第25話 知識を使うこと(エナ爺は凄い!)
「そろそろ、帰ろうかな」
「そうか。近いうちに、おまえさんの所の畑に行かんとな。
植えなきゃならない物があるからな。
トウモロコシとインゲンとニンジンはこの前植えたから……」
畑に植える苗とか、種とかはエナ爺が準備してくれる。
もちろん、僕も手伝うけどね。
「次に植えるのは、トマト、ナス、ピーマン、トウガラシ、キュウリ、カボチャ、ブロッコリー、コマツナ、ミズナ、カブ、レタス、ゴボウ、エダマメ、ラッカセイ、ホウレンソウ、サトイモ、パクチー、パセリ、バジル、セージ、チャービル、ローズマリー、タイム、マリーゴールド、あと何だっけか?」
どんだけ植えるつもりだよ!
ボケたのか?
「今年はメロンもやってみるか」
「メロン!」
いいね。
「何じゃ、メロンは好きか?」
「好き」
「そうか、好きか。なら、やってみるか。植えつけはもう少し後じゃな。
湿気に弱いから、水はけを良くして、日当たりのよい所に植えて、相性の良いネギを真横に植えて、あといろいろと考えてみるか」
エナ爺は、にっこりと笑っている。
「じゃあ、楽しみにしてるね」
「うむ。クー、気をつけて行くんじゃぞ」
エナ爺は元気よく手を振ってくれた。
そして、見事なマッチョポーズ――モストマスキュラー――を決めてニカッと笑った。
魔法で作った土で体を覆ってマッチョな筋肉のように見せている。
上半身は黒光りしてモリモリだ。
でも、下半身はガリガリだ。
まるで、黒いニワトリみたいだ。
面白いからいいんだけどね。
僕も手を振って、エナ爺とさよならした。
** *
このまま帰ってもいいけど、ちょっと早い。
ここまで来たなら、遠回りになるけど、用水路の桜を見ていこう。
満開でキレイなはずだ。
村には何カ所か桜の有名な場所があって、そこは人で一杯だろう。
でも、僕が今行く所は多分すいているはずだ。
そこは木が、まだ小さいからだ。
平地と山の間の道を歩いて行く。
平地の方は緑のキレイな小麦畑がある。
ほかの土の畑は水を入れて稲を植えて田んぼになる所だ。
あと一カ月くらいすると田植えが始まる。
山側の丘の方にもキレイな小麦畑が見える。
ここではとっても多くの種類の野菜を作っている。
畑は平地の畑よりは小さめで、キレイに段々になっている。
エナ爺からは、いろんなことを教えてもらった。特に農業についてだ。
何回も、何回も、同じことを言ってくるので覚えてしまった。
野菜作りについて、いろいろと知っていたので、自分の畑をもらったとき、簡単にできると思ったけど、全然上手く行かなかった。
失敗すればするほど、エナ爺の凄さが分かってくる。
「百の知識を持っていて、それをでたらめに使う人より、十の知識を持っていて、それをしっかりと使いこなす人の方が、よほど仕事ができる。
知識を理解すれば、使えるようになる。
その知識をもっと理解すれば、別のことに応用できるようになる。
そして、それ以上に理解を深めれば、別の知識と融合させて新しいものを作り出せるかもしれない。
そこまで行けば、その知識を完全にものにしたといえる」
これはエナ爺がいつも言っていることだ。
お説教も多くて、単純だけど、エナ爺は本当に凄い人だ。
たくさん知識を持っていて、たくさんそれを使える。
それって、本当に凄いことだと思う。
でも、エナ爺には言わない。
悔しいし、恥ずかしいし、そして間違いなく調子に乗ってふんぞり返る。
絶対に喜ぶとは思うけどね。
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