第26話 ジョダ(面白くて笑える)
用水路に着いた。
やっぱり桜は満開でキレイだ。
この用水路沿いの道に、たくさんの桜が植えられているのだ。
何かいないか、用水路を覗き込んでみる。
たまに、魚やカニなんかがいるのだ。
カエルいないかな?
カエルはまだ早いかな。でもいるかも。
とりあえず、何も見つけられない。
水の中に入って、石をどかせば、何か出てくるかもしれない。
魔法でどかしてみようか。
でも、子供っぽいかな。
辺りに人はいないし、大丈夫かな。
だけど、十二歳になったわけだし我慢しようかな。
迷いながら結局、用水路を覗きながら、流れに沿って歩いて行く。
ふと、前の方を見ると、ひらひらの薄いピンクのイカれた服――ではなくて、イカした服を着た人が、ふらふらとおかしな踊りを踊りながらこちらに近づいてきていた。
あの透き通るように白いハゲ頭、ゆで卵みたいだ。
そして、個性的な長い口髭とあご髭も生えている。
間違いなくあの人だ。
思わず笑ってしまった。
向こうも気づいたみたいで、踊りが大きくなっている。
どんどん近づいてくる。
近づくごとに、踊りのバリエーションが増えていく。
僕も急ぎ足で近づいて行った。
「こんにちは、ジョダ先生」
「やあやあ、これはアンク君ではありませんか。これは運命ですね。今日は実に良い日です」
「その踊りは何の踊りですか?」
姿勢を低く、目線を合わせるようにして、まだゆらゆらと踊っている。
いつも思うけど、疲れないのかな?
「それは良い質問ですね。桜を愛でる踊りに、アンク君に出会えた喜び、そしてアンク君の誕生日を祝う踊りです」
「僕の誕生日覚えていたんですか?」
「もちろんですとも、私は生徒全員の誕生日を覚えていますよ。先週はクリス君、来週はティル君の誕生日でしたね」
さすが、ジョダ先生。
ジョダ先生は僕の学校の校長先生だ。
いつも面白いことをして笑わせてくれる。
「ジョダ先生は、何をしているのですか?」
「今日は桜がすっごくキレイだったので、桜の気持ちになってみたかったのですよ」
要するに花見をしながら散歩したかったってことかな。
「そうそう、大事なことを言うのを忘れていました。
みなさん、楽しい、楽しい、笑いの教室へようこそ」
先生の決め台詞だ。
そして、変な顔に、変な決めポーズをとっている。
思わず笑ってしまう。
「ところで、アンク君は用水路の中を覗いていたようですが何をしていたのですか?」
「用水路の生き物の調査です」
ウソはついていない。
「なるほど、なるほど、それで何か分かりましたか」
「いいえ、少し覗いていただけなので。今のところ、何も見つかってないです」
「そうですか、アンク君はそこを調査して、どうしたいと思っていますか?」
「えーと、別に何もないです。今日はもういいかと思って……」
何となく覗いていただけなのに……
調査なんて言わなきゃよかった。
「それは残念ですね。何かお手伝いできるかと思ったのですが……」
ものすごく悲しそうにしている。
本当にごめんなさい。




