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第28話 進軍路

広場に集められた住民たちの間から、声が上がった。


何でもする。


命令には従う。


村から逃げない。


だから、そのままにしてほしい。


クロウは一つも拾わなかった。


黒い兜をミオへ向ける。


「配置は決まってるか?」


「はい」


ミオは、広場に集められた住民たちを見る。


兵士に回せる者。


労働へ回す者。


採取を任せる者。


厨房で働かせる者。


一人ずつの名前より、今のリード村に必要な役割を先に考えていた。


「兵士に回せる人は、農民兵にします」


リード村は、これから領都へ向かうための中継地点になる。


西門と東門を守る兵士。


街道を警戒する兵士。


必要になれば、クロウとともに前へ出る兵士。


それらを確保する必要があった。


「残りは、労働、採取、厨房に分けます」


倉庫の整理。


荷車への積み込み。


門や柵の補修。


農地での作業。


物資の運搬。


そうした仕事は労働ユニットに任せる。


食事の準備は厨房ユニット。


周辺の採取場所で資源を集める者は採取ユニットへ回す。


「ユニット化していない住民は残しません」


ミオは言った。


「領都へ逃げる人や、内部の情報を持ち出す人が出るかもしれません」


「分かった」


クロウが操作を実行した。


淡い光が広場を包む。


悲鳴が上がった。


その場から逃げようとする者。


家族の名を呼ぶ者。


何でもするからやめてくれと訴える者。


クロウは反応しない。


ミオも、これから必要になる配置だけを考えていた。


光の中で、人々の姿が変わっていく。


兵士へ変わる者には、防具と槍。


採取ユニットには、作業に使う道具。


厨房ユニットには、厨房で働くための装備。


労働ユニットは、命じられた作業を行うための姿へ変わっていく。


必要な資源が消費される。


やがて、光が消えた。


同時に、広場を満たしていた声もなくなった。


誰も周囲を見回さない。


家族の名を呼ばない。


逃げようともしない。


ただ、次の指示を待っていた。


《農民兵》


《労働ユニット》


《採取ユニット》


《厨房ユニット》


ミオは新しく増えたユニットを確認する。


「農民兵は、西門と東門へ配置します」


二つの列が動き出した。


「労働ユニットは、倉庫の整理と西門の補修を始めてください。一部は農地へ回します」


別の列が動く。


「厨房ユニットは、食料庫を確認してください」


さらに別の列が離れていく。


「採取ユニットは、今日は村から出さず待機です。周辺の安全を確認してから採取場所へ配置します」


指示を出すたび、広場の列が分かれていった。


迷う者はいない。


違う仕事を望む者もいない。


昨日まで誰がどこで暮らしていたかは、配置に関係なかった。


全員が、必要な場所へ収まっていく。


リード村は、東へ進むための拠点へ変わり始めていた。


「倉庫を確認してきます」


「ああ。俺は東門を見る」


クロウは新しく増えた農民兵を連れ、領都へ続く東門へ向かう。


ミオは労働ユニットを連れ、村内の物資を確認することにした。


◇ ◇ ◇


レンが使っていた薬師の仕事場には、多くの薬草が残されていた。


乾燥させた葉。


傷に使う物。


熱を下げるために分けられた物。


棚には、レンが付けた印が残っている。


レイヴンの備蓄として使える物だった。


「使える薬草を倉庫へ運んでください」


労働ユニットが袋へ詰めていく。


レンが誰かを治すために集めた物が、仕事場から運び出される。


これからは、ギルド《レイヴン》の兵士へ使われる。


作業台には、使いかけの薬箱が置かれていた。


ミオは一度だけ手を止めた。


レンは最後まで、この世界の者たちは人間だと言った。


この世界は現実だと。


けれど、レンは村人とは違う消え方をした。


身体も、持っていた物も、白い光になった。


クロウが言っていたプレイヤーの死に方だった。


レンの言葉が全て間違っていたと証明されたわけではない。


それでもミオには、クロウの方がこの世界の仕組みを正しく見ているように思えた。


「それも運んでください」


ミオは薬箱から手を離した。


隣には、サヨが使っていた作業場がある。


布。


縄。


糸。


途中まで縫われた衣服。


日本という言葉を確かめた時の、サヨの静かな声を思い出す。


サヨの優しさが嘘だったとは思わない。


ミオを心配していたことも、本当だったのだろう。


それでも最後には、ギルド《レイヴン》の進軍を止める側へ立った。


優しいことと、レイヴンにとって都合がいいことは別だった。


「ここにある物も倉庫へ運んでください」


布や縄は、必要な処理をすれば繊維として使える。


兵士の装備。


荷物をまとめる袋。


前線設備。


残しておく理由はなかった。


薬草と布が運び出されていく。


木材。


石材。


鉄材。


繊維。


登録できる物は、前線設備に使う資源へ回す。


兵士が口にする糧食と、負傷へ使う薬草は現物のまま保管する。


前線へ送る時は、荷車へ積んで運ばなければならない。


数字だけでは、部隊は進まない。


道。


荷車。


倉庫。


物を運ぶ労働ユニット。


それらが必要だった。


ミオは空になっていく二つの仕事場を見る。


人にも物にも、役割がある。


今のミオには、それで十分だった。


◇ ◇ ◇


リード村の制圧から二日後。


ギルド《レイヴン》は、さらに東へ進み始めた。


先頭はクロウ。


その後ろに軽装槍兵と農民兵が続く。


荷車には糧食と薬草が積まれている。


荷車を扱う労働ユニットも同行していた。


ミオは隊列の中ほどを進む。


エルク拠点。


リード村。


二つの拠点は街道でつながっている。


リード村では、労働ユニットが倉庫と荷物を管理し、必要な物資を前へ送る準備をしている。


西側では、レイヴン前哨拠点と西の廃坑も稼働を続けていた。


鉄材は前哨拠点へ運ばれる。


木材と石材も蓄えられている。


クロウが東へ進んでいる間も、後方では採取と運搬が続いていた。


隊列の前方から、先行していた農民兵が戻ってきた。


クロウの前で立ち止まる。


「前方、農村」


農民兵が報告する。


「領都兵、三人。武装した住民、複数。東へ向かう荷車あり」


「柵は?」


ミオが尋ねる。


「低い木柵。西側、障害物なし」


クロウが街道の先を見る。


「どのくらいだ?」


「このまま進めば、昼前に到着」


ミオは手元の地図を確認した。


街道沿いにある小さな農村。


領都と周辺の村をつなぐ途中にある。


周囲には農地も描かれている。


以前なら、まず村の名前を見ていたかもしれない。


今は、位置と使い道を先に考える。


「住民を逃がしているようです」


ミオは東へ続く街道を見る。


人を逃がせば、領都へ情報が届く。


同時に、村から働き手と物資が減る。


「逃げる荷車は追いますか?」


「道を塞がないなら放置だ」


クロウは答えた。


「今は集落と街道を取る」


「分かりました」


全てを追えば進軍が遅れる。


クロウの目的は、逃げる者を一人ずつ追いかけることではない。


領都までの道を確保することだった。


◇ ◇ ◇


農村の西側には、領都兵が三人立っていた。


村の男たちも、槍や農具を持っている。


だが、クロウとレイヴンの兵士たちが近づくと、その構えが揺れた。


「これ以上は進ませない!」


領都兵の一人が叫ぶ。


声は震えている。


それでも、その場からは退かなかった。


「村の者が逃げるまで、ここは通さない!」


クロウは返事をしない。


ハルバードを構える。


領都兵が槍を向けた。


軽装槍兵がクロウの左右へ広がる。


ミオは後方から兵士へ指示を出した。


「農民兵は左右へ広がってください。東へ逃げる人は追わなくていいです」


農民兵が動く。


領都兵がクロウへ槍を突き出した。


ハルバードの斧刃が柄を断つ。


返した一撃で兵士が倒れた。


隣の兵士が剣を抜く。


クロウは刃をハルバードの柄で外へ流し、そのまま斧刃を振るった。


二人目が倒れる。


最後の一人は、東へ向かう荷車が街道の先へ消えたことを確認した。


それから、槍を地面へ置いた。


クロウはその兵士を無視した。


村人たちも、次々に農具を捨てていく。


「拘束してください」


ミオが命じる。


農民兵が動いた。


武器を捨てた者たちは、まとめて村の広場へ集められる。


降伏した領都兵も武装を解かれ、別に拘束された。


クロウは倒れた兵士を振り返らず、周囲を見る。


「柵は低いな」


「防衛設備としては弱いです」


ミオも村内を見る。


農地。


小さな倉庫。


井戸。


食事を作るために使えそうな建物。


荷車を止められる街道沿いの空き地。


「前へ送る物資を置く場所には使えます」


「取るか?」


「はい」


ミオは即答した。


「ここを残せば、また領都側が使う可能性があります」


抵抗できる者はいなくなっている。


クロウが制圧を実行した。


淡い線が、門、農地、倉庫、井戸へ広がる。


制圧が完了する。


《所属ギルド レイヴン》


《補給路 接続》


リード村から続く道が、さらに東へつながった。


「住民は?」


クロウが尋ねる。


ミオは広場へ集められた者たちを見る。


誰が最後まで抵抗したのか。


誰が早く武器を捨てたのか。


今は、それを分ける必要はなかった。


ユニット化せずに残せば、いずれ領都へ逃げるかもしれない。


情報を持ち出す可能性もある。


「残った住民は、全員ユニット化します」


拘束された者たちの顔が強張る。


「兵士に回せる人は農民兵へ。ほかは、労働、採取、厨房に分けます」


「配置できるか?」


「はい」


ミオは周囲を見る。


「東へ進むほど、途中の拠点で働くユニットが必要になります」


クロウは一度だけ頷いた。


ユニット化の光が広がる。


命乞いの声が消えていった。


新しく増えた農民兵の一部は、その日のうちに周囲の警戒へ回す。


厨房ユニットは残された糧食を確認する。


労働ユニットは倉庫と荷物を整理する。


別の労働ユニットは農地へ配置する。


採取ユニットは、周囲の安全を確認した後で採取場所へ回すことにした。


戦闘が終わって間もないのに、集落は新しい指示に従って動き始める。


捕らえた領都兵は武装を解いたまま拘束を続ける。


新しく増えた農民兵の一体を、その監視に回した。


「出発は明日の朝にします」


ミオが言った。


「今日のうちに糧食をまとめて、兵士を休ませます」


「ああ」


「リード村から届く荷物も、ここで一度分けます。前へ送る分と、残す分です」


「任せる」


クロウはすでに、東へ続く街道を見ていた。


一つ取れば、その先がある。


ミオはまず、新しく確保した場所の倉庫と荷車を整える。


クロウが次の攻略地点へ向かえるように。


◇ ◇ ◇


次にレイヴンを待っていたのは、街道を監視する小さな砦だった。


石造りの建物。


道を塞ぐ木柵。


高い位置には、弓を持った領都兵がいる。


先行して様子を確認していた農民兵が戻ってきた。


「弓兵、高所。槍兵、木柵内」


農民兵が報告する。


「裏へ回れる道は確認できず」


ミオは砦の形を見る。


「移動式防壁を使います」


クロウが作成を選ぶ。


登録済みの木材、鉄材、繊維が消費される。


作成時間を経て、街道上に移動式防壁が組み上がった。


軽装槍兵が防壁の後ろへ入る。


矢が飛んだ。


鏃が防壁へ突き刺さる。


隙間から腕を傷つけられた軽装槍兵もいた。


それでも、兵士たちは命じられたとおり前へ進む。


「負傷した軽装槍兵一体を下げます」


ミオが指示する。


農民兵一体を代わりに前へ出す。


後方には補給箱を作成する。


完成した箱の中は空だった。


労働ユニットが荷車から薬草を運び、補給箱へ入れる。


下がった軽装槍兵には、その薬草を使わせた。


前列は進み続ける。


砦の兵士たちは、負傷した仲間を壁の内側へ運んでいた。


声を掛け合う。


矢を渡す。


怯えた者を励ます。


人間として戦っている。


疲れる。


迷う。


仲間が倒れれば、動きも変わる。


レイヴンの兵士には、それがない。


クロウが木柵の前へ到達した。


ハルバードの斧刃を振り下ろす。


板が裂ける。


二撃目で補強が外れた。


軽装槍兵が隙間へ槍を差し込む。


農民兵が柵を押す。


入口が開いた。


砦の兵士たちは、石造りの建物の前まで下がった。


指揮をしていた男が剣を抜く。


「ここを抜かせれば、領都まで遮るものがない!」


クロウは答えない。


男が斬りかかる。


クロウは剣をハルバードの柄で外へ流した。


返した斧刃で倒す。


指揮官を失った兵士たちの動きが止まる。


一人が槍を捨てた。


隣もそれに続く。


「拘束してください」


ミオが命じた。


生き残った領都兵は武装を解除され、砦の一角へ集められる。


今はレイヴンの兵士へ変えず、武装を解除したまま拘束する。


クロウは砦の周囲を確認した。


井戸はない。


農地もない。


大人数を置ける場所でもなかった。


それでも、街道を見張り、一時的に物資を置く場所には使える。


「残すか?」


「はい」


ミオは答えた。


「農民兵と労働ユニットを一体ずつ残します。荷車が通る時の休憩と、街道の確認には使えます」


「捕虜は?」


「ここに残す農民兵に監視させます」


クロウが制圧を実行する。


制圧が完了する。


《所属ギルド レイヴン》


《補給路 接続》


街道上の新しい地点が、レイヴンの支配下へ入った。


◇ ◇ ◇


その後も、レイヴンは街道を進んだ。


小さな農村。


荷車を休められる場所。


井戸のある分かれ道。


領都兵が物資を置いていた倉庫。


必要な場所を、一つずつ押さえていく。


抵抗する者は、クロウと兵士ユニットが倒す。


武器を捨てた者は拘束する。


逃げる者を追い回すことはしない。


街道と施設を確保した後、残った住民には役割を与える。


抵抗しなかった集落でも、扱いは変わらなかった。


門を開け、食料を差し出し、攻撃しないでほしいと頼んだ者たちもいる。


クロウは攻撃しなかった。


ミオも、殺す必要はないと判断した。


ただし、ユニット化せずに残すこともしなかった。


「協力します!」


村のまとめ役だった男が訴える。


「領都には知らせない。食料も出す。だから、そのままにしてくれ」


ミオは男を見る。


「今はそう言っていても、後で変わるかもしれません」


「変わらない!」


「確認する方法がありません」


「信じてくれ!」


信じる必要はなかった。


役割を固定すれば、後から判断を変える可能性そのものがなくなる。


「兵士に回せるなら、農民兵にします」


男の訴えは、ユニット化の光の中で消えた。


その後は、命じられた場所で門を守った。


抵抗しなかった者をユニット化しても、ミオに迷いは生まれなかった。


ユニット化していなければ、逃げる可能性がある。


情報を持ち出す可能性もある。


一度した約束を、後から変えることもある。


役割を固定すれば、その心配をする必要がない。


クロウが最初から当然のように使っていた仕組みを、ミオも自分の判断で使うようになっていた。


回収した物資は、各地の倉庫へ集められる。


木材、石材、鉄材、繊維として登録できる物は、前線設備に使う資源へ回す。


糧食と薬草は荷車へ積む。


労働ユニットが、中継する場所を通して前線へ運ぶ。


厨房ユニットが兵士の食事を用意する。


労働ユニットが、倉庫で前へ送る荷物を分ける。


採取ユニットが、周辺の採取場所から使える資源を集める。


前線の兵士が減れば、後方から農民兵を送る。


薬草が不足すれば、手前の倉庫から現物を運ぶ。


戦闘のたびに負傷者が出る。


装備も傷む。


糧食や薬草も減っていく。


それでも、次の戦闘に必要な兵と物資は前へ送られていった。


クロウが前で敵を倒す。


ミオが、後方から届く兵と物資を必要な場所へ振り分ける。


ギルド《レイヴン》の支配範囲は、一本の街道に沿って領都へ近づいていった。


◇ ◇ ◇


数日後。


最後の監視所を越えると、街道の先に大きな城壁が見えた。


リード村の柵とは比べものにならない。


高い石壁。


重い門。


壁の上を動く兵士。


複数の見張り台。


その奥には、数え切れないほどの建物が並んでいる。


領都だった。


先行していた農民兵が戻ってくる。


「領都正門、閉鎖」


農民兵が報告する。


「壁上に弓兵多数。正門周辺にも兵士多数。物資を積んだ荷車も複数確認」


領都の周辺には、街道沿いの村から逃げた者たちも集まっているようだった。


領主に従う兵士と騎士。


避難してきた人々。


運び込まれた物資。


これまでの小さな集落とは違う。


一つの勢力が、城壁の中へ集まっている。


クロウは街道の中央に立ち、領都を見ていた。


黒い兜の奥から、わずかに弾んだ声が聞こえる。


「やっと本番だな」


ミオは領都の防衛を見る。


カナタが戻った後、領主側は防衛の準備を進めた。


街道沿いの村から住民を逃がす。


兵を集める。


武具と物資を領都へ運ぶ。


「クロウさん」


「何だ?」


「カナタさんが戻れば、領都が兵を集めると思っていたんですか?」


「ああ」


「それでも、帰るのを止めなかったんですね」


「敵になるなら、準備してる方が面白いだろ」


クロウの声には、隠すつもりのない期待があった。


ミオは領都へ続く道を振り返る。


「それなら、リード村も準備させた方がよかったのでは?」


「補給路は先に取る」


返答は短かった。


「領都本体と同じじゃない」


領都には、兵と騎士が集まっている。


だが、そこへ到達するまでの街道と、物資を運ぶために使える場所は先に押さえた。


クロウにとって必要なのは、強い相手と戦うこと。


そして、その相手がいる場所まで自分たちの兵と物資を運べることだった。


ミオは、ここまで確保してきた場所を思い浮かべる。


エルク拠点。


レイヴン前哨拠点。


西の廃坑。


リード村。


そこから領都まで続く街道沿いの集落と砦。


後方では、今も資源が集められている。


鉄材が運ばれる。


糧食と薬草も、荷車で前線へ届く。


進軍前より兵士も増えていた。


誰も、目の前の城壁を見て逃げようとはしない。


「領都まで、兵と物資を運べるようになりました」


ミオは報告した。


「途中の倉庫にも物資を置いてあります。攻城設備を作るための資源も足ります」


「糧食と薬草は?」


「現物で運んでいます。数日分は確保できています」


「なら、明日から攻める」


「はい」


ミオは領都を見る。


そこに暮らす一人ずつの顔は見えない。


見えるのは城壁。


門。


兵士。


倉庫。


街道。


攻略に必要なものだった。


「今夜のうちに、兵士と物資の配置を確認します」


ミオが言う。


「クロウさんは休んでください」


「ミオは?」


「荷車の中身と、前線設備を作る場所をもう一度確認します」


「分かった。任せる」


クロウは領都を見たまま答えた。


領都までの道は確保した。


クロウが戦う場所もある。


必要な兵と物資も、ここまで運べている。


領主側も、兵と騎士を集めて待っていた。


クロウは、それを歓迎している。


残るのは、城壁の向こうにいる敵と戦うことだけだった。

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