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第09話 北街道(のんびりしている)


 家を出て、北の方へ歩き始める。

 道端には小さな花が咲いている。うろこ雲が見えたけど天気はいい。


 よし、まずはシルバの所からだ。鍛冶師のシルバの家は、北の工業地域の中にある。

 その家の近くに工房があるのだ。


 とりあえず、北街道に出ることにした。

 北街道は北の工業地域と城をつなぐ道だ。

 幅が広くて、石畳のキレイな道で、馬車用の線路も引かれている。

 この道は、かなり人通りの多い道だ。


 城はユピアート村で一番大きな港にある。

 船が出入りする場所と一緒になっていて、建物が巨大で立派なので、みんな城と呼んでいた。


 城だけど王様はいない。

 だけど村長はいる。


 城の近くは村の中心で店が多くて賑やかだ。

 すごくカラフルで可愛(かわい)い建物が多い。


 僕の家は北の工業地域と港の間で北の工業地域よりだ。

 だから、北の工業地域でケガをした人を治療することも多い。

 家の診療所に運び込まれてくるのだ。


 これまでに指がちぎれたとか、顔に大きな火傷を負ったとか、足の骨が砕けたとかひどいのもあったな。

 怖くてゾッとしてしまうので、ああいうのは勘弁して欲しい。

 多少は慣れてきたけども、やっぱりビビってしまう。


 今日は日曜日のせいか、村ものんびりしている。


 左の方に高い石の壁が見えて、そのずっと向こうに西デンジェル山地が見える。

 ここからは見えないけれど、壁の向こうにはドムル川という大きな川が流れている。

 村はその川沿いにあって、片方が川で逆の方は東デンジェル山地で、その山々に囲まれているような所にある。


 村の周りは全てすごく高い石の壁に囲まれている。

 川側は堤防として、山側は危険な動物の侵入を防ぐためだ。


 東デンジェル山地と西デンジェル山地には、とてつもなくデカい動物が住んでいて、中には強力な魔獣もいるらしい。

 特に東デンジェル山地はドムル川との距離が近いので危険な動物が出やすく危険だといわれている。

 とんでもなく狂暴なヤツもいるらしい。

 そのために、東デンジェル山地の近くにある村は、ここユピアート村しかなかった。


 それから、デカい動物の大きさなんだけど、村を囲っている高い石の壁にデカい動物の絵が書かれている所が何カ所もあるので、それで知ることができる。


 トリトカゲで一番デカい絵は頭の先から尻尾の先まで十(・)三(・)メートルもある。顔と口が大きくて、腕がとても短いトリトカゲだ。


 トカゲの一番はもっとデカくて、頭の先から尻尾の先まで三(・)十(・)メートルもある。顔が小さくて、首と尻尾がすごく長いトカゲだ。


 もしかしたら、これよりもっとデカいのもいるかもしれないとのことだ。

 絶対に勝てるわけがないし、戦ってみたいとは思わない。

 僕には戦いは向いてないし、そんなのは本の中だけでいいと思っている。


 こうゆうことを言うと学校で、よくからかわれた。

「臆(・)病(・)者(・)」とか「姫(・)」だとか。

 顏のことでも、よくからかわれた。女の子っぽい顔をしているからだ。

 そのたびにティルがそいつらをボコボコにしていたけど……

 でも、最近はからかわれなくなった。それはティルが恐れられているからだ。

 正直言って微妙だ。ティルに守られているみたいで面白くない。

 そうかといって、からかわれたいわけではないけれど……


 歩いて行くと前の方に、かなり大きくて古い水車が見えてきた。

 この村で一番古いかもしれない。古いけど現役でカッコいい。

 ここまで来れば、北の工業地域はもう少しだ。



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