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第29話 挑戦と失敗(若気の至り)

 

 桜の道を通り抜けて、田んぼ道を歩いて行く。

 少し風が出てきたみたいだ。


 ジョダ先生は、ものすごく生徒に人気がある。

 いつも、みんなを笑わせてくれて、優しいからだ。


 初等学校のときに「笑い」を研究テーマにしたことがある。

 みんな、ジョダ先生の影響で一度は「笑い」を研究テーマにする。

 そして、最後に、その研究をまとめて、みんなの前で発表をしなくてはいけなくて、そのときにコントをした。

 僕は最初からコントは嫌で、研究内容の発表だけで良かったのに、リーダーのヨタローがやりたいと言い出して、ほかのメンバーもやると言って、やることになった。

 新しい笑いを作るんだと張り切っていた。

 そして、結果はとても惨(むご)いものだった。


 笑わせるというより、笑われるといった感じで、みんなひどく落ち込んだ。僕もだ。

 大勢の人の前での大きな失敗で、ものすごく恥ずかしくて、二度とやるもんかと思った。

 こんなときに、真っ先に来てくれたのがジョダ先生だった。

 あの時のことはよく覚えている。


「今日の失敗は君たちにとって、すごく、すごくつらいものになったかもしれません。

 新しいことに挑戦することは、本当に勇気がいることです。

 そして、それをやり遂げた。

 この上なく立派な事です。

 大きな失敗は大きな成長につながります。

 ですので、挑戦することを止めないでください。

 何度、失敗しても良いのです。

 学校にいる間は、私たちが全力で君たちを守ります」

「――それでもダメだったら?」


 僕はジョダ先生に聞いた。


「何度でも、何度でも挑戦すれば良いのです。

 そして、上手く行くまで挑戦すれば良いのです」

「――それでもダメだったら?」


 もう一度、聞いた。


「いろいろな人に相談すると良いですよ。

 そしてまた挑戦すれば良いのです。

 それから、失敗はすればするほど慣れていきます。

 だから、必要以上に恐れることはありません。

 努力した結果の失敗であれば良いと思います。

 私もたくさん失敗してきました。

 人は失敗するのです。

 その失敗にどのように向き合っていくのかが大事なのです。

 諦めてしまってはダメなのです。

 それに気持ちを切り替えて、前向きに考えた方が楽しいですしね。

 だから、みんな顔を上げて笑ってください。

 きっと、君たちならできます」


 ジョダ先生はこの後、いろいろと面白い事を言って、笑わせてくれた。

 ジョダ先生の後からも、何人も先生に声を掛けてもらって、だいぶ気持ちが楽になった。


 それから、しばらくは、からかわれたりもしたけど、大したことはなかった。

 ほかのみんなもいろいろと失敗しているからだ。

 慣れてきたら、お互いの失敗を笑いあって、おしまいといった感じになっている。

 これはやっぱり先生たちのおかげなんだと思う。

 あれから、僕は積極的にいろんな事に挑戦しているつもりだ。

 でもあれ以来、「笑い」を研究テーマにしたことはない。

 人には向き不向きがあるのだ。あれは若気の至りというやつに違いない。

 それに、ほかに研究したいテーマがあったから、でもあるのだけど。



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