ソムナリアの夜
魔術教室の生徒はみな帰った。
茜色の光が教室内に入ってくる。
窓には吊り下げられたドライフラワーがかすかに揺れている。
ローザが魔術教室のドアを開けた。慎重に床を確認しながら歩く。
ローザの足が止まった。その先にはソムナリアが寝ころんでいた。
ソムナリアの顔が夕日に照らされている。
「そろそろ起きなさい」
ローザが言う。
ソムナリアがゆっくりと目を開ける。
「……いつも通りね」
ローザがつぶやく。
ソムナリアはゆっくりと起き上がった。
ローザが台所に向かった。ソムナリアはその後ろを歩く。
「はい、夕食」
ローザがパンとチーズと素焼の壺を渡した。
「それと、スープがあるけど?」
「今日はいい」
ソムナリアは首を横に振る。そして視線を上げた。
「……ありがとう」
ソムナリアは二階に上がり自室に入った。
壁は長年使いこまれた色を見せ。ところどころ焼けた跡が見える。ベッドや積まれた書籍が夕日を浴びている。
ソムナリアは椅子に座り、机に素焼の壺を置いた。
パンを割ってチーズを挟む。数回に分けて口に運んだ。
壺からカップに薄めたワインを少し注ぎ、一口飲んだ。
カップをしばらく見ていた。
壺に蓋をしてカップを隅に寄せた。
あたりが暗くなり始めた。ソムナリアは少し離れたランプに手を向けた。ランプに火が付いた。
「民間初級魔術訓練論」という書籍を手に取った。魔術教室の受入印がある。
書籍を開いて読み始め、ページをめくったところで閉じた。
次に「バイアリー地誌」という書籍を開いた。
目を走らせ、ページを繰っていった。
時々ページを戻しては少し読んで、またページを進めた。
途中で書籍を置いて、壺の薄いワインを一口飲んだ。外は暗くなっていた。
再び書籍を開いて読み進めた。
その後「バイアリー地誌」を閉じて、今度は「北方の植生」に手を伸ばした。
ページを繰り、行を追い、次のページに進んだ。
読む速度が落ちてきた。瞼が落ちてきた。
ソムナリアはすぐに眼を開けた。首を左右に振った。
「……まただ」
ソムナリアは深く呼吸をして立ち上がった。
キルトルを脱いで、軽くたたんで机に置いた。
そして、ランプを消した。
ごく短く書きました。いつも寝てるはずなのに、第ニ話では寝なかったので書きたくなりました。
ここまでお付き合いくださってありがとうございました。
このお話については、ちょっと休憩が必要かなと思いましたので、休憩に入ります。
できればまた覗いていただければと思います。
引き続き、よろしくお願いします。




