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竹取物語”裏”  作者: やすひこ
第2章 白兎強奪編
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14/24

どたばた

今日は冷凍パスタ

 皆さんどうもこんにちは。かぐやです。今私は月の発明品らしい『べっど』とやらにくるまっています。なぜ私が急に一人実況をしているのかといいますと……今日私恥ずかしいこと言いすぎた!『命大事にして!』とか『何か隠してるー』とか、なんでこんなこと言っちゃったのよもう!


 忘れかけてたけど私たちまだ会って二日程度の仲だよ?まだ二人のこと私全然知らないな。まあ明日からの生活で色々わかるでしょ!


 例えばコウは絶対家事とかできないしー、セリーヌが作ったご飯は絶対に美味しいとか!うんうんそうに決まってる。私は料理洗濯くらいはできるし?掃除はからっきしだけど…まあ何とかなるってもんよ。よし、気分もすっきりしたし寝よっと。


 ……って言っても、やっぱり寝れないわね。


 だって、『私が王になってあげる!』とか『足を引っ張らないようにする!』とか大口叩いちゃったし…


 よし!こっそり『月脈』の特訓をしちゃいましょう!明日二人を驚かせるのよ!とはいってもどうしたらできるんだろう?セリーヌは確か『集中を高めて、体に流れる力を意識する』みたいなことを言っていたわね。


 よし……目をとじて、集中……。私の体に眠る、月の力よ……出でよ!!


「……ぬぬぬぬぬっ!!……はあああっ!!」


 ……。

 ……うん、何も起きないわね。


 おかしいわね。気合が足りないのかしら?

 もっとこう、セリーヌみたいに凛としたポーズで、カッコいい技名を叫べば形から入って覚醒するかもしれないわ!


 私はフカフカの掛け布団をバッと跳ね除け、ベッドの上に立ち上がった。

 片足を大きく踏みだし、右手で刀を構えるようなポーズを決める。


「見せてあげるわ! 私の覚醒した力……! 『月脈解放』……月光無双斬りーーーっ!!」


 勢いよく右手を振り下ろした瞬間——


 足元の掛け布団に足をすっぽりと取られた。


「あ、ぐえっ!?」


 盛大にバランスを崩し、視界がぐるりと回転する。そのまま空中へ投げ出され、床へ向かって一直線。


 ゴンっっっっ!


「い、いったうううん。ゴホッ。ンンッ。」


 豪邸の床に顔面からダイブ。おでこを痛恨の強打。

 思わず叫びそうになったけれど、慌てて両手で口を塞いだ。


(やばっ……! 声出したら二人が来ちゃう……!)


 涙目になりながらじっと息を殺す。静まり返った館内。……ふぅ、どうやら誰も起きてこなかったみたい。危ない危ない。


 おでこをさすりながら床に転がり、天井を見上げる。


「……痛い。タンコブできちゃったじゃない……。おとなしくしとけばよかったわ……今度二人に教えてもらいましょう...」


 今度こそ本当に諦めて、かぐやは擦りむいたおでこを押さえながらベッドへと潜り込んだのだった。


 ~~~~


 えー色々あって二週間がたちました。今また私かぐやが実況しているのですが、端的に言ってやばい。…何が?ってなるよね…。


 まず、意外にもコウはかなり家事ができることが分かったわ。コウの作るご飯は普通に美味しいし、掃除も洗い物もきちんとしてる。


 逆にセリーヌったら家事が壊滅的なのよ!なぜかセリーヌが作った料理には金属が入ってるし、野菜に砂糖塗りたくるし!理解に苦しむわ…。


「もう先輩は火に触らないで!野菜が炭になってるじゃん!」


「何言ってるのコウ?私の料理はここからなのだけど!」


 ……うん。ありがとうコウ。あんたの言ってることすごく正しいと思うわ。炭になってから始まる料理なんてものはないもの。


 さらによ?セリーヌは何というかお嬢様すぎて常識がないのよ。この前なんて洗濯物は自分で洗う事っていうルールを決めたら、服を洗ったことないっていうんだもん。そういうわけでセリーヌは家事に関してはかなりのポンコツね。


 ……とまあ、家事は壊滅的なセリーヌだけど、こと「戦闘」と「月脈の指導」になると話は別。

 この二週間、私はまさに地獄を見たわ。初日の夜にたんこぶを作っていた私が可愛く思えるくらい、セリーヌの指導は容赦ない鬼軍曹そのものだったんだから!


「かぐや様! 足腰が引けています! 月脈は気合ではなく、波のように身体へ巡らせるのです!」


「ひええぇぇ! 炭を作ってた時より厳しいじゃないのよー!」


 でもね、その厳しい特訓のおかげで、私はほんの少しだけ月脈の感覚を掴めるようになったの。手のひらに小さな光の弾を作れるようになった時は、コウも「へえ、筋はいいじゃん。それができれば一応攻撃はできるしね」ってちょっとだけ褒めてくれたんだから!


 そして今日、ついにセリーヌから「基礎訓練修了」の許可が出た。


「よし! それじゃあ今日からいよいよ本格動行ね!」


 私は変装用のフード付きポンチョを羽織り、胸を張った。


「宰相様からの連絡を待つ間に、帝都の街へ繰り出しましょ! 追っ手の状況確認と、あわよくば私たちの味方になってくれそうな凄腕の仲間探しよ!」


「はい、かぐや様。ですが絶対に私の側を離れないでくださいね」


「へいへい、お供しまーす。姫様、今度は迷子になるなよ?」


 こうしてかぐやたちは隠れ家を飛び出し、活気と危険が渦巻く帝都ルナリアの街へと踏み出したのだった。





初めての一人称視点での執筆でした。3人称とどっちがいいか悩ましい…コメントで教えてくれると嬉しいです!

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