第31話 笑いのすすめ(探し中)
「笑い」について、いろいろと本を見てみたけれど、一番参考になったのが『笑いのすすめ 改訂版』だ。
難しい本で分からない部分もたくさんあった。結構ボロボロになっていた。
同じ作者で『笑いのすすめ』という本もあって、こっちは『改訂版』の前に書かれた本だ。
たくさんの人に読まれたんだろう、かなりボロボロになっていた。
そして、なんと、その本の作者はジョダ先生だ!
このことを知ったときは、思い切り驚いたし、すげーと感動もした。
すぐ近くに、本を書ける人がいるなんてね。
この本の事をジョダ先生に聞いたことがある。
「先生、『笑いのすすめ 改訂版』読みましたよ」
「ありがとうございます。アンク君。でも、難しくなかったですか?」
「難しかったです」
「そうですよね。せっかく読んで頂いたのに申し訳ないです」
「子供向きは書かないんですか?」
「そうですね、あの本は私が趣味で書いた物で、私が知っている事をまとめたものですからね。今は『第三版』を書いているのですが、せっかくなので考えてみましょう。
考えるポーズは、どちらが良いと思いますか?」
初めに、両方の人差し指で上から頭を指差すポーズを取った。
次に、右の拳を顎に付けるポーズを取った。
どっちでもいいよ、と思ったけど――
「初めのポーズの方がいいと思います」
こっちの方が、ジョダ先生に似合いそうだ。面白いし。
「分かりました。頑張って絞り出しますね」
そう言うと、そのポーズを取って、ウンコ座りをした。
おかしいでしょ!
思わず笑ってしまった。
そして、うーん、とジョダ先生は唸っている。
しばらくすると、すくっと立ち上がった。
「出ました!」
ジョダ先生はスッキリとした顔をしている。
「こういうのはどうでしょう。それぞれの項目について、前半後半の二段階に分けて、前半は子供たちにも分かるような内容で書いて、後半は大人たち向けの高度な内容で書いていくのはどうでしょうか?」
「良いと思います。でも、もうだいぶ書いてしまっているんじゃないですか?」
「そうですね。でも、書き直します。どうせなら、納得できる良いものにしたいですからね。出来上がったら、ぜひ読んでくださいね。感想を聞かせてください」
「はい、分かりました。できたら読みますね」
こ、これは断り難い。
僕のせいで、書き直すと言っているし……
でもやっぱり、内容は難しいだろうな……
面倒な事になったな、と思ってしまったのはここだけの話だ。
今のところ、図書館に『笑いのすすめ 第三版』はない。チェック済みだ。
* * *
「笑い」の研究のリーダーだったヨタローなんだけど、僕を見つけると必ず近づいてきて、おかしな冗談を言ってくる。
僕以外の人にも同じで、いつも冗談を言っている。
それがあんまり面白くないのだけど、不思議なことにまわりにはウケているのだ。
それで考えてみた。なぜ笑ってしまうのかと。
やっぱり、緊張が緩和しているからじゃないかと思う。
ヨタローがくだらない冗談を言うと、「ほーら、やっぱりね」といった感じで緊張がほぐれて笑いが起こるんだと思う。
たまに本当に面白い冗談を言うと、「ヤルな!」って感じで笑いが起こる。
どっちにしても笑いが取れるのだ。
計算だとしたら凄いと思う。
ヨタローはお調子者でマイペースだ。
可笑しなことを言っても、なぜだか許されてしまうところがある。
それがいいのかもしれない。
あのウケなかった研究内容の発表のコントの後に、みんなひどく落ち込んだ、と言ったけど、ヨタローだけはへっちゃらだった。
ヨタローは前に「笑わせようが、笑われようが、相手が笑っていればそれでいい」と言っていたことがある。
僕には分からない感覚だ。笑わせたいとは思っても、笑われたくはない。
それに僕がヨタローと同じことを言っても絶対にウケないと思う。
ジョダ先生が、「人には向き不向きがあって、笑わせ方にも向き不向きがある。自分に合った笑わせ方を見つけられるといいね」と言っていた。
僕に何が合っているのかは、まだ分からないけど、何となく探しているところだ。
読んで頂き、ありがとうございます。
下にある「ポイントを入れて作者を応援しよう!」で、「☆☆☆☆☆」による評価をお願い致します。
面白ければ「★★★★★」を、つまらなければ「★☆☆☆☆」を、押してください。
もちろん正直な評価で構いませんので、思った通りに押してください。
気に入って頂けたのであれば「ブックマーク」の登録もお願い致します。
作者の励みになります。
よろしくお願い致します。




