レイホウへの道
「すぐに出られる?」
ベルンハルトが尋ねた。
「日帰りよね?」
ソムナリアが尋ね返す。ベルンハルトはうなずいた。
「ちょっと待っててね」
ソムナリアはそう言うと二階に上がった。
ローザから差し出された薄いワインを口に含みながら待っていると、足音が聞こえてきた。
「お待たせ」
バックパックを背負ったソムナリアが降りてきた。
ベルンハルトが先に魔術教室を出て、ソムナリアが続いた。
道の脇で馬車が待っていた。ベルンハルトが荷台に乗り込んだ。
ベルンハルトは続くソムナリアに手を差し出した。ソムナリアはステップを使って難なく荷台に上った。
「ではいきますよ」
御者が合図を送ると、馬車は動き始めた。
午後の日を受けて、馬車は街を出て、農地の脇を通り、橋を渡り、森に入る。二人は荷台の両端に座って、それぞれに外の景色を眺めていた。
「ソムナリア……」
急にベルンハルトが声をかける。
「ん?」
ソムナリアがベルンハルトの方に顔を向けた。
「今日のことなんだけど……」
「どうぞ」
ベルンハルトは一呼吸の後に話し始めた。
「今日は様子を見るだけ。顔を見るのと目的を探ること」
「分かった」
「もし何か被害が出るようだったら早急に捕縛することになるけど、多分無いと思う」
「そうだね」
「参加者は、ソムナリアと僕と、御者をしてくれてるヨーゼフ」
御者が顔を少し荷台に向けて「よろしくお願いします」と言った。
「この三人だ」
ソムナリアはベルンハルトと御者とを見回した。
「これだと、向こうの仲間の数によっては捕縛できないかも」
「うん。だから今回は危険は避ける」
「分かった」
馬車は森を抜けて川に突き当たった。川を上っていく方向に小さい街が見えた。
馬車は川沿いを上ってレイホウの中に入った。街の中心に城があって、その周囲に住居が密集している。街中を進むと広場が見えた。小さな市が立っている。そこに馬車を止めた。
「どうぞ、行って来て下さい」
御者のヨーゼフが市場の木柵に馬を繋ぎつつ二人に言った。
二人は馬車から降りて歩き出した。
「占い師がいるね」
ベルンハルトが広場の隅に座る老人の姿を見ながら言った。
「いるね」
ソムナリアは表情を変えずに答えた。
「占い師はいいの?」
「だって占いって楽しいよ?それにカードがきれいだし」
「そういうものなんだ……」
ベルンハルトはそれ以上何も言わなかった。




