途切れない光
ソムナリア側も追手側もお互いの魔術が止まり静寂が辺りを支配した。
しかしその静寂はすぐに破られた。
――カサカサ!
霧の中から足音が聞こえた。
「くるよ!だいたいでいいから散弾で撃って!」
ソムナリアがゲオルクに指示した。
――シャ!……シャ!……シャ!
ゲオルクは敵がハッした音のする方に光の弾丸を投げつけ続けた。
――シャ!シャ!シャ!シャ!
ソムナリアも小さな光の弾丸を広範囲に撃ち込み続けた。
「やっぱり早い……」
またゲオルクが呟いた。
――「ウッ!」……ドサッ!
追手の一人が倒れたか。多分二人目だ。
「あと三人ですか?」
ゲオルクが聞いた。
「考えない。戦闘が終わるまでが戦闘よ!」
ソムナリアが言った。
――シューッ!シューッ!
向こうから光の矢が飛んできた。これまでの警告とは全く違う、生命を奪おうとする矢だ。
「えいっ!」
ソムナリアは矢の来る方向に小さな光の弾丸を多数撃ち込んだ。
――シャ!シャ!シャ!シャ!シャ!
光の矢が解け消えた。
――シューッ!シューッ!
さらに向こうから飛んでくる。
――シャ!シャ!シャ!シャ!
それも多数の小さな光の弾丸で消し去った。
「早いうえに正確……」
ゲオルクが声に出した。
「……これで一級持ちだと攻撃力はどうなるんだ?」
「ゲオルク!気を逸らさない!」
「あ、はい!」
一拍置いて、ソムナリアは少し落ち着いた声で尋ねた。
「魔術士が見える?」
ゲオルクは目を凝らしたが首を傾げた。
「見えないです……」
「光の矢の出元を見て。分かるから」
「はい!」
――シューッ!シューッ!
ゲオルクが返事をするのとほぼ同時に光の矢が放たれた。
――シャ!シャ!シャ!シャ!
ソムナリアが小さな光の弾丸で防いだ。
「あそこか!」
――シャーッ!
ゲオルクの手から大きな光の弾丸が放たれ、追手のいるところに真っすぐ飛んだ。
――「グアッ!」
人に当たった手ごたえを感じた。
「多分三人目……でも確認できない……見えないのは、いやだな……」
光の弾丸を出しつつソムナリアが呟いた。
それからすぐにソムナリアが気付いた。手を止める。
「攻撃が止まったね……」
ゲオルクも手を止めた。
ガサガサ!
二人は身構えた。音のする方を見据える。霧の中で誰かが動いている。
タッタッタッ……。
遠ざかる足音が聞こえた。
「これで終わり?」
ベルンハルトがソムナリアに近寄った。ソムナリアは首を横に振る。
「分かんない。警戒は必要だと思う」
ソムナリアは汗をぬぐった。冬空の下では一人、多量に発汗していた。
「ベルンハルト、あとはよろしく……」
ソムナリアはその場に崩れ落ちかけた。それをベルンハルトが受け止めた。
「ありがとう……」
ソムナリアは薄く笑みを作りながら目を閉じた。
「こちらこそありがとう……」
ベルンハルトがソムナリアの寝顔に向かって言った。そして、優しく地面に寝かせた。
「あの、ベルンハルトさん……これからどうしたら……?」
ゲオルクが尋ねた。
「霧が晴れるまで待とう。追手を調べないといけない」
ベルンハルトが言った。ゲオルクは頷いた。
「そうですね。もうすぐ霧も晴れますし……」
東の空に茜色が差し始めていた。




