第二話:空の戦い
「オラオラオラァッ! 墜ちろ、この鉄クズどもがァ!!」
国都の上空。ビル群の間を縫うように超高速で飛び交う影があった。
雷の継承者・雷堂迅である。
彼は愛刀「雷帝」を逆手に構え、全身に青白い稲妻を纏いながら、
空中を文字通り『跳躍』していた。
足場にするのは、自身が空間に放った術式、あるいは敵の飛行兵器の機体そのものだ。
バリバリバリィィィンッ!!
迅が空中で一閃すると、飛行型の『反・術式兵装』が二つに両断され、
爆炎を上げて倒壊するビルへと墜落していく。
「──はあ。迅、突っ込みすぎ。右斜め後方から、さらに三機接近中。」
インカムから聞こえる冷淡で、しかし正確な声。
国都で最も高いビルの屋上──その縁に腰掛け、
巨大な狙撃銃型にした「風刃」を構えているのは、風の継承者・風見凪だ。
「言われなくても分かってらぁッ!」
迅が空中で身を翻すが、敵は術式を無効化する赤黒い障壁を展開しながら迫ってくる。
まともに雷撃を放っても、着弾する前に消される。
「──なら、風で押し通す」
凪の引き金が引かれた。
「風刃」の銃口から放たれたのは、目に見えない超高圧の『真空弾』だ。
魔術的な術式ではなく、ただの「空気の塊」であるため、
敵の反・術式障壁を完全に無視して機体を直撃。
バランスを崩した三機の隙を、迅が見逃すはずもなかった。
「ナイスだ凪ィ! ──喰らいやがれッ!」
迅は空中で剣を乱舞させ、
物理的に姿勢を崩した敵の装甲の隙間へと直接、
最大出力の雷撃を流し込んだ。
ドゴォォォンッ!!
激しい連鎖爆発が夜空を染める。
地上を誓いの森へと疾走する柊夜は、頭上を掠めていく爆風と雷光を見上げ、
フッと口元を緩めた。
「相変わらず、無茶苦茶な戦闘スタイルだな」
「ふふ、でもあの二人のおかげで、空からの奇襲は完全に防げていますね!」
絢芽も走りながら、頼もしい仲間たちの奮闘に瞳を輝かせる。
しかし、上空の二人の表情は未だに険しかった。
煙の向こうから、さらに倍の数の飛行兵装が、
不気味な赤い目を光らせて雲霞のごとく湧き出てきたからだ。
「チッ、本当にキリがねぇな……! 凪、弾の残りは!?」
「──あと三十発。でも、あいつらが下に降りる前に、一機残らず撃ち落とす」
凪は再び銃を構え、迅は不敵に笑って「雷帝」に雷を宿す。
国都の空は、未だに二人の若き継承者たちによって死守されていた。
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