第10話 新婚さん(ちっくしょー)
前の方から人が歩いてきた。ベド兄ちゃんとフィーさんだ。
二人は新婚さんだ。仲良く手をつないで歩いている。
二人とも左の手首に赤い布を結んでいる。子供の欲しい夫婦がするしきたりだ。
魔法を使っていると子供ができにくいらしく、その期間は魔法を使わないようにしなければならないのだ。
そこで、手首に赤い布を結んでいる人が魔法を使わなくていいように、周りの人が協力する決まりになっていた。
だから、二人はエッチなことをたくさんしているに違いないのだ。
エッチなことというのは、お互いにエッチな気持ちになって、男の人の男性器を大きく固くして、女の人の女性器に入れて、男の人は精子を出して、女の人の卵子に合体させることだ。
その後、合体した受精卵は女の人のお腹の中で大きくなって、子供が生まれてくる。
僕は女の人が子供を産むところを見たことがある。
お母さんが医者だからだ。
その手伝いでだ。役には立ってなかったけど。
とにかく驚いた。
子供を産むのは間違いなく、めちゃくちゃ痛くて大変だ。
女の人はすごいと思った。
僕はエッチなことは見たこともしたこともない。
興味がないといえばウソになるけど、今はいいかな。
たぶんそのうちきっと本気で好きになった人と経験するんだろうな、と思っている。
「こんにちは」
フィーさんが、にこやかに声を掛けてきた。
フィーさんは結婚して、すごく大人っぽくなった。
「こんにちは」
「クー、久しぶりだな。しばらく見ないうちに、だいぶ…… だいぶ可愛くキレイになったな」
次はベド兄ちゃんだけど、大きくなったな、と言おうとしてやめたな。ちっくしょー。
それに、だいぶ可愛くキレイになったって、なんだよ――
「ベド兄ちゃん、鼻毛が伸びているよ」
「ウソだろ!」
慌てて鼻を抑えている。
「ゴメン、鼻毛じゃなく鼻の下だった」
「お前なー、可愛くねえなー、可愛いけどよ」
まだ言うか。
そして、ニヤニヤしている。
ベド兄ちゃんは名の知れた元悪ガキコンビの一人で診療所の常連だ。
だから、小さいときから遊んでもらったり、からかわれたりしているのだ。
なぜか、僕が憎まれ口を言うと喜ぶ変な人だ。
ちなみに元悪ガキコンビのもう一人の方は家出中だ。
「ティルの所に行くの?」
フィーさんだ。
あっているけど違う。だいぶ違う。
「シルバの所にお届け物だよ。二人はどこ行くの?」
「お城までお散歩よ。じゃあまたね、クー」
デレデレとルンルンの二人は城の方へ、仲良く歩いて行った。
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