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ひと夏の恋  作者: 環流 虹向
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22:00

今週もマサキさんは俺を指名して予約してくれた。


けれど、今日はマッサージではなくてデートだけ。

きっとそういう気分にはなれないんだろう。


俺は待ち合わせ場所のカフェ前で待っていると、いつものマサキさんとは考えられないくらいラフめな格好で駆け寄ってくる。


夏「今日は爽やかな感じだね。」


胸元がざっくりと開き、綺麗な細身の鎖骨が見える白いシャツにハイウエストのジーパンでスリッポンを身につけたマサキさんの珍しさに目を奪われる。


マサキ「ちょっと趣味変えてみたの。」


マサキさんは少し恥ずかしそうに笑顔を見せて着慣れてないシャツを直す。


夏「ワンピースしか見たことなかったから新鮮。今日は俺が目線高いね。」


いつもヒールで抜かされる身長を手で表してマサキさんの新しい姿を楽しむ。


マサキ「今日はデートのみでごめんね。」


夏「ううん。忙しいのに呼んでくれてありがとう。」


俺はマサキさんに繁華街の端っこにあるBARに連れて行ってもらい、お酒をご馳走してもらう。

そのお酒はしっかり果肉が入っている生搾りオレンジ割のサングリア。


マサキさんは明日のことを考えてサングリアを少なめにとお願いしてくれてとても呑みやすい。


マサキ「優くんは来年になったらこの仕事辞めちゃう?」


メニュー横に書かれたお酒の知識で楽しんでいると、何かを思ったのかマサキさんが聞いてきた。


夏「…実はそろそろあの店を辞めようかなって考えてる。」


俺は正直に伝えた。


1番最初に指名してくれたマサキさんにはたくさんお世話になったから辞める前にちゃんと話しておこうと思った。


マサキ「…そっか。最近元気なさそうだったし、シフトも減ってたからもしかしてって思ったの。」


夏「ちょっと最近上司のプレッシャーがひどくて耐えられそうにないんだ。だから、また別のお店で働くつもり。」


マサキ「そうなの?」


夏「うん。うちのお店の瑠愛くんって知ってる?」


マサキ「知ってるよ。たまに呑みに来てくれる。」


夏「そうだったんだ!俺、瑠愛くんが始めるお店で働くことにしたんだ。多分8月からはそっちがメインになると思う。」


マサキ「え!すごいね。瑠愛くん、キャストから経営者になったんだ?」


夏「うん。俺もびっくり。来週の土曜に事務所見せてくれるって言ってた。」


マサキ「楽しみだね。今のお店と似たような感じ?」


夏「デートメインだけど、オプションで色々出来るようにするって言っていたよ。ちょっと割高らしいけど…。」


マサキ「…私、優くんの初めてのお客さんになってもいい?」


マサキさんは少し言いにくそうに聞いてきた。

きっと自分の性別の壁を気にしているんだろう。


夏「うん!ちゃんとシフト決まったら連絡する。」


マサキ「ありがとう。なんだか楽しみ。」


マサキさんは嬉しそうにして残りの白ワインを呑み、追加する。


マサキ「優くんは私の精神安定剤だから出来るだけ会いたいなー。」


夏「そんなこと言ってくれると嬉しくなる。これからもよろしくね。」


マサキ「うん。」


マサキさんは先週起こった気持ちの面影を一切見せず、3時間のデートを楽しんで帰っていった。


俺は仕事を軌道に乗せられるように、今後の顧客獲得の作戦を明日瑠愛くんと会って立てることにした。





→ Be Strong

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