カエルみたいに待ち伏せして奇襲してくる魔物も先に見付けて先制攻撃が出来るようになったので戦闘も安定した。


「シエロを買ったのはサンドラのファインプレーかも。バンバン魔物を狩ってスキルレベルがバンバン上がるわ♪」


ヒルデが上機嫌だ。


「確かに半日、まだ真っ暗に成ってないのにドロップアイテムがこんなに」


「そうでしょ?褒めて褒めて(笑)」


それから数日、シエロを使った狩りをしてお金もだいぶ溜まり、スキルレベルも順調に上がった。


「食らえ!!羽ウサギ!!」

「ファイアサークル!!」

「ソイルサークル!!」


各魔法Lv.10で覚えた範囲攻撃魔法を放つ。

ボールと比べるとMPを多く消費するので乱発は控えたいが物量で襲ってくる羽ウサギには効果抜群な魔法だ。


「シールドストライク!!」


サンドラが五角形の盾の先端、尖ってる部分で殴り付ける。


「ちょっと!!戦い方が雑になってるよ!!エリアヒール!!」


ヒルデが自分の周りの味方を回復させるエリアヒールで自分とサンドラを回復させる。

3人ともレベル10を超えるスキルが増えて南の街の北側での狩りに余裕が出来ていた。


本日も日が暮れるまで狩りをして街に戻り、ドロップアイテムを冒険者ギルドで売ってお金に換える。


「ん・・・ここでの狩りと慣れてきてダレて来たわね。街の北側じゃなく南側に進出する時期かもね」


ヒルデが提案してくる。


「南側って大丈夫?一気に魔物が強くなるって聞いたけど?」


「このままここで狩ってても集中力が落ちるだけでしょ?何よりツマラナイし、ドキドキワクワクしながら進んだ方が楽しめると思わない?」


「そりゃそうだけど・・・」


「私も先に進みたいな。ここだともう作業みたいでモチベーション上がらないかも」


「じゃ明日は買い出ししてから南側で狩りをしようか」


頑なに反対する理由も無いし、明日からは街の南側を探索する事にする。

南側は他のプレーヤーも浅い部分までしか探索が出来てないと言われてるいわゆる最前線だ。

まぁ、王都から四方にある街それぞれにプレーヤーが分散してるし、まだ第2陣が参戦してないので第1陣5000人の中で四方の第2の街を中心に活動してるのはそれぞれ1000人にも満たない人数だろう。


「そう言えば、第2陣でいつ来るんだっけ?」


「あぁ、お盆の入り、13日の2Qからみたいよ?ゲームの早売りを手に入れた人はもう少し早くログインするかも知れないけど」


「次も5000人だっけ?」


「うん。完売すればね。徐々にサーバーに負荷をかけてテストしてるみたいよ」


「第3陣は夏休みが終わって負荷が減る9月1日みたいねぇ」


「その頃までにトッププレーヤーの仲間入りしてたいね」


ヒルデ、まだ諦めて無かったんだ。

まぁ一応、明日からは最前線で狩りをするんだから私たちもトッププレーヤーと言えるのかも知れないけど。


「じゃ、景気付けに夕飯は豪華に食堂で食べよう。肉祭りね」


サンドラの提案に乗って豪華な夕飯を食べ、宿屋に泊まりログアウトする。

ゲームで豪華な食事をした後にリアルで質素な食事を食べるのが未だに慣れない。

いや、お母さんの作るご飯は美味しいんだよ?ただこの時期はキュウリとナスとトマトが毎日おかずとして色々な形で出るのが飽きるだけで。


翌日、ログインし3人で街の道具屋で買い出しをしてから南の門から外に出る。

掲示板で南側の魔物は状態異常攻撃をしてくると書いてあったのでその対策。

HPが時間と共に減る出血毒を治す毒消し、身体の一部が痺れて力が入らなくする麻痺対策の麻痺消し。

ヒルデが回復魔法のレベル5で覚えた魔法「キュア」で回復出来るのだけど、ヒルデが状態異常に掛かった時用に幾つか買い込んだ。


「どっちに行こう?」


街の南門から伸びる街道は二股に分かれてた。


「たしか南東に行けば森、南西に行けば砂漠だったはず」


「じゃとりあえず慣れてる森の方が良いんじゃない?砂漠は砂で足を取られるとか、足元の砂の中から魔物とか出て来るとかありそうだし」


「じゃ、森に向かって行こう♪」


「いや、今回は様子見だからね?日帰りで帰れる距離までだからね?」


街道を南東に進み森の中に入った所で街道から外れる。

森の中と言っても木と木の間隔は広く1本1本の木が大きく枝を広げその枝同士がくっついて日光を遮ってる。


「シエロ。お願い」


サンドラがシエロを飛ばせて魔物を探す。

直ぐにシエロが魔物を見付けて戻ってくる。

シエロをネックレスに戻して魔物が居る方向に慎重に進む。


「いた。木の枝に丸く大きな鶏が2匹」


バランスボールぐらいの大きさの丸々とした鶏がいた。

明らかにサイズ感がおかしい。


「ヒルデ、弓の出番だよ。やっちゃって。私とサンドラは鶏が落ちたら追撃、向かってきたら迎撃ね」


「雑な作戦ねぇ・・・」


「えっ?分かりやすいでしょ?」


ヒルデが【収納】から弓を取り出し、手前の丸い鶏・・・デブ鶏に向かって弓を構える。


「『集中』」


ヒルデが長弓の技を使い矢をデブ鶏に放つ。

見事にデブ鶏に矢が刺さり木から落ちそうになるがデブ鶏は何とか木から落ちるのを回避する。


「くる!?」


デブ鶏がこちらに向かって来ると思い構えるとデブ鶏は予想外の行動に出た。


木の上でデブ鶏が羽を広げると羽の前に幾つかの針の様なものが発生し、それがこちらに向かって飛んでくる。


「ちょっ!!魔法!?」


デブ鶏2匹の放つ魔法攻撃をモロに受けて3人ともダメージを受ける。


「なにこれ氷の針!?えっと・・・ファイアカーテン!!」


とりあえず火属性の防御魔法を放ってみる。


「エリザ、HPは大丈夫!!」


ヒルデに声を掛けられる。


「私は魔法防御が高いから大丈夫。サンドラの方がダメージ大きいと思う!!」


「ソイルサークル!!」

「ウインドサークル!!」


範囲魔法でデブ鶏を牽制する。

本当は火属性のファイアサークルを使いたかったが、ファイアカーテンを使った待機時間のせいで火属性はまだ使えなかった。


デブ鶏は近寄って来ず、木の枝から木の枝に飛び移って移動してる。

どうやらデブ鶏もさっきの魔法を連射は出来ないみたいだ。

ファイアカーテンを使ったのはミスったかな。


「てりゃ!!」


サンドラが投げた手斧がデブ鶏に命中して地面に叩き落とす。


「ヒルデ!!援護!!木の上のデブ鶏!!」


私が杖を構えて落ちたデブ鶏に全力疾走で近付き杖を叩き付ける。


「『振り下ろし!!』」


私と同じようにサンドラも駆け付け片手斧をデブ鶏に叩き降ろす。


「もう1発!!『シールドストライク!!』」


追撃とばかりに盾で殴り付けるサンドラ。

ちょっと怖い。


私も魔法を放とうと長杖を構えると横から衝撃を受けて体勢を崩す。

もう1匹のデブ鶏から魔法攻撃を受けたようだ。

振り返り木の上のデブ鶏に向かって魔法を乱射する。


「ファイアボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウォーターボール!!」

「ウインドボール!!」


「ヒルデ!!こっち追撃!!」


サンドラが叫ぶと私の魔法を受けて木から落ちるデブ鶏の方に駆け寄って行く。


「ライトスピア!!」

「ダークスピア!!」


私の目の前を白色と黒色の魔法が通り過ぎデブ鶏に突き刺さる。

私も振り向きざまに長杖を叩き付けるとデブ鶏はやっと光に変わって消える。


「エリザ!!打ち落として!!」


サンドラの声に顔を向けると枝に向かって飛び立つデブ鶏が見えた。


「ファイアボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウインドボール!!」

「ウォーターボール!!」


魔法を乱射し打ち落とすと、待ち構えてたサンドラが片手斧と大盾の技のコンボを決めてデブ鶏にトドメを刺す。


こうして新エリアでの初戦闘は終了した。


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