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魔法少女おばあちゃん 〜78歳のおばあちゃん、16歳の侯爵令嬢に転生?!〜  作者: 柚木(ゆき)ゆきこ@書籍発売中
第五章 魔境の森

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78、特撮映画みたーい!

「竜だ!」


 ユウくんの声で私は我に返った。目の前にいたのは、赤黒い竜。なんでそんなものが……?


「お嬢様、辺境伯領で倒したアンデットにそっくりですね」


 そう言われて思い出した。辺境伯領で倒したアンデットの欠片が石に入っていったんだっけ? けど、マチルダちゃん……私骨格で似てるかどうかなんて判断できないんだけど。まあ、でもマチルダちゃんが言うならきっとそうよね!

 いきなり現れた竜に、シェラさんも驚いているのか目を剥いている。竜は向かってこようとするカメラを威嚇したあと、こちらへ優雅に歩いてきた。カメラは身動きが取れないのか、固まったままだ。


 マチルダちゃんとユウくんは剣を構えるが、竜が攻撃する様子はない。

 むしろ私の前に辿り着くと……頭を下げた。なんとなく気持ちが伝わってくる。


「撫でてってこと?」


 私の言葉に擦り寄ってくる竜。なんだかとっても可愛らしいわねぇ。ラーネとワトくんもとっても可愛いけど、この子はどっちかといえば犬猫みたいな可愛さかしら?

 頭を撫でると、気持ちよさそうに喉を鳴らす竜。あらまぁ、完全に猫ちゃんじゃない。


 私が竜の頭を撫でる、という時間が過ぎていく。周囲が唖然と見ている中、満足したのか竜は空へと飛び上がった。そして雄叫びを上げる。それを見たカメラが動き始めた。どうやら戦いが始まる……らしい?


 全員が静かに頭上を見つめる。私は念の為防御魔法をかけ直しながら、二頭の動向を眺めた。心の中には先ほどのような絶望は感じない。むしろ、勝利の二文字が頭に浮かんできた。


 そんな時、ユウくんとマチルダちゃんがこちらへとやってきた。


「なあ、クリス。あの竜は味方……か?」

「味方……に見えますけれど……?」


 二人は半信半疑だ。まあ、そうだよね。いきなり石から現れた竜だもんね。私はにっこりと笑う。


「味方だと思うよ。だって可愛かったじゃない?」

「いや、確かに……クリスに懐いていたが……」

「あれを『懐く』と言っていいのでしょうか……?」


 ユウくんの言葉にマチルダちゃんが、不思議そうに答える。ユウくんはバツの悪い表情を浮かべながらも、肩を縮めて話し続けた。


「まあ、クリスが言うなら大丈夫だろうな」

「あら、お嬢様に絶大な信頼があるのですね」


 揶揄うように話すマチルダちゃんに、呆れたような声でユウくんは話す。


「クリスは規格外だからな……竜くらい手懐けるだろ?」

「まあ、そうですわね……竜くらい……」


 あら、二人の認識にある私はどんな人なのかしら?


  


 奥ではシェラさんも二頭の戦いを見ている。戦いは壮絶だった。

 翼や胴体のぶつけ合い、魔法の応戦……まるで特撮映画を見ているみたい。なんか日本でも似たようなもの、あったわよね? そして余波が飛んでくるので、何度も防御魔法を掛け直している。シェラさんなんかは何十にも防御魔法を掛けているみたいね。


 しばらくして、どうやら二頭はお互いが魔法無効だと理解したのか、衝突を始めた。空中で大きな音が何回も鳴る中、竜がカメラの攻撃を掻い潜って、首元に思い切り噛みついたのだ。

 カメラから苦しそうな雄叫びが上がる。


 そして赤竜ちゃんはカメラを振り回し……ポイっと勢いよく投げ捨てたのだ。


「えっ!?」


 シェラさんの叫び声が上がる。赤竜ちゃんはカメラをシェラさんに向けて放っていた。彼は防御魔法を何枚も重ね掛けしている。逃げる時間はないと悟ったためだろう。

 カメラがシェラさんの防御魔法に当たった。一つ、二つ……どんどん割れていく防御魔法。


「くっ!」


 その間にも何度も防御魔法を掛け直す。けれども、カメラのぶつかるスピードが速いためか、防御魔法を展開するよりも、割れる方が数段早いのだ。そして最後の一枚が割れた瞬間、彼は目を瞑った。


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