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第15話 魔鋼(あまり知らない)

 

「ところで、その槍は何?」

「これかい。思いつきで作ったんだけどね。

 火魔法の効果が高まる良さそうな魔鋼(まこう)が手に入ったから、混ぜてみたんだよ」


 また思いつきか…… でも、何だか強そうだ。


「でもね、槍の刃の部分を火で覆うと、柔らかくなって、ぶつけると変形しやすくなる。

 これは持つ所も金属だから、熱伝導でひどく熱くなる。

 そうかといって、持つ柄の所を木にすると火で焦げたり燃えたりするかもしれない。

 さらには、槍の刃の部分から離れたところに火を作っても、攻撃に生かしにくいし、魔法の技術が高くないといけない。

 そもそも、そうなると槍である必要がなくなってくる」


 全然ダメじゃん。


「なんで、作ったの?」

「思いつき、て言っただろ。試してみたい事もあったし、それにたまに思いがけない発見もあるからね」

「試してみたい事って?」


 ニカッと笑って、


「離れていな」


 真剣な顔で槍を構えて、前に勢いよく突き出した。

 すると、槍先から唸(うな)るように、ドバーっと炎が噴き出した。


 シルバは超一流の魔法使いでもあるのだ。

 シルバは火と空気と金(・)属(・)と肉体強化と熱感知魔法が得意だ。

 正に超一流の鍛冶師の持つ魔法といった感じだ。


 金(・)属(・)魔法は土魔法に近い魔法だ。

 石魔法、砂魔法も土魔法の仲間だ。


 僕は金属魔法を少しだけ使える。

 小さな金属をちょっとだけなら動かすことができる。

 でも、その程度だ。


 今、シルバの使った凄まじい魔法はたぶん火と空気の魔法の合体技だ。

 今の僕には絶対にできない魔法だ。


「すごい!」


 でも、気に食わなそうにしている。


「魔法のイメージはしやすいんだよ。

 だけど、この技だけのためだけにある槍じゃあね……

 派手な魔法だから脅しにはなるけどね。

 ――あたしは使わないね。

 これなら、普通に肉体強化の効果が高まる魔鋼が入った物の方が使い勝手が良いね。

 できれば、火と肉体強化の両方の効果を高めたいけどね」


 シルバなら、この槍がなくても、多少発動させるのに時間が掛かるかもしれないけど、今の魔法を使うことができる。

 だから、直接、槍でやり合うことを考えているんだろうな。

 だけど、あの魔法を使えば誰も近づけないと思うんだけど。

 誰と戦うことを考えているんだろう?

 と、言うか職人のこだわり――なんだろうけどね。


「火の魔鋼と肉体強化の魔鋼を混ぜればいいんじゃないの?」

「魔鋼を混ぜるのはとても難しんだよ。

 上手くいくこともあるけど、失敗することも多いんだ。

 魔鋼といっても、種類がすごく多くてね。

 実際、効果は混ぜてみないと分からないんだよ。

 混ぜる量を変えると、効果も変わってしまう。

 失敗すると、お互いの効果を打ち消してしまうことが多いんだよ。

 そして、戻そうとしても、完全に元に戻すことはできない。

 そうなっても適当に使うけどね。

 少し魔鋼が入っているだけで、錆(さ)びにくくなるからね」


 適当って、何だろう?

 シルバは刃物を作るのが得意だから、ハサミ? 包丁? ナイフとか?


 いや、そんなことより、火魔法と肉体強化魔法の両方の効果を高める方法を考えないと――


「その火の槍と肉体強化の腕輪の組み合わせとか…… ダメかな?」

「うーん…… そうだね。

 魔法を発動させるときは、その魔鋼具(まこうぐ)を意識しないといけない。

 魔鋼具が二つあると、二つ同時に意識を集中するのが難しいんだよ。

 それに、手に持つ道具の場合、直接手に持った方が、魔法のイメージがしやすくなる。

 肉体強化の腕輪は道具を選ばないといった利点はあるんだけど、効果は低くなるね」


 僕は魔鋼(魔鋼の道具)の道具をあまり使ったことがない。

 なんとなく知っているだけだ。

 錆(さび)止め程度の魔鋼具は家にたくさんあるけどね。

 それは、ほとんどシルバが作った物だ。




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