↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/41

第33話 目覚め(気持ち悪い)

 

 目が覚めた。

 朝なのか? たぶんそうだ。


 気持ち悪い。吐きそうだ。


 起き上がろうと、頭を上げる。

 目を開ける。

 グラリグラリと景色が揺れる。

 とても目を開けてられない。

 吐きそうになって、思いっ切り、ウェっとなった。


 四つん這(ば)いになって、吐こうとしたけど吐けない。

 そうだ、昨日の夕方、何も食べていない。

 めちゃくちゃ気持ちが悪い。

 変な汗も出てきた。

 動けない。


 目を閉じていたら、少しずつ楽になってきた。

 でも、目を開けるとグラグラと地面が揺れる。

 目は開けられない。


 さっき見えた景色は何だったのだろう?

 見た事の無いような景色だったような気がする。


 もう、目は覚めているし、頭はハッキリしているのに動けない。

 昨日の、あの変な暗闇は何だったのだろうか?

 お母さんは大丈夫かな?

 僕が無事なんだから、たぶん無事なんだろうと思うけれど……


 それにしても、このグラグラは治るのかな?

 こんなことは初めてだ。治らなかったら大変だ。

 お母さんに診てもらえば大丈夫だとは思うけど、お母さんはどこだろう。


「お母―さーん」


 大声で呼んでみた。

 返事はない。


 もう一回、叫んでみた。

 やっぱり、返事はない。


 何だか少し不安になってきた。

 でも、どうすることもできない。

 四つん這いのままで動けない。


 * * *


 どれくらい時間が経ったのか分からないけど、背中が暖かくなってきた。

 太陽が出ているからだろう。

 風は少し感じるけど、音がしない。

 耳は聞こえている。自分の出した音は聞こえる。

 息を止め、じっと耳を澄ます。

 やっぱり、何も音がしない。

 風で木の葉や草の揺れる音、鳥や虫の声も聞こえない……


 おかしくないか?

 絶対におかしい。

 早く、何とかしないと……

 何とかって、何だ?


 えーと、とにかく辺りを調べて、お母さんを探さないといけない。

 焦る、焦るけど、どうにもならない。


 何度も、何度も、目を開けて吐きそうになりながら、少しずつ目を開けられるようになってきた。

 目を開けて、目線を下から前に移すと一瞬目が回って気持ち悪くなった。

 でも、やっと、まともに景色が見られた……


 何だこれ!

 空と土しかない!

 家も道も柵も畑も木も草もない!


 どうなっているんだ。

 もっと辺りを見ようと、体を起こして目を動かした。

 また、目が回って気持ち悪くなった。

 目が回るというか、体の平衡感覚がおかしくなっている。

 どうも、急に目を動かすと気持ち悪くなるみたいだ。


 少しずつ立ち上がり、ゆっくりと辺りを見渡した。

 辺りは土と水だけだった。

 水がどこからか流れ込んでいて、水溜りをたくさん作っているようだった。

 遠くに見覚えのある山が見えた。

 ドムル川の向こう側にある西デンジェル山地だ。

 と、いうことは、やっぱり家の近くだよね?

 どうしよう……


 見回す限り、何もない。

 分からない。分からないけど、人が居そうな所に行くしかない。

 港の方へ、取りあえず行ってみることにした。



 初めのうちはゆっくりと歩く。

 まだ、気持ち悪い。

 頭を揺らすとキツイ。


 下の土の方を見ると、何か少し揺らめいて見える。

 上の空の方を見ると、大丈夫だったので、できるだけ下を見ないように歩いた。


 だいぶ慣れてきた。

 治らなかったらどうしようと思ったけど大丈夫そうだ。


 景色は相変わらず、空の青色と地面の茶色だ。


 大きな池みたいな水溜りがあったので、覗(のぞ)き込んでみる。

 やっぱり、何もいない。


 回り込んで、前に進む。

 早く誰か探さないといけない。

 とにかく、港へ行こう。



 喉(のど)が渇いてきた。


 両手を合わせて、水が汲める形を作る。

 その中に魔法で水を作ろうとする。

 すると、青い光がゆらゆらと揺らめいてから水ができた。


 今までこんなのは、見た事がなかった。

 その水を捨てて、もう1回やってみた。同じだ。


 なんで、こんなの見えるんだろう?

 幻覚というモノかもしれない。


 まだ、体の調子が戻ってないからだろう。


 水を少し、口に含んでみる。

 普通に水だ。大丈夫だろう。

 水を飲みこんだ。何杯か飲んだ。


 お腹も空いているけど、食べるものはない。

 というか、身につけている服と靴以外には何も持ってなかった。


 魔法で食べ物は作り出せない。

 生き物や、生き物だったものは作れないからだ。

 だから、動物だけでなく植物も作れない。

 ここには食べられそうな物はない。

 とにかく、前に進むしかない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。