第23話 ギルドと教会(村にはないから、よく知らない)
「九十九歳? サバ読んでない?」
「そんなもん読むかー!」
青筋を立てて怒っている。
いつもの事だ。エナ爺はすぐに怒る。
でも、すぐに忘れる。
「あんまり怒ると、ポックリ逝っちゃうよ」
「この程度で逝ってたまるか。ところで、おまえさんはサバを知っているのか?」
「サバ? サバって何?」
「サバを読むと言っておったじゃろ。そのサバじゃ」
「知らない」
「知らなくて言っておったのか。ダメじゃのう。
サバは海の魚じゃ。丸い棒の両端を細くしたような、むっちりした形をしておってな、背が青緑色で波形の縞模様や斑点があって、腹は銀白色じゃ。大きさは、トウモロコシとか小さめのダイコンぐらいじゃ」
エナ爺は、いつも大きさを説明するときに野菜の大きさで例える。
なんとなく面白くて、僕もマネをしている。
「そして、美味い魚じゃ。トマト煮、カレー煮、味噌煮、塩焼き、どれも美味い。
ただ、サバは腐りやすくてな、市場で大量のサバを二匹ずつ急いで数えるんじゃが、そのときに自分の利益になるように、ごまかして数えたことから、サバ読みと云うようになったんじゃ」
それから、両手を使って、よく分からないジェスチャーをしている。
いつものことだけど。
「へー、爺ちゃんは食べたことあるの?」
「そりゃ、たくさん食べたわ。ギルドで働いていたころ、海のある町でな」
エナ爺は僕が生まれるずっと前に、ユピアート村に来た人だ。
ギルドにいたことは知ってはいる。
「ギルドって、どんな事をしているの?」
村にはギルドがない。
なんとなくしか知らない。
「なんじゃ、ギルドを知らんのか。
まあ、この村にはギルドがないからしかたないか。
ついでに教会もないから、ユピアート村なんじゃがな」
ギルドについては学校で習ってはいる。
ギルドの正式な名前はアシビオン大陸ギルドで、略してギルドと言っている。
そして、教会の正式な名前はアシビオン大陸教会で、略して教会と言っていた。
人が多く住んでいる場所には、大体ギルドや教会があるみたいだ。
そして、町というのはギルドか教会がある場所のことだ。もちろん、両方あっても町だ。
逆に、両方ともない場所を村といっている。
それで、ギルドも教会もないから、ここはユピアート村と呼ばれている。とても人が多く住んでいるけどね。
ギルドは商業に関係する大きな組織で、教会は宗教に関係する大きな組織だ。
そう聞いてはいるけど、詳しいことは知らない。
「ギルドはな、金に関する事なら、なんでもやっている組織じゃ。
仕事や商品の取り次ぎをしたり、人や店の商売の間に入って話をまとめたり、金を貸したりと、金が絡む事なら何でもじゃ」
「お金が大好きってこと?」
「うっしっしー、そうじゃ」
エナ爺は楽しそうだ。
「それから、ギルドの話をするなら、教会の話もせんとな。
教会はだな―― 金が大好きなんじゃ。
金儲けについて、やっとることはギルドとほとんど同じじゃ」
エナ爺は、さっきと違って真面目な顔をしている。
「教会って、人を幸せにするための活動をしているところじゃないの?」
と、聞いている。
それで、ユピアート村に教会がないのは、みんな幸せに暮らしているから必要がないとも聞いていた。
「つまらんことを知っておるな。
一応、そうゆうこともやっているようじゃが、アイツらは金が大好物なんじゃ」
これは、あれだな――
「爺ちゃん、教会のこと嫌いでしょ?」
「そんなもん、嫌いに決まっておるじゃろ」
やっぱり。
エナ爺、好き嫌いが激しいからな。
ウソは言ってはないだろうけど……
「なんじゃ、その顔は――」
いけない! 顔に出ていたみたいだ。
「ギルド」「教会」について――
『小説家になろう版』:うんちく、説明が「少なめ」です。(第23話:約1400字)
『カクヨム版』 :うんちく、説明が「多め」です。(第23話:約1900字)




