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目を通す人と読み続ける人

魔術教室の生徒はみな帰った。


茜色の光が教室内に入ってくる。


窓には吊り下げられたドライフラワーがかすかに揺れている。


「ソムナリアいる?」


ローザの声が教室内に響いた。


しかし、中から応える声が聞こえない。人が動く気配もない。


ローザは教室の中に入った。床に寝転がるソムナリアを見つける。


「昼にベルンハルト君が来て、あんたにこれを渡してほしいってさ」


ローザは「ファラリス年代記中巻」と書かれた書籍を示した。


ソムナリアは声を出さず、口を開くだけだった。


「どうする? ここの机に置いとこうか?」


ソムナリアは、ゆっくりと浅くうなずいた。


ローザは傍らの机に本を置き、教室を出た。


夜の王室魔術顧問事務所に馬車が到着した。


通用門の脇に、薄い灯火が置かれている。


ベルンハルトは受付の前を通りすぎ、奥まった執務室のドアを開けた。


執務室は暗く、机の奥の男の表情が見えない。


「報告書を持って参りました」


ベルンハルトは机の前に進み、その先に向かって両手で報告書を差し出した。


男はそれを受け取り、目を落とした。


ベルンハルトは一礼をして執務室を退出した。


男は報告書を読み終えた後、それを机に置いた。


「……まだか」


夜の魔術教室。


ソムナリアはファラリス年代記を読んでいた。


ろうそくの灯が揺れながら、本のページを照らしていた。


第一話はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

第二話も出します。よろしければお付き合い下さい。

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