再びレイホウへ
二日後の朝。街路の人もまばらな時間。魔術教室には生徒はまだいない。教室の前にはソムナリアが立っていた。
遠くからひづめの音が聞こえてきた。馬車が迫ってくる。ソムナリアは馬を目で追った。馬車はソムナリアの前で止まった。
ソムナリアは馬車の後方に回り込んだ。荷台からベルンハルトが顔を出しているのが見えた。ソムナリアは一度息を吸った。そしてステップに足をかけて荷台に乗った。
「今日は少し人が多いけど、こっちに来て」
ベルンハルトが自らの向かいに来るよう手招きした。
ソムナリアが座ると、御者が「行きますよ」と荷台に声をかけて馬車を進めた。
ソムナリアの正面にはいつものようにベルンハルトが座っている。
その隣にはヨーゼフ。御者の風ではなく甲冑に身を包んでいる。他にも数人の兵士が黙って座っている。
それと役人の風体をした男が一人いる。
ソムナリアの耳には、馬のひづめの音と馬車のきしむ音とだけが入ってきた。誰も何も言わないまま、レイホウに向かって馬車は進んだ。
昼過ぎにレイホウの街が見えてきた。
「止まってくれ」
ベルンハルトは御者に言った。
「集まってくれ」
ベルンハルトが言うと、停止した荷台の上で数人の男が動いた。
「ニコラ捕縛の手続きを確認する。ヨーゼフ、配置は覚えているか?」
「はい。こいつらと裏に回ります」
ヨーゼフは兵士たちの方を向きながら言った。兵士たちはうなずいた。
「それと、捕縛令状はありますか?」
ベルンハルトは魔術顧問事務所事務員に顔を向けた。
「ありますよ」
事務員は書面を掲げてベルンハルトに見せた。
「あなたは私の後について来てください」
「わかりました」
「そして……」
ベルンハルトはソムナリアの方を見た。
「ソムナリアは俺と一緒に来てください」
「うん」
「それから、魔術については全面的に任せます」
ソムナリアは黙ってうなずいた。
「では行きましょう」
ベルンハルトの声とともに馬車が動き出し、レイホウの宿屋まで走った。
馬車からまずヨーゼフと兵士が降りた。続いて事務員が降りて、ソムナリアが続き、最後にベルンハルトが降りた。
全員が宿屋の中庭に並んだ。
ベルンハルトが正面に立った。
「行け」
ベルンハルトがヨーゼフに向かって命じた。ヨーゼフは兵士を連れて所定の位置に向かった。
「ソムナリアはついてきて。事務員さんはその後ろに」
ベルンハルトが宿屋の玄関に向かった。
「分かった」
ソムナリアが続いた。さらにうしろに事務員がついて歩いた。




