第一話:現状
柊夜たち四人を乗せた列車が国都に入った瞬間、轟音と共に体が宙へ浮いた。
「っつ、、、!」
柊夜が咄嗟に氷の魔術を展開し、四人の身体を座席へ固定しようとしたが、
それでも凄まじい衝撃が車内を駆け抜けた。
バリバリと不気味な残響を残しながら列車の揺れが収まり、周囲を見渡す。
車両の天井を突き破り、床深くへと突き刺さっていたのは
──激しく火花を散らす、巨大な雷でできた槍だった。
「これは……迅の……!」
柊夜が割れた窓から外の夜空を見上げる。
すると数百メートル先の上空で、雷堂迅と風見凪の二人が、
無数の飛行型『反・術式兵装』を相手に激しい空中戦を繰り広げているのが見えた。
味方の雷槍が誤認、あるいは流れ弾として列車に直撃するほど、
上空の戦況は混沌を極めている。
四人は大破した列車から即座に脱出。
地面へと着地し、最短距離で『誓いの森』を目指して走り出した。
目に飛び込んできた国都のビル群は、あるものは無残に倒壊し、
あるものは激しく破損して骨組みを晒している。
すでに厳たちの誘導で避難が済んでいるのか、人間の悲鳴こそ聞こえなかったが
──代わりに、街を焼き尽くす不気味な炎の爆ぜる音と、
鳴り止まないサイレンの音だけが、地獄の環境音のように国都に鳴り響いていた。
「急ぐぞ。街の防衛線はもう限界だ!」
柊夜の鋭い声に、絢芽、氷雨、鏡花が表情を引き締め、
それぞれの目的地へと向かって速度を上げる。 敷島の命運を懸けた、
誓いの森防衛戦が今、始まった──。
次回から色々な視点でお送りします




