7:00
いつもより朝早く起きて永海と約束した朝活をしに電車に乗り、永海の家がある最寄り駅まで向かう。
あと1駅というところで永海と一緒に行く河原が見えてきて、その煌めきが目を惹き付ける。
その煌めきを知ってか、座ってる人は日差しが射している方を背に座っていて目を瞑り仮眠を取っている。
こんなに瞬き輝く宝石のような川を見ないなんてもったいないなと思いながらも、この景色が日常にあったらただの川に見えてしまうのかなと思うとなんだか寂しくなる。
そういう俺がいつも見ている日常の平凡な景色は誰かにとっては心掴まれる景色であると、どんな時も目が見えることの有難さを感じようと思っていると目的の駅に到着したので改札を出て、近くにあったベンチに座って永海を待つ。
今日の朝活は永海が朝ご飯を作ってくれるらしい。
こんな時こそ、沙樹にいてほしかったけど沙樹は今日から水泳サークルの旅行に行ってしまうので来れない。
俺は他人のスケジュール管理の出来なさに心痛めていると肩を叩かれ、見上げるといつもお団子にしている永海の髪の毛は降ろされていてた。
そのロングヘアは綺麗にカールされ、さっき見た煌めく川のようだった。
永海「おはよー。」
夏「おはよう。朝早くからありがとう。」
永海「ううん。暇だからちょうど良かった。」
永海は笑顔で答えながら、河原に行こうと俺を案内してくれる。
夏「今日はお団子ヘアじゃないんだね。」
永海「あ、うん!癖っ毛がひどいからいつもはお団子にして時短してる。」
入学式からホワイトゴールドの色とお団子ヘアをしていた永海。
この間の合宿の時はシニヨン、昨日の祭りは夜会巻きでいつもまとめてアップヘアにしていたからこんなに髪の毛が長い永海を初めて見た。
それでも1度だけお団子をまとめていたピンを無くしてしまってポニーテールになったことがあったけど、それでも肩付近までだった。
俺はキラキラと日差しを浴びてまだ冷えている風でなびいている永海の煌めく髪に目を奪われたまま、河原に到着し持ってきていた2つの大きめのハンカチを木陰に敷いて座る。
永海「リクエストのだし巻き作ってきたよー。」
と言いながら、妹たちの弁当箱なのか可愛らしいピンクの被り物をしたウサギが描かれてる弁当箱の蓋を開ける。
その弁当箱の中にはぎっしりとおかずが詰まっていて、だし巻きや鮭の切身、ブロッコリーやトマトと色鮮やかなものがぎっしり詰まっていて宝箱を開けてもらったような感覚になる。
永海「おにぎり2つで足りるかな?豚汁は分けっこしながら食べることになるけどいい?」
と、少し大きめのスープポッドとおにぎり4つを出してきた。
夏「これ全部朝作ったの?」
永海「豚汁は昨日のあまりだよ。」
にしても大半を朝に作るなんてめんどくさいだろうに、なんでこんなに作ってくれたんだろう。
夏「すごい美味しそう。いただきます。」
俺は心の中でたくさん感謝をして永海が作ってくれた弁当を食べる。
永海「ありがとう!いただきまーす。」
永海の作ってくれた朝ご飯は見た目以上に美味しくて久しぶりに食べた朝ご飯にとても食が進む。
その様子を見て、永海は自分のおかずも分けてくれたりおにぎり1つをくれた。
こうやって俺だけのために作ってもらえた料理を食べるのは久しぶりだ。
最後に食べたのは莉李が作った角が少し焦げて石のように硬いクッキーだったけど、俺のために作ってくていると知るとそれだけで旨味が増す。
夏「へー。永海は雑誌をたくさん読んで情報集めてるんだ。」
永海「うん。メイクに強い雑誌がBIBIっていう雑誌なんだけど、最近新しく入ったNinaって人がすごい綺麗なの!」
「…永海?」
と、俺と永海でたわいのない会話をしていると後ろから声をかけられ、2人で振り向くとランニング途中なのか全身真っ白なウェアを着た男性が立っていた。
永海「勝か!びっくりしたぁ…。」
永海は耳を赤くして少し恥ずかしそうに笑い、水筒のお茶を勝さんにあげた。
勝「何?彼氏?」
永海「え!ち、違うよ!学校の友達!」
夏「彼方 夏です。」
勝「白浜 勝 。永海の兄。」
勝さんはそう言うと俺に手を出し、握手を求めてきたので握るとありえない強さで握手をしてくる。
勝「彼氏候補?」
と、俺が痛がってるのにも関わらず、勝さんは手を握りつぶしながら永海に聞く。
永海「違うって!痛そうだから離してよ。」
勝「俺は交友を深めたい時はこうしてるんだ。」
さらに力強く握ってくる勝さん。
俺は変な声が出そうになる所を抑えて、負けじと握り返すが普段鍛えていない握力はすぐに尽きてしまう。
永海「勝、やめてよ。」
永海がいつもより少し低い声で勝さんストップをかけると、勝さんはやっと俺から手を離してくれる。
勝「…今度、家に呼べば?こいつと遊びたい。」
永海「え?いいの?」
永海がびっくりした表情で勝さんに聞く。
勝「夏。今度空いてる時、俺と遊ぼう。」
と、また手を出してくる。
俺は仕方なく答えるために握手をすると、力強くも優しく握手してくれる勝さん。
夏「あ、…はい。」
俺は握手の力加減に動揺しながら今度勝さんと遊ぶことを約束すると、勝さんはまたランニングをしに行った。
永海「ごめんね。痛かったよね?」
夏「大丈夫。俺の握力が弱いだけだから。」
と、俺が答えると永海は大笑いをする。
夏「え?どうしたの?」
永海「夏はやっぱりいい人だなって。」
永海は微笑みながら俺の目を見て、思ったことを言ってくれる。
俺はその言葉を否定したけど永海は絶対意見を曲げなかった。
永海は今日の朝会った時よりもたくさん笑い、楽しそうにしていた。
きっとお兄さんの勝さんが俺との距離を縮めてくれたんだろう。
俺は永海が用意してくれたデザートのフルーツを食べ終え、また朝活する約束をして家に戻った。
→ きらきら




