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第04話 幼馴染(負けたくない)

 

 最近、じつは少し焦っていることがある。


 幼馴染のクリスは簡単に空気魔法をやってしまう。

 立ったままの状態で、周りの枯れ葉を簡単に集めてしまう。


 空気魔法だけでなく、火魔法も水魔法も土魔法も得意で、肉体強化魔法も得意だ。

 しかも、勉強ができて、運動もできる。

 僕と違って、背がかなり高くて大人びていてカッコいい。

 周りからも一目置かれる存在だ。


 将来は医者か薬師になりたいと言っている。

 なので、薬についても、ものすごく詳しい。

 クリスのお父さんは薬師でたくさん教えてもらっているみたいだ。

 完璧主義で、とんでもない努力家だ。

 僕もお母さんと同じ医者になりたいと思っているので学校で一緒にいることも多いのだ。


 運動は別にいいけど、勉強と魔法はこれ以上、差をつけられたくない。

 勉強は教科にもよるけど負けているような気がする。


 僕の得意な魔法は水と土で、これはクリスにたぶん勝っていると思う。

 でも、火は負けていて、空気は大敗だ。

 肉体強化魔法はぜんぜん鍛えてないので大惨敗である。運動は好きじゃない。

 感覚強化魔法はよく分からない。


 目は良い方だけど感覚強化魔法を使っているのかはっきりしない。

 集中して見るとバッチリ見えるのかと言われるとそうでもない。

 頑張れば、きっと魔法で他の人が見えないようなモノでも見えるようになるんじゃないかと思っている。

 どう頑張っていいのかが分からないんだけどね。


 クリスは鼻が利く。びっくりするくらいに良い。

 クッキーをちょこっとだけつまみ食いした時も、田んぼにぐっちょりと落ちた時も、馬糞をうっかりと踏んづけた時も、証拠は消したつもりだったのに全部バレていた。

 犬みたいだ。ニオイに集中すると嗅覚が鋭くなるらしい。

 恥ずかしいので、僕のニオイを嗅(か)がないで欲しいと言ったら、それからは言われなくなった。

 こっそりとニオイを嗅いでいるかもしれないので、イヤな顔をされないように気をつけてはいる。


 一応クリスが使えなくて、僕が使える魔法がある。治療魔法と電気魔法だ。

 だけど、まだまだ自慢できるレベルじゃない。


 治療魔法はお母さんに習っていて猛勉強中だ。


 電気魔法の練習用にダミー君という上半身だけの人形がある。

 心臓が止まってしまった人に電気ショックで、心臓の動きを正常化して再び心臓を動かすといった練習ができる物だ。


 人形の右肩の下と左脇腹に手を当てて電気ショックを行うと、人形の目と口が開くのだ。

 電気ショックが弱いと目と口が開かない。

 電気ショックが強いと目と舌が飛び出す仕組みになっている。

 不気味だ。だけど、面白い。


 作ったのは鍛冶師のシルバとゴルドだ。

 二人でいろんな物を発明している。


 シルバに電気ショックが強すぎると壊れないかと聞いてみたら、

 あんたの電気チ(・)ョ(・)ッ(・)ト(・)じゃ壊れないよ、と笑われた。

 イヤな感じだ。


 だから、電気ショックを真面目(まじめ)にやることもあるけど、思いっ切りぶっ放すこともある。

 だけど、今のところ壊れる気配がない。

 そのうち、シルバを驚かせてやろうと思っている。


 ただ、電気ショックは強くなったり、弱くなったりで、不安定なんだよね。

 痛いし、痺れるし、難しい。


 さっきから、頭の中で、いろいろ話し掛けていたけど、決して友達のいない可哀想(かわいそう)な子ではない。

 これくらい、みんなやっているはずだ。たぶんそうに違いない。



「クー、朝ごはんよ」


 家の方から声がした。

 振り向くと、お母さんがニコニコと笑っていた。

 家の横の桜の花も満開になっている。ものすごくキレイだ。


「分かった、今行く」


 いつの間にか、朝ごはんの時間になっていたみたいだ。駆け足で家に向かった。




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