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何があった?

翌日、私は日中ずっと家のお婆ちゃんの手伝いでお盆用の紫蘇餅作りをした。

ま、やったのは畑から紫蘇と大葉を取ってきて1枚1枚水で洗って水分を拭き取る。

それを1枚づつ並べ、ついた餅を小分けにしてその上に置いて更に紫蘇や大葉をのせて挟んでいくと言う単純作業。

言ってしまえば1人でやるには大変だけど小学生でも出来る内容だ。

作る量が多いので時間だけは掛かるけど。


午後に出来たてでまだ柔らかい紫蘇餅を少し凜と祐奈の家に持っていってお裾分けした。


夕飯を食べFEOにログインする。

宿屋で目を覚ますと部屋の中には私1人だけ。


宿屋の食堂に移動すると既にヒルデとサンドラがご飯を食べてた。


「おはようエリザ。紫蘇餅ありがとねぇ」


「おはよう。お裾分け貰えるとは思わなかったよ。美味しかったよ」


「おはようさん。サンドラを呼んでくるって言うサンドラのお母さんを止めるのちょっと大変だったよ(笑)」


「お母さん、そう言うところの礼儀は煩いからねぇ。来てくれてるのに顔を出さないのは礼儀知らずって」


「まぁ普通はそうだよね。で、街の散策はどうだった?何か面白い場所は見付かった?」


私が聞くとヒルデとサンドラはお互いの顔を見つめ合いニヤニヤしてる。

お、この様子は何か見付けたな。


「ふっふ、エリザ見てこれ。シエロ!!」


サンドラは首元に手を当てて何やら呪文(?)を唱える。

するとサンドラの首元から光が現れて、その光が手の平に余裕で乗るぐらいの小さな鳥の形になる。

そしてその鳥は羽ばたきサンドラの肩に留まった。


「えっ、なにそれ!?・・・スズメ?」


「買っちゃった♪」


「えっ!?どういう事?もう少し詳しく」


サンドラはスズメの頭を指で撫でて喜んでる。

私がヒルデを見るとヒルデが説明してくれる。


「あのね。この街サヴァニエミの事を掲示板で調べたらペットショップがあるのが分かってね」


「ペットショップ?」


「そう。正確には獣魔屋って言うみたいなんだけど、森から捕まえてきた魔獣を売ってるって設定みたい。マイホームを手に入れたプレーヤーは家で飼えるみたい」


んっ?言ってる事は分かるが、状況が理解できない。

マイホームを手に入れた用のペットをなぜサンドラが飼ってる?いや買ってる?


「あ・・・それでね。そのペットショップに行ったら、そのスズメにサンドラが一目惚れしちゃって。最初は諦めたんだけど、次の日に・・・」


「いや、マイホーム無いでしょ?と言うかマイホーム買うお金なんて無いでしょ?」


「エリザ、私はねぇ珍しく掲示板情報を色々と漁ったのよ。そうしたら【調教】スキルがあればペットをテイム出来るって情報があったの。これってもう飼えって事でしょ?」


「それで【調教】スキルを取って、スズメを買ったと?」


「そう。名前はねシエロって言うの。シエロ挨拶は?」


サンドラがそう言うとスズメのシエロはピロっと一鳴きして頭を下げる。

思ったより頭が良いのかな?このスズメ。


「ねっ?ちゃんと言う事を聞くんだよ?偉いでしょ?」


スキル枠を1つ潰してまでやる事かなぁ・・・。

でもまぁ、楽しみ方は人それぞれだしなぁ。


「ヒルデは買わなかったの?」


「小動物しか売ってなかったしね。獣魔をテイムするならドラゴンとかペガサスとかの方が英雄っぽいでしょ?それに高かったし」


「えっ、高かった?幾らしたの?」


「えっとね。100000マニ」


「10万マニ!?・・・馬鹿じゃないの!?」


「何を言ってるのエリザ?たった10万マニで家族が増えるんだよ?」


サンドラがなんか悟ったように語る。

変な宗教とか怪しい薬とかやってるんじゃないの?この子。


「それにね。この子はプレーヤーと同じくスキルをセット出来るんだよ?」


「どう言う事?」


ヒルデが変わって説明してくれる。


「テイムした獣魔はスキルを獲得して自由にセット出来るの。全部で5枠まで。入れ替えもプレーヤーと同じように出来る」


「えぇ・・・それって強くない?バランスブレーカー?」


「一応デメリットは幾つかあって、テイムした獣魔を従魔と呼ぶんだけど、従魔を召喚したプレーヤーは獲得経験値が減っちゃう事と、スキルはプレーヤーのスキルポイントを消費して獲得しなきゃ駄目な事かな。もちろんその従魔用として獲得したスキルは自分や他の従魔と共用不可」


「経験値が減るって何?パーティー全体の経験値が減るって事?」


「えっとそこら辺は検証がまだしっかりされてないみたいなんだけど公式の発表から考えて、私、エリザ、サンドラと従魔の4人じゃなくて3人と1匹で戦闘して経験値を12ポイント獲得したとすると」


「えっ、もしかして複雑な計算式とか出る?」


「簡単だから。まず12ポイントをプレーヤーの数で頭割り。つまり3人で割って1人頭4ポイント。私とエリザはそのまま経験値を4ポイント獲得。従魔を召喚したサンドラはその4ポイントをサンドラと従魔1匹で半々に分けてサンドラと従魔はそれぞれ経験値2ポイント獲得になる。分かった?」


「あ・・・私とヒルデが損しないのは分かった。あれでしょ?プレーヤー1人と従魔5匹でパーティー組んだらプレーヤーの得る経験値が1/6になるみたいな?」


「そうそう、そんな感じ」


「じゃ、あれだよね?従獣を使うならプレーヤーと組むより従獣で固めた方が得だって事だよね?」


「それがそう物事は進まないのだよ明智くん」


ヒルデに説明を丸投げしてたサンドラが混ざってきた。

誰だよお前は。


「あのね。調教スキルでテイム出来る従魔は3匹までなの。あとさっきも言ったように従魔は初期スキルを持ってるけど新たに覚えさせるのにプレーヤーのスキルポイントを使うから」


「なるほどね、スキルポイント不足でプレーヤーも獣魔も中途半端な強さになるんだ・・・経験値も減るからスキル育ちにくいし」


「現時点でスキルポイントの獲得方法が不明だしね」


「それ従魔を取る人いるの?」


「一応、一定のペット好きや人付き合いの苦手なボッチプレーの人には需要があるんじゃない?調教スキルレベルが上がれはテイム出来る従魔の数も増えるかもしれないし、色んなゲームでもテイマーって職種は需要あるよね」


う~ん。テイマーか。

私なら魔法使いらしく黒猫とか連れ歩くのも良いかも。

いやカラスの方が使い魔っぽいかな?

箒の魔物は居ないだろうし。

でも、魅力を感じないな・・・経験値泥棒って気がする。


「で、サンドラは何のスキルをスズメに取らせたの?」


「スズメじゃなくてシエロね?ちゃんと名前で呼んで」


「ゴメンゴメン。で、シエロは何のスキルを?」


「シエロは固定スキルとして【偵察】を最初から持っててね。更に【風魔法】と【回復魔法】のスキルを取ってセットしたの。あと2つはまだ空きスロットのままだけど。でも、これでヒルデかエリザがログイン出来ない日でも何とか狩りが出来ると思うの」


あ・・・なるほど。

サンドラもちゃんと色々と考えてたんだな。

結構有能かも。


ん・・・あれ?と言う事は・・・。


「サンドラ、スキルポイント3も使ったの?」


「特に使う用事も無かったからまぁ良いかなと♪」


わ、私が半日ログインしなかった間に10万マニとスキルポイント3も使ったのか・・・。

サンドラ、地味に浪費家?


「何?エリザ。その目は?」


「いやサンドラは浪費家だなと思って」


「いやいや違うから。エリザこんな話は知ってる?むかしむかしアリさんとキリギリスさんが居ました。キリギリスさんは春夏秋と遊んで暮らし冬に食べ物が無くて死んでしまいました。アリさんは冬に備えて春夏秋とずっと働いて冬の為の蓄えをしてました。そして秋の終わりに過労死してしました。おしまい」


「知らないから!!何その全滅ENDは!?」


「ねぇ?キリギリスさんとアリさんとどっちが幸せな人生だったと思う?あの世にお金は持っていけないんだよ?」


サンドラが自信満々に語る。

全く意味が分からない。


「あ・・・あれね?RPGで最後まで貴重なアイテムを使わず温存してて結局使わずクリアしちゃう的な」


どうやらヒルデの心には響いたようだ。


「そう。使えるものは使える時に使って置かないと後で損するかも知れないでしょ?女は度胸よ?」


「えぇ・・・御利用は御計画的にじゃないの?」


「その言葉が1番に合わないのはエリザだと思うんだけど(笑)」


「エリザとサンドラも結局は同類なのよね。自覚が無いか有るかの差で」


なぜか私にも矛先が向いてきた。

何故だろ?何もしてないのに。

ま、良いか。


「じゃ、シエロの力を試しに行く?」


だいぶ食堂で時間を使ったけどまだまだ時間はある。


「シエロの力を見せてあげるわ。それにお金を稼がないと財布が寂しいし」


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