観光
カップヌードルは麵職人一択ですよね!
「次、そこの2人!身分証を提示しろ!」
門番が私たち2人にそう叫ぶ。いつの間にか私たちの番がきていたようだ。
「はいはい、わかってますよっと。」
コウがそう言って身分証を出した時、門番の表情が固まった。
「あ、貴方が!いえ、お二人での入国ですね。ではパタパタウサギはここで預からせていただきます。では、ゆっくりとお過ごし下さい」
「ああっ、私のうさちゃん!連れてかないで〜!」
悲痛な面持ちでかぐやは叫ぶ。
「姫様、このウサギは地球に行ける国宝級の希少種だよ?個人で所有できるわけないでしょ?」
コウはそう諭すように言う。
「はあ〜、それもそうね。じゃあ中に入りましょう!」
そう言って門をくぐると、そこには月とは思えないほど賑わった街がそこにあった。見上げれば、薄暗い空に巨大な青い地球が浮かんでいる。なのに頭上を覆う透明なドームのせいで、街の中はまるで真昼のように明るく暖かかった。
「ウサギ饅頭売ってるよ〜ぜひ買っていってね〜」
「いらっしゃい!うちのアクセサリーは最高級よ!」
「うわ〜すごい!どこを見ても気になるものばかりだわ!」
「姫様、一旦落ち着いてくれ〜!」
「はいはい。ところでコウ、さっき門番に驚かれてたけど、あなたって何者なのよ…なんか犯罪でもしたの〜?」
そう冗談めかしてかぐやは聞く。
「やだなーただのしがない騎士だよ。本当に、ね。」
そう言ったコウの横顔はどこか寂しそうだった。
「何か…」
何かあったの、かぐやはそう聞こうとしてやめた。
(今の私にはきっと答えてくれないでしょうね)
「よし、コウ!気を取り直して、腹ごしらえといきましょう!」
〜〜〜〜
しばらく歩いていると、美味しそうな香りの串焼き肉のお店を見つけた。
「コウ、これってまさかウサギ肉じゃないでしょうね?」
「姫様、そのまさかだよ〜。食用のウサギも月にはいるんだよ」
「ひどい!ウサギを食べるなんて最低よ!たった今、私がウサギ保護協会を設立することを決めたわ!」
「まあまあいいから早く食べてみなよ、美味しいから」
何故かドヤ顔をしているコウを横目に、かぐやはウサギ肉にかぶりついた。
「こ、これは…!」
ウサギなのに臭みが全くなく、それでいてとろけるような肉の柔らかさ!そして絡みついてくるこの甘辛ソース――!
「ねえコウ!これすごい!メチャクチャ美味しいわ!」
「でしょでしょ〜人気なんだよね、これ。」
「ウサギ保護協会は来週からにするわ!それで、次は何を紹介してくれるの!?」
かぐやはもう待ち切れない様子でコウに詰め寄る。
「それはもちろんご飯を食べたら次はデザートでしょ!」
「はやく、早く行きましょう!」
〜〜〜〜
「姫様、買ってきたよ〜」
コウの手の中にあったのは不思議な色をした球だった。
「これは…飴?まあ一旦食べてみましょう!」
そう言ってかぐやは口に放り込んだ。
「ん!抹茶の味がするわ!美味しいのは美味しいけどうーん、なんか普通ね。」
「まあまあ姫様、そのまま待ってて」
「?そりゃそのまま食べるけど…って、ん!?口の中で飴が弾けて味が変わったわ!黒糖の味がする!」
パチパチと口の中で跳ねる感覚に、かぐやは思わず「んぐっ」と目を丸くして口を押さえた。
「ふっふっふ〜、実はこれ、味が3種類に変化するんだよね。どう、驚いたでしょ〜?」
「ええ!ということはもう1段階変化するのね!次は何かしら!」
「あ、次は地球でいうとこのみかんだよ〜」
「なんで言っちゃうのよバカ!あんた絶対モテないでしょうね!」
「それ言うのはひどいって姫様!」
「はいはい、あ、みかんになった。サッパリ終われていいわねこれ。」
「結構食べたし、あとはのんびり街を観光して帰りましょうか」
「…目的忘れてるよね姫様?今から王城行くんだよ?遊ぶのはもう終わり〜」
かぐやはものすごく嫌そうな顔をした。
「…やだ、行かない」
「そんなこと言っても、引きずってでも連れて行くから」
かぐやはどこか冗談に見えない本気の目を向けられ、諦めざるを得なかった。
「わかったわよ、城に行くからまた明日来させてよね。」
「はいはい、まあ姫様が無事だったらね〜」
「…?」
何処か不穏なことを言うコウにかぐやは少し不安を覚えるのが、コウはすでに「ほら、お城はあっちだよー」といつものヘラヘラ顔に戻っていたのだった




