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竹取物語”裏”  作者: やすひこ
第2章 白兎強奪編
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試練③

『くっくっく。よくお前らここまでやってきたもんだぜ!でもなあお前らはここで全員ぶっ飛ばされるようになってんだよ!私の最高傑作--月脈駆動型試作重機兵・アステリオスにな!』


3階の巨大な広場の奥から、ガシャコン……ガシャコン……と大地を揺らす重々しい足音が響いてきた。


現れたのは、無数の歯車と太いパイプを露出させた、体長4メートルを超える巨大な鉄の巨人だった。


『ぎゃはははは! かかってきなよ侵入者たち! 天才の力、見せてやんよ!』


「な、何よあのデカブツ……!」


「来ます、かぐや様! 私の後ろへ!」


セリーヌが疾風のごとく肉薄し、一刃のもとに斬り伏せんと全身の踏み込みを載せた一閃を放つ。

しかし——キィィィンッ!と鋭い嫌な金属音が響き、セリーヌの愛刀が激しく弾き返された。


「くっ……!? 刃が弾かれるほどの硬度……!?」


『ハッハー! 無駄無駄ぁ! こいつの装甲は衝撃を極限まで殺す「月脈緩衝液」で満たされてる! 物理攻撃なんて一切効かないぜ!』


ゴーレムはセリーヌの体勢が崩れた一瞬を逃さず、丸太のような巨腕を振り下ろした。


ドォォォンッ!!


「くあッ……!?」


セリーヌが咄嗟に剣の腹で受け止めるも、直撃の衝撃波で背後の石壁まで吹き飛ばされ、激しく叩きつけられる。


「セリーヌ!……このバカでかいポンコツがぁ! 1階の時みたいに私の月脈でぶち壊してやるわ!」


かぐやが前に出て、必死に胸の奥から絞り出した月脈の波動を直にゴーレムへ叩き込む。……だが、ゴーレムの背中の排熱パイプから「シューッ!」と濃密な青い光が吐き出され、何事もなかったかのように駆動音を響かせた。


『ぎゃははは! 残念でしたー! 1階で君がやった「過負荷ショート」の対策はバッチリなんだよ! 注入された月脈は背中の排熱パイプから全部外へ逃げる仕組みなのさ! さあ、私のアスター砲の藻屑となれぇ!』


ゴーレムの胸部がカチリと展開し、禍々しく青く光る砲口が露出する。溜め込まれたエネルギーが過密状態を起こし、空気そのものをバチバチと震わせ始めた。


「まずい、姫様伏せろ!!」


コウがかぐやの首根っこを掴んで強引に横へ転がり込むと同時、絶大なる月脈レーザーが空間を撃ち抜いた。


ドドドドドォォォンッ!!


背後の分厚い石壁が丸ごと吹き飛び、熱風と瓦礫の雨が三人を襲う。かすっただけでコウの服の裾が焼け焦げ、かぐやは恐怖で足が竦みそうになるのを必死に堪えた。


「ちょっと……! これ冗談抜きで死ぬんじゃないの!? セリーヌ、大丈夫!? コウ、どうすんのよこれー!」


「くそっ、攻撃は弾かれるわ、月脈は逃がされるわ、威力は桁違いだわ……! マジで隙がねぇ……!」


膝をつくセリーヌが血の味のする唾を吐き捨てる。立ち塞がる壁はあまりにも絶大だった。


「……待って。逃がされてる……?」


死線の中で、かぐやの頭にふと、泥臭いひらめきが走った。


「ねえコウ! あいつ、私の月脈を背中のパイプから逃がしてるのよね!? だったら……逃げ道を物理的に『塞いじゃえば』いいんじゃない!?」


「なっ……排熱口を凍結して密閉するのですか!?」


「いいじゃん姫様! セリーヌ先輩の冷気なら、あの高熱の排熱口を一瞬で氷漬けにできる!」


「ですが、あの高密度の熱気……生半可な冷気では一瞬で溶かされます。至近距離から私の全霊を込めた一撃を叩き込まねば……!」


「隙は俺が作る! 姫様はタイミングを合わせて月脈を流し込む準備をしてくれ!」


「了解! お願い、二人とも死なないでよー!」


コウが目にも留まらぬ速度でゴーレムの頭上を飛び交い、短剣で装甲を叩いて強烈に煽る。ゴーレムの意識がコウへ向いたコンマ数秒——。


「セリーヌ先輩、今だッ!!」


「凍てつきなさい……ッ! 『月影・氷華咲(ひょうかざき)』!!」


セリーヌが地を蹴り、ゴーレムの背後へ躍り出る。冷気を纏った美しい一閃が背中の排熱パイプを切り裂くと同時に、分厚い永久凍土のような氷塊が排熱口を完全に包み込み、ガチガチにフタをした!


『なッ……!? 排熱口が凍結……温度が急上昇、冷却システム全停止!?』


アナウンスから焦り声が響く。


「かぐや様、今です!!」


「任せなさーーーいッ! くらええええええええっ!!」


かぐやが叫びながらゴーレムの胸部へ両手を叩きつけた。特訓の成果である月脈を、絞り出すように極限まで注ぎ込む。


超高熱のエネルギーと極低温の氷、そして逃げ場を失ったかぐやの過剰な月脈。

三つの矛盾するエネルギーがゴーレムの内部で激突し、激しい熱膨張と金属疲労を起こした!


ガガガガガガガガガッ!!


「ギ……ギギ……システム、臨界……オーバー……」


ブシャァァァァァッ!!


耐え切れなくなった内部回路が爆発的な蒸気とともに破裂! 全身のギアが弾け飛び、ゴーレムはモウモウと煙を上げながらドスンと沈黙したのだった。


「か、勝った~!!!私、大活躍ね!」


「流石に今回は姫様の機転のおかげだわ。助かった~。先輩、傷は大丈夫?」


「ええ。それよりこの奥ですよ、アスターがいる部屋は」


「そうね!じゃあ顔合わせってことで突撃するわよ!」

辻褄合わせのために前話を少しいじりました。具体的には最後の最高傑作のゴーレムと表記していたところから、ゴーレムを削除しました。

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