第六、■話「少女の思い出」
純白の部屋で一人。
少女が目を覚ます。
「ん―。あれ?私は…」
(どうしてだろうなんで私はここにいるんだろう)
少女、花菱絢芽は純白の部屋を見まわした。
するとそこに一人の吟遊詩人が座っていた。
「やあ、お嬢さん。初めまして」
「あ、はい」
絢芽の大人嫌いが顕著に出た冷たい返事だった。
「まあそう警戒しないでくれ、と言ってもこんな不審者は信用ならないか」
吟遊詩人は少し黙った。
「私は旅の吟遊詩人。あなたの思い出を謳うものだ」
「わ、私の?」
(意味が分からない、大丈夫なのこの人)
「まあ、私に歌は謳えないのだけどね」
「は、はあ」
「まあ、君の思い出を何か聞かせてくれ」
「私のですか?えっとまずは―」
――四年前の冬。
柊夜様と私はショッピングモールでデートしました。
ご飯食べたり、服を選んだり、選んでもらったり。
柊夜様結構センスいいのですよ?
それで少し事件が…
柊夜様がお手洗いに行って私がそれを待っていた時のことです。
「そこの可愛いお嬢ちゃん。今、暇?」
俗にいうナンパというやつですね。
「いえ、恋人を待っているので…」
「え?彼氏クン?じゃあ、彼氏クンも一緒に連れて行こうよ?」
「いやです」
そんな感じに断っていたら急に腕を掴まれて…
「きゃっ!」
その時は完全に休日だったので神器も持ってなくて、
抵抗できなかったんですよ。
そしたら
「すまん、そこにいる女性は俺の連れなんだ。
その手、放してもらえないか?」
柊夜様が来たんですよ。タイミングばっちりに。
「はあ?俺たちはこのお嬢ちゃんに勉強を教えようとしてるんだけど」
「お前が彼氏クンか?一緒にどう?」
「放せと言っているのが聞こえないのか?」
「だから、このお嬢ちゃんは俺たちと遊ぶんだよ。
部外者は引っ込んでろ!!!」
そういうとその男性、いや蛮族ですかね?
柊夜様を蹴り飛ばしたんですよ。
「柊夜様!」
「ほら、いくよ」
「放して!」
「うるせえ、行くんだよ!」
連れていかれそうになった時、
「放せと言っているのが聞こえないのか」
柊夜様の言葉に呼応してなのか蛮族たちの腹までが氷漬けにされていました。
「てめえ…」
「いいか、絢芽は俺の連れだ。あまり目立つことはしたくなかったんだがな」
そういうと柊夜様は苦笑しながらこっちに顔を向けて話し始めて、
「すまん、絢芽。俺のせいで…」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
「ふう、お前らは警察が来るまで氷漬けだ。俺を怒らしたことを後悔するといい」
そういうと蛮族たちは氷になってしまいました。
「すまん、絢芽また今度埋め合わせしよう。」
そういってその日のデートは終わりました。
――「ねえ、惚気にきたの?」
「へ?あなたが語れといったから語っただけのですけど…」
「まあ、いいか。あともう一個ぐらい聞かせてくれよ」
「は、はあ…」
――あれは、二年前のクリスマスの日の出来事です。
花の隠れ里で凪ちゃん、日奈ちゃん、迅くん、刹那ねえ、柊夜様とパーティーをした時の話です。
「「メリー、クリスマス―!」」
「め、メリー、クリスマス…」
「柊夜様!こういうのはみんなでいうものですよ!」
「いや、だがなあ、あんま経験ないから分からなくてな。」
「そうだぜ柊夜さん。年に一回ぐらい気分上げてやろうや」
「なんで迅はそんな馴染んでんだよ。」
「え?いや絢芽のこのノリには慣れてるからなあ」
「あ、そうでした。柊夜様には言ってませんでしたね。
私と迅くん従妹なんですよ」
「へー、従妹なのか。」
「そうなんですよ」
「は?」
「へ?」
「し、知らなかった…」
「言ってなかったですからね」
「え、柊夜、知らなかったんだ」
「ああ、凪は…知ってたんだな…」
「というかなんか柊夜テンション高くないですか?」
「へ?日奈、そうか?」
「あ!これお酒じゃん! 迅だろ」
「あれ?あ、ミスった」
「だから柊夜様はあんなにハイテンションなんですね」
刹那ねえが納得したように語る。
「はあ、一旦柊夜様拘束してっと。ちょっと氷雨さんに連絡とってくるね」
「いってら~ 手出すんじゃないぞ~」
「凪ちゃん、あとで覚えててくださいね?」
「ごめんて~」と泣きすがる凪ちゃんを置いて私は寝室に行きました。
―数刻後
「あれ?絢芽だ。」
「はい、どうしました?柊夜様」
「絢芽、大好きだよ」
「へっ」
そのあと柊夜様は寝てしまいました。
翌朝。
「えっと、絢芽。」
「はい?」
「昨日はありがとう。」
「ああ、はい。…ちなみに…」
「なんだ?」
「あの言葉って覚えていたり?」
柊夜様が目を逸らしました。
こういう時は大体覚えている時なので問い詰めます。
「あれって本心だったり…」
「…。」
「柊夜様~?もう一回言ってくれません?」
「はあ、絢芽、大好きだよ」
「っつ。はい!私も大好きです!」
そんな感じで私の恋は実りましたとさ
――
「ねえ、絶対惚気に来たよね」
「だから、あなたが言え、と言ったんでしょう!」
「まあいい、君はここでの会話を覚えていられないからね」
「っつ!! それってどういう」
「おっと、タイムオーバーだ。君はお呼ばれのようだね。
これは…時か。」
「皓くんが? じゃなくて、あなたは誰なのですか!」
「私か?私の名はただの■■■■だよ」
ここで私の記憶は途絶えt
過去編って偶に書きたくなるよね




