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新エリアの洗礼

「あんたらはバーサーカーかい!?猪武者!?」


ヒルデが私たち2人に説教する。


「特にエリザは後衛の魔法使いでしょ?杖を構えて真っ先に殴り掛かるって思考停止の蛮族なの?」


しかも矛先はサンドラより私に向いてる。


「あの場合、あれがベストでしょ?」


「私もそう思うよ?遠距離で戦ってたらジリ貧だと思うの。私、遠距離攻撃苦手だし魔法に弱いし」


私とサンドラ連合でヒルデに対抗する。


「なんであなた達は逃げるって選択肢が頭から抜け落ちてるの?魔物と距離が離れてるなら逃げられるでしょ?」


「で、でも、無事に倒せたし・・・」


「もう。後でフォローする私の苦労を考えてよ」


「2匹だったから良かったけど、5匹ぐらいで魔法を乱射されたらヤバかったね」


「先にエリザの防御魔法を使ってれば何とか耐えれるかも?」


ヒルデにHPを回復して貰いながら反省会をする。

魔法を乱射したせいで私のMPも1/4ぐらい減ってる。

範囲魔法のサークルと防御魔法のカーテンは、単体攻撃のボールよりMP消費が多いから乱射するのに向かない。


「さて、もう少し散策しようか。シエロ!!」


サンドラがシエロを呼び出し索敵する。

やっぱりシエロは便利だ。テイマー有利過ぎない?

いや、戦いには使ってないけど。


次に見付けた魔物は大根ぐらい太さのある大蛇。

それが1匹。

長さは・・・2~4mぐらいかな?真っ直ぐ伸びてくれてればもう少し正確に分かるんだけど。


「ねぇ・・・あれどうする?狩る?」


私は軽く戦意を喪失してる。

何だろう?王都周辺ではそんなに感じなかったんだけど、南の街に来て更にこの森に来てから魔物がちゃんとした生き物になってる。

しかも大きさも大きくなってて妙に生き物を殺してる感がある。

ま、血は出ないんだけど。


「1匹なら狩れるんじゃない?」


「そうね。私とエリザが魔法を乱射するいつものパターンでいこう」


ゲーム脳共め。繊細なのは私だけか。


「了解。じゃ行くよ?」


返事をして長杖を構える。


「ファイアボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウォーターボール!!」

「ウインドボール!!」

「ライトスピア!!」

「ダークスピア!!」


私たちが魔法を乱射するとサンドラが全力で突っ込んで行き片手斧を振り下ろす。

ヒルデはそのサンドラの後に隠れるように移動し、私は魔法の射線を確保する為に横に動く。

私たちのいつもの戦法。


これは楽勝だなと思った瞬間「シャァァァ!!」と言う声と共に大蛇が何かを広範囲に吐いた。

サンドラは大盾で何とかガードしたが、サンドラの影からチクチク攻撃していたヒルデが上半身にそれをモロに受けた。


「ヒルデ!!」


片手剣を落とし、顔を手で覆い地面を転げるヒルデ。

直ぐさまサンドラは盾を構えて大蛇に体当たりをして大蛇をヒルデから離す。

私は急いでヒルデに駆け寄り【収納】からHPポーションを取り出し顔にかける。


「き、キュア」


ヒルデは自分に状態異常回復の魔法を使って回復する。


「ちょっと!!大丈夫!!」


「目潰しみたい。酷い目にあった・・・」


「こっち助けて!!」


サンドラの叫びが聞こえ見るとサンドラに大蛇が巻き付いてる。

これ魔法を撃ったらサンドラにもダメージ与えちゃうよね?どうする?

ヒルデが回復魔法をサンドラに向かって唱えるのを横目に、私はサンドラに走り寄り大蛇の頭を狙って長杖で振り殴り付ける。


「ヒルデ!!頭を狙って剣で突いて!!」


サンドラは片手斧を持った右手を僅かに動かして大蛇の身体を傷付けてる。

ヒルデの剣で顔を突かれた大蛇がまた目潰しの毒霧を吐こうと口を広げた瞬間に、私は相討ち覚悟で長杖を大蛇の口に突っ込み


「ファイアボール!!」

「ソイルボール!!」

「ウォーターボール!!」

「ウインドボール!!」


そのまま大蛇の口の中へ魔法を乱射する。

私は大蛇の毒霧をモロに受け視界を奪われる。


「キュア!!」


ヒルデの状態異常回復魔法で目が見えるようになると戦闘は終わっていた。


「う・・・酷い目にあった・・・」


「初見殺しだよね。蛇が毒霧って」


「さっきも今回も魔物の数が少ないのに救われてるね」


そんな反省会をしてると突然後方から首筋に衝撃を受ける。

何が起こったのか分からない。首から毛むくじゃらの何が生えてる感じ。

身体を捩ると身体の動きに合わせてそれもついて動き重さに耐えきれず転ぶ。


「エリザ!!」


咄嗟にヒルデが回復魔法を唱えようとしてるのが見える。

サンドラも斧を振り上げてる。


「ウォォォォン!!」


犬の遠吠えが聞こえヒルデとサンドラの動きが一瞬止まる。

そこに2匹の犬がヒルデに飛び掛かり噛み付く。

犬?いや狼か?襲われた?

そこで私のHPバーが無くなり私は死んだ。


意識はあるが身体が動かない状態。

これが死んだ状態なのか・・・意外と落ち着いてるな私。

ヒルデが地面に倒れた後に5匹の狼がサンドラに群がり暫くするとサンドラも倒れ、私たちは光に包まれた・・・。


気が付くと知らない石造りの建物の中にいた。

身体を起こし周りを見るとベッドの様な石の台が無数にある。


「おぉ、エリザ死んでしまうとは情けない」


声が聞こえて後を振り返るとそこにはヒルデとサンドラがいた。


「あんたらも死んだんじゃないの。説教部屋じゃなくて良かった」


「マッドな化学者に電撃で復活させられる方が良かった?」


サンドラがとぼけた事を言ってくる。


「ヤラレちゃったね・・・」


「気を取り直して、とりあえず場所を変えよう」


ヒルデの提案に従い部屋を出る。

その間にも幾つかのベッドの上が光ってプレーヤーが現れる。

死体置き場と考えると不浄な感じがするけど、新しい生命の誕生場所と考えると神聖な感じがする。

ま、どっちにしろゲームの施設なんだけど。


「何か甘い物を食べようよ」


「そうね。気分転換にオシャレなカフェに行こう」


「オシャレって言ってる時点でオシャレじゃない気がする(笑)」


「ねぇ、ところでここどこ?」


サンドラが辺りをキョロキョロと見回しながら質問する。


「いや、王都の神殿でしょ?死んだんだから」


「そうじゃなくて、神殿って王都のどこにあるの?」


確かに神殿に来るのは初めてだから現在地が分からない。


「えっと・・・あれがコロッセオでしょ?それで王城があっちに見えるんだから王都の中心からやや西寄りの辺りだね」


「おぉ、エリザ凄い。野生の勘だね」


「いや違うから。私は地図の読める女だから。一応このパーティーのマッパーだから」


「あ・・・普段、地図すら見ないマッパーね」


いやいや普段、地図を見るような探索をしてないじゃん。

ほぼ同じ場所を徘徊して魔物を狩ってスキル上げと金策してただけじゃん私たち。


「えぇ・・・じゃこれから地図を使うような冒険する?」


「そう言うのはお店を見付けてからしましょ」


「まずは装備を外して【収納】に入れないと。重鎧スキルや移動速度アップとかのスキルが外れてるから装備が重くて」


ヒルデとサンドラは装備を外し鎧の下に着てる服姿になる。靴だけ初期靴なのでちょっとダサい。

私も2人に付き合い杖とローブを【収納】に入れた。


そして生き返った神殿の外に出て良さそうなお店を探す。

結局、見付けて入ったのはオシャレな店ではなく、古き良き喫茶店みたいな印象のお店。

店の中では聞こえるか聞こえないかぐらいの音量で音楽が流れてる。

メニューを見てそれぞれに注文する。


「ねぇエリザ。それは何?」


「えっ?喫茶店で豪華なデザートと言ったらこれでしょ?」


私の前には2段重ねのホットケーキ、上にはバターがのっていて脇にメイプルシロップが入った容器が添えられてる。

そして飲み物としてメロンソーダにバニラアイスが入ったメロンフロート。


「若者の注文するメニューじゃないと思うよそれ?」


「え・・・個人的には古き良き喫茶店の王道メニューと言ったらこれでしょ?それにまずはツッコミを入れるならサンドラの方でしょ?」


サンドラの目の前には、おはぎが2つと抹茶が置かれている。


「なんで喫茶店でおはぎと抹茶?」


「それは私に言われても。メニューにあるんだから私は悪くないわよ?ヒルデの方があれでしょ?没個性」


ヒルデの前にはイチゴのショートケーキとフルーツタルト、ティーカップに紅茶の入ったポット、ミルクの入った容器が置かれている。


「いやいやいや、普通はこんな感じよ?あなた達2人がズレてるんだからね?」


「ほら、ヒルデもサンドラも食べ物で喧嘩しないの。それより今後の話をするんでしょ?」


「そうね。デスペナで4時間はスキルが全て外れたままで再セットも出来ないから、時間はたっぷりあるもの」



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