表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
19/36

首都へ

ベルンハルトはソムナリアの顔を何度か見た。


「ノルダンセルに行かない?」


「いいよ」


ソムナリアが答えた。


「え!?」


ベルンハルトが声を上げた。


「二つ返事なんて珍しいね」


ソムナリアはベルンハルトの顔を見ながら手を差し出した。


「……命令書が出てるんでしょ?持ってきてるよね?」


「察しがはやいね」


ベルンハルトは、ぎこちなく微笑んだ。


「それで、首都で何をする任務なの?」


ソムナリアが言う。


「国王陛下が南方戦線視察の行幸にお出ましになるんだ。その際に必要な資材の買付けをしているんだ」


「ベルンハルトが?」


「あ、違って、魔術顧問事務所の人たちの仕事だよ」


「『本所』の人が担当してるのね。じゃあ私が行く意味ってあるのかな?」


「それなんだけど……」


ベルンハルトはソムナリアの近くまで歩み寄った。そして続ける。


「どうも、よく分からないところがあるらしいんだ」


「よく分からないって?資材の買付けをしてるだけだよね?」


「そうなんだけど、担当の人は困ってたよ。色がどうとか光がどうとか言ってた」


「色?光?なにそれ?」


「俺はしっかり聞いてないから分からないんだ。ごめん」


「それはいいよ」


そう言うと、ソムナリアは手で口を押さえながら、視線を斜め下に向けた。


「……色…光…なんだろう?」


「詳しくは向こうで説明するって」


ソムナリアは手を下ろした。


「そうよね、これだけの情報じゃ分からないもの。分かった」


「それから、明日の朝から行って、明後日の夜に帰る日程を考えてるんだけど、いいかな?」


「時間が余ったら?」


「普通は足りなくなる場合のことを聞くものだと思うよ?」


ベルンハルトは口元を少し緩ませながら続けた。


「うん、もし時間が余ったら、市内散策でもしてもらおうかな?」


「それでいいよ」


ソムナリアがうなずいた。


「それから……」


ソムナリアが視線を横に向けながら言った。


「なに?」


「『本所』に行くの?」


ベルンハルトが首を傾げる。ほんの少し返答が遅れる。


「ああ、そうか」


ベルンハルトが独り言を言った。そして首を横に振った。


「『本所』には行かないよ」


ソムナリアがうなずいた。


「それならいいよ」


「じゃあ明日の朝、迎えに来るよ」


ベルンハルトはそこまで言うと、教室の奥で書類整理をしているローザの前に進んだ。


「ローザさん、例によって命令書にサインを……」


ローザはベルンハルトから命令書を受け取った。


「相変わらず『本所』は準備万端で来るわよね」


ローザは命令書を一通り読み取った。


「うん、特に誤記もないわね。二日の予定ね?」


ローザがベルンハルトの顔を見上げた。


「はい」


ベルンハルトが答えた。


ローザは命令書をベルンハルトに渡した。


「ソムナリアをよろしくね」


ローザがベルンハルトを覗き込む。


「あ、はい」


ベルンハルトは視線を横に逸らせながら言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ