7:00
俺は朝早くに家を出て、昨日から全く寝れていない沙樹の元へ向かう。
今日は妹の樹璃ちゃんがお母さんの通院に付き添う日らしく、2人は朝一で家を出たので家には沙樹しかいなかった。
夏「どうしても断るのはダメなの?」
俺は何度も電話で聞いた事をもう一度聞いてみる。
沙樹「…うん。断ったら僕の人生終わる。」
そう言って、沙樹は目を赤くさせて膝を抱えたまま遠い目をする。
ナナさんは沙樹の何を握っているのか分からないが、まだ俺の知らない沙樹を拘束しているらしい。
そうやって人を物のように扱う人間が嫌いだ。
1度しか会っていないが、沙樹の怯える様子を見て俺はナナさんに嫌悪感しか抱かない。
夏「とりあえず少しだけでも寝よう?睡眠不足は体にも心にも悪いって教えてもらったんだ。」
沙樹「…そうだよね。寝れるか分からないけど布団に入るよ。」
沙樹は俺が作った温かいほうじ茶を飲み干して、自分の部屋に向かう。
沙樹「夏も僕のせいであんまり寝れてないでしょ?一緒に寝よう。」
夏「うん。」
昨日は夜中まで瑠愛くんと仕事をしていて、その途中で沙樹からナナさんのせいで寝れないと連絡が来たので朝が明けるまでずっと電話をしたままだった。
ナナさんから連絡があって以来、ずっと寝不足な沙樹は自分の部屋に行くと床に敷いた布団に自分が入ろうとする。
夏「沙樹は自分のベッドで寝なよ。俺はどこでも寝れるから。」
沙樹「…でも、今日も無理して来てもらってるし。」
夏「無理してないよ。大切な事だから来たんだよ。」
俺は布団に入ろうとしていた沙樹の手を引き、ベッドに座らせる。
夏「俺は沙樹の今までの事を全部知ってるわけじゃないけど、大切な存在だと思ってるから困ってる時はちゃんと側にいるよ。…解決出来るかは分からないけど。」
俺はこの間、ストーカーのことでいろんな人に迷惑をかけてしまったので少し自分に自信がなくなってしまった。
けど、俺が1人いるだけで何かが変わるのであれば一緒にいてあげたい。
沙樹「…ありがとう。本当に…、ありがとう。」
沙樹は目を潤ませて下を俯き、自分のズボンを握りしめる。
夏「俺も。俺を頼ってくれてありがとう。」
沙樹「…ありがとう。」
沙樹は俺と目を合わせお礼を言うとベッドに倒れこむように横になり、俺はボロボロな沙樹に薄手の掛け布団をかける。
夏「おやすみ。」
沙樹「…うん。おやすみ。」
俺は部屋に差し込む朝日をカーテンで遮り、少し薄暗くなった部屋で沙樹が眠った事を確認してから俺も眠りについた。
→ 私はお前の奴隷じゃない




