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昼休みの魔術教室

ベルンハルトが静かに入ってくる。ソムナリアの近くまで来て、立ち止まった。


ソムナリアは、机を吹き上げてから、立ち上がり、ベルンハルトに向いた。


「こんにちは」


ベルンハルトが挨拶をした。


「こんにちは……」


ソムナリアは、表情を変えずに返した。


「妖術師が出たんだ」


ソムナリアの眉間にシワが刻まれる。


「場所は?」


ソムナリアがたずねる。


「レイホウだ」


「近いね。どういう状況?」


「現れてからそんなに経っていないようだ。今日の夜に村人を集めるという話だよ」


「まだ何かの被害が出てないのね?」


「そうなるね」


ベルンハルトは、口を閉じて一拍おいてから話し始めた。


「妖術師捕縛の命令が出てるんだ。魔術士に手伝ってもらうことになる」


「……それを私が?」


ベルンハルトは何も言わずに立っている。


ソムナリアは視線を落とす。そして視線を上げると、ベルンハルトが表情を変えずに見ているのを感じた。


「……捕縛の手伝いぐらいなら」


ベルンハルトは表情を変えずに続ける。


「今日の午後から出れる?」


「それだと今夜の集会に間に合いそうね」


「そう」


「でも……」


ソムナリアは周囲を見回した。


「教室があるの」


ソムナリアは机に視線を落としながら言った。


ベルンハルトは、まだソムナリアを見続けている。


ソムナリアの視線はベルンハルトと机とを往復している。


フワッとそよ風が吹いて、二人の髪を撫でた。


「教室なら私が面倒を見れるよ」


ローザが教室の奥から声をかけた。


二人は見つめ合う形になってしまった。ソムナリアは首を小刻みに横に振る。静寂が場を一時的に支配した。


ベルンハルトが動き出した。バックパックから書類を取り出してローザに渡す。


「施行文と命令書です。命令書にサインをお願いします」


「分かった。……しかし、本所は仕事が早いね」


「僕は魔術顧問事務所の所属ではないですよ」


ベルンハルトが表情を変えずに言った。


「そうだったわね」


そう言いながらローザは命令書にサインをした。


「ソムナリア」


ベルンハルトは命令書を手にソムナリアの前に戻った。


「今から出発。今日は夜に帰る」


ベルンハルトは命令書を差し出した。


ソムナリアは表情を変えずに黙って受け取った。


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