12:00
午前中から目をつけていた物件を見させてもらって、瑠愛くんにも少し相談して決めた家は値切ってもらったけど今までの3倍近い家賃。
瑠愛くんが住んでいるマンションのようにエントランスから数棟に分かれていて、迷路のように部屋に向かうような形だから部屋がバレにくいらしい。
しかも中心の棟の部屋を瑠愛くんに選んでくれたから外からバレることはないだろうということ。
俺は瑠愛くんと不動産の人に感謝をしながらその家にすることに決め、来週の頭にはあのアパートから引っ越すことに決めた。
この間から貯め始めていた沙樹と愛海と行く旅費を使うけれど、また1から貯めればいい。
あの社長ともあと少しで関わりがなくなるんだから愛海の家の車種がバレてしまったことも気にしなくていいだろう。
俺は久しぶりに帰ってきたと感じる部屋で愛海に引っ越しの荷物まとめと護衛も兼ねて手伝ってもらうことにした。
愛海「殺されなくて良かったな。」
秘密主義の愛海には言っても大丈夫かなと思い、悠がいたことは言わずミサさんに監禁されたことを伝えた。
夏「うん。命あっての物種って言うもんね。」
愛海「そうだぞー。生きてないと生活出来ないからな。」
愛海は食器棚にある少ない食器を新聞紙で包みながら適当に答えを返してくる。
必要以上に詮索してこない愛海だから長い時間一緒にいてもあまり気疲れしたりはしない。
そんな愛海だからか、俺は相談をしてみることにしてみた。
夏「愛海はなんにも思ってない子との旅行ってどう思う?」
愛海「旅行行くのか。いいな!」
夏「俺はそんなに乗り気じゃないんだけど…。」
愛海「なんて誘われたんだ?」
夏「本当は別に行く人がいたんだけど、ドタキャンされてキャンセル料払うことになっちゃうから一緒に行こうって。」
愛海「そうか。俺はある程度仲が良ければ行く。」
夏「ちょっと気まずい人は?」
愛海「んー…、旅行自体が好きだから行きたい。気まずいって思ったら個人行動すればいいだけだし。」
なるほど。
そういう考えは思いつかなかったな。
愛海「けど…」
と、愛海は言葉を続ける。
愛海「けど、なにも思ってないのは嘘だろ?」
夏「え?」
愛海「なにも思ってなかったら気を使う必要性がないだろ。好意の逆は無関心だと俺は思ってるから気を使うってことはある程度その人に対して夏が好意があるってことだ。」
俺の好意…?
悠に対して俺は好意を持ってるのだろうか。
愛海「その好意が友達として、恋愛としてまた別のものか俺には分からないけど、その人に対してそんなに嫌悪感はないんだろ?」
夏「…まあ、そうだね。」
愛海「それじゃあ旅行楽しんでこい。いい機会にリフレッシュさせてもらえて良かったな。」
愛海は笑顔で俺にそう言った。
こんな時、誰と行くのか聞いてしまいそうなのに一切聞いてこない愛海の頭の中には誰かの顔が思い浮かんでいるんだろうか。
俺はそんな愛海に尊敬しながら明るい時間に終わるよう、引っ越し準備を進めた。
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